競馬の3連単を全通り買うといくらになる?買い目の計算方法とあわせて解説
競馬でもっとも平均配当が高いのは「3連単」であることは、競馬ファンであればだれでも知っていることでしょう。
競馬の中継を見ていると、3連単では毎日のように万馬券が出ています。
3連単は1着から3着までを順番通りに当てなければ的中とはならず、的中難易度がとても高いため、馬券の売り上げがもっとも多くても実際に的中させている人はごく少数となっていることが平均配当が高い理由です。
3連単をほぼ100パーセントで当てる唯一の方法は、「買い目を全部購入する」というもので、「万馬券が頻出する3連単なら、全通り買い続けていればプラスになるのではないか」と考えたことが1度はあるのではないでしょうか。
本記事では3連単を全通り購入するといくらになるのか、そして全通り買い続けていればプラス収支になるのかを検証していきます。
3連単の買い目の計算方法
3連単の買い目の計算方法は以下の通りです。
当然頭数が多くなれば多くなるほど買い目は増えていくので、的中率だけを考えれば頭数が少ないレースを探して3連単を購入するのが一番です。
各頭数で全通り買うといくらにかかる?
各頭数ごとに全通り買うと馬券代がいくらになるのかを表にしてみました。
馬券代はひとつの買い目あたり100円で計算しています。
3連単は出走頭数が4頭以上のレースで販売されるため、4頭から最大頭数である18頭までで計算しました。
出走頭数(頭) | 買い目(通り) | 馬券代(円) |
4 | 24 | 2,400 |
5 | 60 | 6,000 |
6 | 120 | 12,000 |
7 | 210 | 21,000 |
8 | 336 | 33,600 |
9 | 504 | 50,400 |
10 | 720 | 72,000 |
11 | 990 | 99,000 |
12 | 1,320 | 132,000 |
13 | 1,716 | 171,600 |
14 | 2,184 | 218,400 |
15 | 2,730 | 273,000 |
16 | 3,360 | 336,000 |
17 | 4,080 | 408,000 |
18 | 4,896 | 489,600 |
表の数値を見てどう感じたでしょうか。
全通り購入が現実的に可能なのはせいぜい6頭立てのレースくらいまでではないでしょうか。
それ以上になると馬券代が2万円を超え、なかなか厳しいものがあります。
そもそも競馬のレースで5頭だえや6頭立てになるレースというのは滅多にないので、すべての組み合わせを購入するというのは、あまり現実的ではないということが分かります。
全通り買えば100パーセント的中するが…
3連単を全通り購入すれば、災害などでレースそのものが中止にならない限りは必ず的中させることが可能です。
しかしながら、最大頭数である18頭立ての場合は、各馬券を100円にしたとしても489,600円という馬券代となってしまいます。
全通り購入してプラス収支にするには、オッズが全通り以上の数字にならなければいけないわけですから、18頭立てのレースの場合、だいたい5,000倍以上でなければプラス収支にはならないということになります。
いかに平均配当が高い3連単といえど、5,000倍というオッズはそうそう発生するものではありません。
この時点で全通り買い続ければプラス収益になるのではという考えはかなり間違いであるという結論が出てきそうです。
2020年秋のG1レースで全通り買いをするとどうなったのかを検証
しかし、これはあくまでも理論上の数値なので、例えば期間を区切って全通り買い続けていればプラス収支になるという可能性もあるでしょう。
さすがに実際に全通り馬券を買い続けているとお金がいくらあっても足りないので、すでに結果が出ているレースを使って検証してみることにしました。
今回は2020年秋のG1レースのみ全通り買い続けたらどうなるのかを検証していきます。
スプリンターズステークス
2020年スプリンターズステークスは16頭立てで開催されました。
すべての買い目を購入した場合、馬券代は336,000円です。
レースは1番人気のグランアレグリアが見事期待に応え1着でゴールイン、2着はダノンスマッシュ、3着はアウィルアウェイでした。
3連単のオッズは225.4倍なので、22,540円の払い戻し、結果313,460円と大幅なマイナスです。
秋華賞
秋華賞は18頭立てで開催されたので、全通り買った時の馬券代は489,600円です。
レース結果は3冠の期待がかかっていたデアリングタクトが、こちらも1番人気の期待に応えて1着でゴールイン、牝馬3冠の偉業を達成しました。
2着はマジックキャッスル、3着はソフトフルートとなりました。
3連単は441倍で、44,100円の配当となっています。
こちらも445,500円という大損害となりました。
菊花賞
菊花賞も18頭立てで行われたため、馬券代は489,600円です。
レース結果はこちらも3冠がかかっていたコントレイルが1番人気の期待通りのレースをし、見事3冠馬となりました。
2着はアリストテレス、3着はサトノフラッグで、この2頭もかなり人気が高いことから3連単のオッズは87.4倍とかなり低い配当となってしまいました。
結果馬券代から差し引くと480,860円のマイナスです。
天皇賞秋
天皇賞秋は12頭立てでおこなわれ、全通り買った場合の馬券代は132,000円です。
このレースではアーモンドアイが断然1番人気に推され、見事勝利、史上初の8冠目を獲得しました。
2着はフィエールマンでこちらも言わずと知れた強い馬ですし、3着クロノジェネシスは2021年に凱旋門賞に出走しているほどの名馬です。
したがって3連単のオッズは41.3倍という低い配当で、12頭立てという少ない頭数のレースだったにも関わらず127,870円のマイナスとなりました。
エリザベス女王杯
エリザベス女王杯は18頭立てでおこなわれたので、馬券代は489,600円です。
レース結果はこのレースでも1番人気のラッキーライラックが期待通りのレースをし、1着となりました。
2着3着も人気馬でレースが決しましたが、1番人気のラッキーライラックが3倍以上とそこまで人気が集中しなかったため、3連単のオッズは210.5倍とそれなりについています。
しかしながら全通り買いだと468,550円のマイナスと、プラス収支には程多い結果となっています。
マイルチャンピオンシップ
マイルチャンピオンシップは17頭立てで行われたため、馬券代は408,000円です。
レースは先のスプリンターズステークスを制したグランアレグリアがこちらでも勝利をおさめ、短距離・マイルでは敵なしというところを見せつけるレースとなりました。
2着はインディチャンプ、3着はアドマイナマーズで、このレースも人気上位が3位以内にはいったため、オッズは44.8倍とかなり低くなり、馬券代から差し引くと403,520円のマイナスです。
ジャパンカップ
ジャパンカップは15頭立てのレースだったため、馬券代は273,000円です。
このレースはアーモンドアイの引退レースであり、先に3冠馬となったコントレイル・デアリングタクトとの最初で最後の直接対決ということで、2020年では1番の名レースとして挙げる人も多いのではないでしょうか。
レースはキセキが大逃げをしたものの、最終コーナーで人気馬3頭が追いつき、壮絶なデットヒートを繰り広げましたが、アーモンドアイが差し切って有終の美を飾りました。
2着にはコントレイル、3着にはデアリングタクトと、人気馬が人気通り3位以内に入るというファンにとっては見ごたえ満点のレース結果となっています。
しかしオッズ的には美味しくなく、3連単は13.4倍というかつてない低い配当でした。
全通り買っていた場合は271,660円の損失です。
チャンピオンズカップ
チャンピオンズカップは16頭立てでおこなわれたため、馬券代は336,000円です。
このレースではこの年の秋のG1でははじめて1番人気以外の馬が1着となりました。
1着は4番人気のチュウワウィザードで、2着はゴールドドリーム、3着はインティという結果でした。
3連単は2,069.4倍というかなりの高配当となりましたが、それでも100円の場合払い戻しは206,940円、馬券代から差し引くと129,060円のマイナスとなっています。
阪神ジュベナイルF
阪神ジュベナイルFは、18頭立てで開催されました。
このれーすでは1番人気のソダシが白毛の馬としては初めてG1レースを勝利したことからニュースでも大きく取り上げられており、記憶に新しい人もいるのではないでしょうか。
2着はサトノレイナス、3着は2021年オークス馬のユーバーレーベンなど、上位3頭はいずれもこの世代を代表する強い馬たちとなっています。
オッズは172.6倍となっており、馬券代を差し引くと472,340円のマイナスです。
朝日杯フューチュリティS
朝日杯フューチュリティSは16頭立てで開催されました。
1着は7番人気のグレナディアがーず、2着ステラヴェローチェ、3着レッドベルオーブという結果でした。
1着が7番人気と注意人気の馬だったものの、2着3着はいずれも上位人気であったことから、3連単のオッズは513.6倍とそこまで高配当とはなりませんでした。
馬券代を差し引くと284,640円のマイナスです。
中山大障害
あまり知られていませんが、秋のG1レースでは「中山大障害」という障害レースのG1も開催されています。
レースは14頭で実施され、1着は1番人気のメイショウダッサイ、2着9番人気ケンホファヴァルト、3着3番人気のタガノエスプレッソという結果となりました。
3連単のオッズは359倍で、馬券代を差し引くと182,500円のマイナスです。
有馬記念
2020年の有馬記念は15頭立てで開催され、1番人気のクロノジェネシスが見事1着でゴールしました。
2着は11番人気のサラキアで、3着はフィエールマンという結果になっています。
2着が11番人気ではあるものの、1着1番人気、3着2番人気ということもあってオッズは501.5倍でした。
馬券代から差し引くと222,850円のマイナスです。
ホープフルS
2歳馬限定のG1レースであるホープフルステークスですが、2020年は14頭でレースが実施されました。
1着は1番人気のダノンザキッドで、2着オーソクレース、3着にヨーホーレイクという結果でした。
状人気で決着したこともあって、3連単のオッズは55.6倍と低く、馬券代を差し引くと212,840円の負けとなっています。
検証結果
2020年秋のG1全レースで検証してみましたが、検証結果はすべてのレースで大幅なマイナス収支となってしまいました。
最終的な損金がどれくらいになるかというと、なんと4,015,650円というとんでもない金額になっています。
このように、検証結果から見ても全通り3連単を購入してプラス収支にするというのはほぼ不可能であるということがわかります。
競馬で利益を出すためには買い目の絞り込みが大切
競馬の3連単は買い目をひとつだけ買って当てることができるような馬券ではありません。
しかしながら検証が物語っているように、全通り馬券を購入してプラス収益になるような高配当にもならないのもまた事実です。
買い目を絞り込む手順としては、まず「上位3着以内に入るであろう可能性が極端に低い馬を切る」ことから始めることになります。
切る目安というのは人それぞれですが、単勝で50倍以上の馬は上位3着以内に入ることがとても少ないので、本気で当てるつもりなのであれば切ってしまっても構いません。
もし50倍以上の馬を買い目に含めるのであれば、実力と人気が伴っていないなど確固たる根拠があるときのみにしておいたほうが無難です。
切ってしまう馬を決めたら、今度は買い目に含める馬を選んでいくことになります。
買い目に含める馬の選び方ですが、これは気になった馬のさまざまなデータや、出走するレース場の特徴、そして一緒に走ることになる馬たちの特徴など、さまざまな情報を見ながら決めていくしかないでしょう。
買い目に含める馬の数はレースの状況によって適宜変化させます。
堅い決着になりそうなのであれば、少ない頭数にしておいたほうがトリガミになる可能性が低いですし、荒れるレースであれば予算の許す限り買い目を増やしておいたほうが買い漏らしが少なくなりますし、当たりやすいです。
まとめ
競馬の3連単は的中させにくい馬券ですが、その分的中した時の配当が大きいです。
全通り買えば利益を出せるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、最大頭数である18頭立ての3連単を全通り購入すると、最大で489,600円ものお金が必要になります。
3連単の平均配当がいくら高いといっても、4,900倍近くのオッズになることは滅多にありません。
実際に2020年秋のG1レースで全通り買いをし続けるとどうなるか検証してみましたが、1点100円で購入しても検証結果は400万円以上の大幅なマイナスでした。
この結果からも全通り購入し続ければマイナス収支になる可能性が高いことが分かります。
平均配当が高い3連単とはいえど、しっかりとデータの分析をして買い目に含める馬を絞り込む作業は利益を出すためにはとても大切です。