競馬のクラシック3冠とは?3冠を達成した過去の名馬たちも紹介

競馬のクラシック3冠とは?3冠を達成した過去の名馬たちも紹介

競馬のレースはグレード制が採用されており、そのなかでも最も格式が高いレースが「G1レース」です。
G1レースの中でも歴史があり、栄誉あるレースのことを「クラシックレース」といい、このレースにたくさん勝つことは競走馬にとって最高の勲章といっても過言ではありません。

本記事では「クラシック3冠」について、それぞれのレースの特徴や過去にクラシック3冠を達成した歴史的名馬について紹介します。

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クラシックレースとは?

クラシックレースとは?

まずはクラシックレースとはどういったレースかについて知っておきましょう。

クラシックレースとは
もともと競馬の本場であるイギリスで古くから施行されていたレースのこと。

イギリスにおけるクラシックレースは、以下5レースが該当します。

イギリスのクラシックレース
・1809年創設の「2,000ギニー」
・1814年創設の「1,000ギニー」
・1779年創設の「オークス」
・1780年創設の「ダービーステークス」
・1776年創設の「セントレジャーステークス」

この5つのレースはすべて3歳馬限定という特徴があります。

日本競馬におけるクラシックレースとは?

日本競馬におけるクラシックレースとは?

日本の中央競馬でもそれに習って3歳馬限定のクラシックレースを創設しました。
日本中央競馬におけるクラシックレースは、以下5つです。

日本中央競馬のクラシックレース
・皐月賞
・桜花賞
・日本ダービー
・オークス
・菊花賞

このうち、3歳牡馬が主に集草するG1レースである「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」はすべてクラシックレースに該当します。
そのため、この3つのレースを同一馬がすべて制した場合、「クラシック3冠」と呼ばれることになるのです。

クラシック3冠は牡馬限定のように認識している人も多いかもしれませんが、実は大きな間違いです。
「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」の出走条件はすべて「3歳の牡馬・牝馬限定」となっていて、実は3つすべてで牝馬も出走することが可能です。

しかしながら、現在のところ牝馬でこのクラシック3冠を達成した馬はまだ1頭もいません。

牝馬の場合は、基本的に「桜花賞」「オークス」「秋華賞」の牝馬3冠を目指しますし、のちに詳しく説明しますが、菊花賞が牝馬にはあまりにも厳しい条件となっているため、そう簡単に牝馬のクラシック3冠は達成されないでしょう。

牝馬3冠はクラシック3冠とはならない

「桜花賞」「オークス」「秋華賞」は現在のところ「クラシック3冠」とは呼ばれません。
先に説明した通り、牝馬3冠のうち、「秋華賞」のみクラシックレースには位置づけられていないためです。

秋華賞は1996年に創設された比較的新しいG1レースであることが最大の理由で、秋華賞は「エリザベス女王杯」が古馬にも解放されたために秋華賞が設立されました。

クラシック3冠各レースの特徴

クラシック3冠各レースの特徴

クラシック3冠の各レースは、G1レースのなかでももっとも格式が高いレースとなっており、それぞれのレースではその年の3歳馬を代表する競走馬たちが集結し、しのぎを削ります。

それぞれのレースがどのような特徴を持っているのか、簡単に解説していきましょう。

皐月賞

クラシック3冠最初のレースとなる「皐月賞」は、中山競馬場でおこなわれるレースで、走行距離は芝の2,000mです。
スタート地点は第4コーナーを曲がってすぐとなっていて、スタートしてすぐにゴール前の上り坂を駆け上がることになります。

この坂はもちろん最後の4コーナーを回った後にも登る事になるので、皐月賞では上り坂を2回走らなければならず、この距離をギリギリ走れるようなスタミナしかない馬では最後までスピードを持続できないでしょう。

また、中山競馬場は最終直線の距離が210mしかありません。
したがって、第4コーナーを回ってからスパートをかけたのでは前をいく逃げ馬や先行馬には届かないため、第3コーナーを回ったあたりで早くも各馬がスパートをかけ始めます。

瞬発力はもちろんですが、トップスピードを長く維持できる持続力も必要でしょう。

まったく同じ条件で走るレースに「弥生賞ディープインパクト記念」がありますが、こちらのレースでは最後のほうまで比較的ゆったりとしたペースになるのに対し、皐月賞の場合は中盤あたりから早くもハイペースでの争いが繰り広げられます。

したがって、弥生賞で買った馬が順当に皐月賞でも勝てるとは限りません。
皐月賞は「もっとも早い3歳馬が勝つレース」といわれています。

日本ダービー

日本ダービーは東京競馬場で行われ、走行距離は芝2,400mです。

日本ダービーは設立当初からクラシック3冠の中だけではなく日本競馬界におけるすべてのレースの華夏でも特別なレースと位置づけされており、日本ダービーを制することは現在においても3歳馬のおいてはもっとも栄誉あることとなっています。

誕生したすべての競走馬が最大の目標としているレースといっても過言ではありません。

そのため、牝馬のなかにも同時期に開催される「オークス」をあえて回避して日本ダービーに挑戦する牝馬も存在し、これまで1937年の「ヒサトモ」、1943年の「クリフジ」、そして2007年のウォッカの3頭が牝馬で日本ダービーを制しています。

スタートはちょうど正面スタンド前となっていて、最初のコーナーまでの直線距離は350mと十分です。
したがって、先行争いがかなり激しいものとなりますが、2,400mの長丁場となるため、最初のコーナーを回った後は比較的ゆったりとしたペースでレースが進んでいきます。

大きく展開が変わるのは第3コーナーを回ったあたりです。
第3コーナー付近は実は下り坂となっており、ここで加速力を付ける戦法を採用する騎手が多く、それまでゆったりとしたペースだったのが一気にハイペースの展開となります。

そしてその勢いのまま最終コーナーを回った後に待ち構えているのが、東京競馬場を象徴する500mを超える長い直線です。
第3コーナーを含めると800m近くをほぼトップスピードで走ることになるので、皐月賞以上にスタミナが要求されるレースとなります。

日本ダービーは、「最も運のある馬が勝つレース」といわれていますが、近年1着となっている馬は3番人気以内がほとんどで、比較的順当な決着になりやすいレースといえるでしょう。

菊花賞

菊花賞は京都競馬場で開催されるレースで、走行距離は芝3,000mです。
ちなみに2020年から2023年は京都競馬場が改修工事中となっているため、阪神競馬場での代替え開催となっています。

菊花賞の特徴はなんといっても3,000mという距離です。

菊花賞は秋に行われるため、同レースに出走できるようなレベルの馬たちは夏の間はたいてい放牧に出されます。
この間に日本ダービーからさらに600mも延長される走行距離を克服できるほどのスタミナを獲得できるかが最大のポイントとなるでしょう。

スタート地点は向こう正面の第3コーナー手前あたりで、スタートするとすぐに第3コーナーがあり、しかも上り坂となっています。

その後第3コーナーから第4コーナーにかけての下り坂を下り、平坦な第1コーナー第2コーナーを回って再び3コーナー前の上り坂を登って、下り坂を下り、最終コーナーを回ってゴールまで駆け抜けます。

最初の下り坂はゆっくりとしたペースで下り、そこから第1コーナー、第2コーナーを回るあたりは長距離ということもあって、かなりゆったりとしたペースになります。

しかし第3コーナーの上り坂を登りきったところで一気にギアが上がり、各馬はその後の下り坂を利用しつつ徐々にスピードアップしていきます。
そしてそのままの勢いで第4コーナーを回ってゴールするというのが近年の主な勝ち方です。

下り坂でスピードがつくということもあって、差し馬や追い込み馬が最終コーナーを回ってからスパートをかけたのでは間に合わないので、差し馬や追い込み馬であっても第3コーナーを回ったあたりから徐々に前に進出し、最終コーナーでは6番手や7番手にまで上がっていることが多くなっています。

菊花賞はとにかく3,000mを走り切るスタミナと、ほかの馬に負けないスピードを兼ね備えていなければ勝てないので、「最も強い3歳馬が勝つレース」といわれています。

2021年時点でこれまでに3冠を達成した名馬たち

2021年時点でこれまでに3冠を達成した名馬たち

クラシック3冠にあたるレースの特徴を見てもわかる通り、3つすべて走行距離も開催される競馬場も異なっています。

したがって、クラシック3冠を達成するというのは至難の業で、この3つのレースを同一馬が制するということは、文字通り歴史的快挙といってもよいでしょう。

本記事では2021年時点でクラシック3冠を達成した馬たちを、1頭ずつ簡単ではありますが紹介していきます。
ここに紹介する馬たちはすべて日本競馬界に名を残す歴史的名馬たちです。

セントライト

セントライト
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse02.html)

セントライトはクラシックレースが設立されて以降はじめてクラシック3冠を達成した馬です。

落札時の見た目はそれほど良くはなかったとの事ですが、実際に走るとデビュー戦でいきなり2着に3馬身差をつける圧勝をし、そのころから「かなり強い馬なのでは」と関係者からも期待されるようになります。

圧巻なのは日本ダービーでの勝ち方で、2着の馬とはなんと8馬身も離れていました。
これは未だに日本ダービー史上最大の着差となっています。

あまりの圧勝劇に主戦騎手で日本ダービーでも騎乗していた「小西喜蔵」騎手は、「セントライトの日本ダービー制覇は、文字通り楽勝だった」とはっきり述べるほどでした。

そしてセントライトは菊花賞を含めて3歳時に9勝を挙げますが、菊花賞を勝った後なんと3歳で現役を引退します。
理由はまともに走れるレースがなくなってしまったからで、当時の競馬では強い馬に容赦なく重い斤量を背負わせていました、

セントライトの通算戦績は12戦9勝と3敗していますが、この3敗も68キロもの斤量で出走するなど、現在では考えられないようなハンデを背負わされることによるものです。

シンザン

シンザン
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse09.html)

往年の競馬ファンにとって、シンザンはとても強い馬として知られています。
シンザンはセントライト以来23年ぶりにクラシック3冠を達成しただけではなく、翌年天皇賞秋、そして有馬記念にも優勝したため、「5冠馬」という異名をもっています。

実はシンザンもセントライトと同様、それ以上にデビュー前はまったく期待されておらず、丈夫なだけがとりえの馬でした。

しかし、デビュー前の調教を担当した調教師や、調教時に跨った騎手はシンザンのただならぬオーラを感じ取り、「この馬はもしかしてとんでもない名馬なのかもしれない」と予感したとのことです。

シンザンはデビュー後連勝を重ねましたが、「勝てるレースに出走」しているような状態で、周囲からもあまり注目はされませんでした。

しかし、重賞である「スプリングステークス」を関西から遠征して制すると、さすがに周囲の見る目が変わり、続く「皐月賞」では1番人気に推され、その期待に見事に応えました。

その後のダービー、菊花賞でも危なげない勝ち方をして3冠を達成、翌年の天皇賞秋や有馬記念も強い競馬をして見事当時史上初の5冠を達成しました。
とにかくスタートが抜群に上手い馬で、そのまま横綱相撲で勝ち切るのがシンザンの常套手段です。

また、非常に頭の良い馬で、レース前はもちろんの事、レースが終わってからも全く興奮せず、勝利後はすぐに厩舎に引き返すような馬でした。

ミスターシービー

ミスターシービー
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse13.html)

ミスターシービーは、その豪快な勝ち方から今も多くのファンに愛されている3冠馬です。

誕生当初は父や母の結党から「逃げ馬」として期待されていたのですが、とにかく気性が荒い馬で、特に逃げ馬にとって最も大事なスタート時の飛び出しがとても苦手でした。

そのため、後方から一気に前の馬を追い上げる戦法を取らざるを得なかったのですが、その末脚がものすごい切れ味だったため、逃げ馬としてではなく、追い込み馬としてトレーニングすることにしました。
するとその才能を開花させて重賞を2連勝した後、皐月賞へ出走します。

当時の皐月賞は田んぼのような不良馬場であり、後方から追い込みをかけるミスターシービーにとっては圧倒的不利でしたが、それをものともせず皐月賞を勝利します。

続くダービーでも後方18番手を走ることになります。
ダービーでは早々と前方に進出して勝つのが常套手段だったため、観客はこんなに後方から走って勝てるわけがないと、半ばあきらめムードでした。

しかしミスターシービーはそんな状況をものともせず、直線で早くも先頭になるとそのまま圧勝しました。
続く菊花賞ではなんと最後方からレースを進めます。

3,000mの長距離で最後方からレースをするというのは前代未聞でしたが、さらにミスターシービーは第3コーナーからいきなりトップスピードで加速するという、当時としてはタブーともいうべき走り方をしました。

多くの人が「駄目だ」と思ったそうですが、ミスターシービーのスピードは衰えるどころかむしろ上がっていく一方で、最終的には2着に3馬身差という圧勝で、シンザン依頼19年ぶりのクラシック3冠を達成します。

シンボリルドルフ

シンボリルドルフ
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse14.html)

それまでクラシック3冠を達成する馬というのは20年近い周期で1頭現れるといった周期でしたが、ミスターシービーが3冠を達成した翌年、早くも次のクラシック3冠馬が誕生します。
それがシンボリルドルフです。

シンボリルドルフはでユー前から大きな期待を寄せられていた馬で、「シンボリルドルフ軍団」ともいうべきチームを結成し、ルドルフを徹底的にトレーニングします。

主戦騎手である岡部幸雄は、デビュー戦の1,000mで1,600mの走り方を覚えさせ、1,600mでは2,400mの走り方をするなど、完全にクラシック路線を見据えたレース運びをしていました。

ルドルフはその期待に応え、スタートで早くも前につけると最後の直線で先頭に立つというミスターシービーとは正反対の勝ち方で、なんと史上初めて無敗でのクラシック3冠を達成します。
その後もG1レースを勝ち続け、最終的には「7冠馬」となりました。

2020年にアーモンドアイに破られはしましたが、史上初の無敗クラシック3冠、そして7冠という偉業は色褪せることはないでしょう。

ナリタブライアン

ナリタブライアン
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse24.html)

シンボリルドルフ以降は再びクラシック冠馬がなかなか現れない状態が続きます。
そんな中現れたのがナリタブライアンでした。

ナリタブライアンは、半兄が菊花賞・日本ダービーを2着と善戦しているビワハヤヒデだったということもあり、デビュー前から期待されていました。

上半身を下げ、重心を低くして鋭く伸びる走り方もこの当時からすでに確立されていて、のちに主戦騎手となる南井克巳もはじめて跨った瞬間に、「この馬はモノが違う」と感じていたとのことです。

しかし、自分の影にも怯えてしまうような臆病な性格ということもあって、なかなか本来の力を出し切れませんでした。
そこで陣営はナリタブライアンに「シャドーロール」という鼻の上に装着させて馬にレースに集中させるための馬具を取り付けます。

するとナリタブライアンはその才能を開花させ、暴力的なまでの豪快な末脚で皐月賞、日本ダービーとレースを重ねるごとに2着との着差を広げる圧巻の勝ち方をします。
このことから、ナリタブライアンにはいつしか「シャドーロールの怪物」という異名が付けられました。

続く菊花賞ではさらに着差を広げ、7馬身差という差をつけて圧勝、クラシック3戦をまったく危なげない勝ち方で勝ち、見事シンボリルドルフ以来10年ぶりにクラシック3冠を達成しました。
このうち、皐月賞と菊花賞はコースレコードを更新するという偉業まで達成しています。

4歳時には体調を崩してしまい、思うような活躍ができないまま引退することになりましたが、3歳時の圧倒的な強さは今でも語り草になっており、3歳に限定すれば未だにナリタブライアンが史上最強の馬なのではないかという声が多いです。

ディープインパクト

ディープインパクト
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse28.html)

ディープインパクトは平静を代表するアイドルホースであり、最近競馬ファンになった人でも知っている人は多いのではないでしょうか。

デイープインパクトは「日本競馬界最強の馬とは?」という話題になると、必ず名前が上がるほど圧倒的な強さでクラシック3冠を達成した馬です。

今でこそ誰もが知る名馬ですが、デビュー前はそれほど期待されている馬ではありませんでした。
それが証拠にセレクトセールの落札価格は7,000万円と、どちらかといえば当時もてはやされていたサンデーサイレンス産駒では下から数えたほうが早いくらいの値段です。

ディープインパクトはほかの牡馬と並ぶとすぐに分かるくらいに身体が小さく、見た目は牝馬のようでした。
しかし、主戦騎手となる武豊騎手は跨った瞬間にこの馬の才能を見抜きます。

その能力は数々の名馬を導いてきた天才騎手も興奮するほどで、それを証明するかのようにデビュー戦では武騎手がほとんどなにもしないまま圧勝してしまいます。

その次の若駒ステークスではさらに規格外のポテンシャルを見せ、それを見たファンは誰もが「この馬はクラシック3冠を達成する」と確信するほどでした。

ディープインパクトの活躍には競馬関係者のみならず一般メディアも加熱の一途を見せ、往年のオグリブームを思い出させるほどでしたが、ディープインパクトはまったく意にも介さず、あっさりと無敗でクラシック3冠を達成してしまいました。

ディープインパクトが強いとされているのはその豪快な勝ち方です。

スタートがあまり得意ではない馬なので、たいてい最後方に近い場所からのスタートなのですが、素人が見てもわかるくらいほかの馬とは明らかに違う加速をし、あっという間にトップに立ってさらに後方の馬を置き去りにするという勝ち方でした。

そして、ディープインパクトは種牡馬としても大成功をしており、ディープインパクト産駒でG1を含む重賞を勝利した馬を数えるとキリがないほどです。

オルフェーヴル

オルフェーヴル
(引用元:https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse31.html)

ディープインパクトは、見るからに「優等生」というような馬でしたが、一方のオルフェーヴルは「金色の暴君」という異名が付けられてしまうほど気難しい馬でした。

これは父馬である「ステイゴールド」がかなりの気性難であったことが大きな要因であったことは間違いないでしょう。

しかし、厩舎にやってきた当初はとてもおとなしい馬だったようで、関係者は「本当にステイゴールドの子供なのか?」と首をかしげてしまうほどでした。

しかしレースになると性格が一変、デビュー戦では出走前には立ち上がり、直線では大斜行をし、ゴール後には主戦騎手で当時も騎乗していた池添謙一騎手を振り落とすという暴れん坊っぷりを披露します。

あまりにも言うことを聞かないため、関係者は「競走馬にはなれないのでは」と不安視もされており、事実2歳時は折り合いに苦労してなかなか良い成績を上げることができませんでした。

ディープインパクトやナリタブライアンなど往年のクラシック3冠馬とは異なり、皐月賞出走もスプリングステークスで勝利しなければ叶わなかったでしょう。

皐月賞でも4番人気とそれほど期待はされていなかったのですが、レースが始まると4番人気という下馬評が嘘のような走りを見せ、2着に3馬身差の圧勝でクラシック1冠を手にします。

このレースによってオルフェーヴルは俄然注目される存在となりますが、日本ダービーでは距離による不安から1番人気ではあるものの、単勝3倍とそこまで突き抜けた人気ではありませんでした。
しかし結果的には2馬身差近い圧勝で、危なげなく2冠目を手にします。

菊花賞でも2馬身差をつける圧勝をしますが、ここでなんとまた池添騎手を振り落とすという三冠馬としては前代未聞の珍事が発生しました。
このように、気性の荒さは改善されなかったものの、走れば強いことは間違いない馬でした。

最後まで本気で走っていたのかが分からないような馬で、本気で走れば日本競馬史上最強の1頭になるくらいのポテンシャルを持っていたことは間違いないでしょう。

2012年の「阪神大賞典」はある意味この馬のポテンシャルの高さが遺憾なく発揮されているレースで、必見の価値ありです。

とにかく破天荒な性格と、走れば無類の強さを持つ能力がインパクト抜群で、記録だけではなく、記憶にも残る3冠馬といえるでしょう。

コントレイル

コントレイル
(引用元:https://tospo-keiba.jp/breaking_news/3456)

コントレイルはオルフェーヴル以来久しぶりに3冠馬となった馬で、しかも2歳馬限定G1である「ホープフルステークス」にも勝ちつつ、無敗でクラシック3冠を達成しました。

クラシック第1レースである「皐月賞」では馬場状態が悪く、囲まれやすい1番ということもあって、なかなか自分のポジションでレースができませんでしたが、外に上手く出すと第4コーナーでは早くも先頭に立ちます。

その後はコントレイルと同じく皐月賞時点で無敗だったサリオスとの激しい1着争いになりましたが、半馬身差でコントレイルが勝利しました。

この勝ち方はコントレイルの実力を改めて示すレースとなり、その後はダービーを完勝、そして改修工事前最後の菊花賞となった3冠目がかかるレースでは、アリストテレスとの激しい争いになります。

しかしアリストテレスに一度も先行はさせず、見事8頭目のクラシック3冠を達成、さらに父であるディープインパクトとの「親子無敗クラシック3冠」という、今後再び現れることはなかなかないであろう大記録も打ち立てました。

菊花賞の後じゃジャパンカップに出走、このレースには本レースをもって引退を表明している牝馬3冠達成馬アーモンドアイと、コントレイルと同じく無敗で牝馬3冠を達成したデアリングタクトも出走、なんと3冠馬3頭が直接対決するという、日本競馬史上初となる豪華なレースとなりました。

このレースでは惜しくもアーモンドアイに先着されるものの、2着に入着し、その強さは本物である事を証明しています。

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まとめ

クラシックレースとは、「皐月賞」「桜花賞」「日本ダービー」「オークス」「菊花賞」の5つのレースを指し、このうち主に3歳牡馬が出走する「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」の3レースを同一馬が制覇することを「クラシック3冠」と呼んでいます。

この3つのレースはすべて開催される競馬場も距離も異なっており、この3つのレースを同じ馬が制覇するというのは至難の業です。

2021年現在、このクラシック3冠を達成した馬は長い中央競馬の歴史においてわずか8頭のみです。
この8頭はいずれも歴史に名を残す名馬であり、ほかの馬とはけた違いの能力を有しています。