競馬の倍率の計算方法と券種別の過去最高倍率を紹介
競馬の馬券が的中した時に支払われる配当金は、各競走馬に設定されている「倍率」によって決まります。
倍率が高ければ高いほど配当金をたくさん得ることができますし、倍率があまりにも低いと時には馬券を購入した時に支払ったお金のほうが、的中した時に受け取れる配当金を上回ってしまうので、「倍率」は馬券を購入する際には必ずチェックすることになる数字のひとつでしょう。
本記事では倍率がどのように決められているのか、そして券種毎の平均倍率や過去最高倍率について解説します。
倍率は一般的にオッズと呼ばれている
実は競馬や競艇をはじめ、倍率という言葉はそのまま使われることはあまりありません。
多くの公営競技では「倍率」とは言わず「オッズ」と呼ばれています。
競馬をあまり知らない人も、オッズという単語は聞いたことがあるのではないでしょうか。
本記事では、倍率という言葉で以降も説明していきますが、倍率=オッズと思ってもらえば以降の記事も理解がより深まるかもしれません。
自分が購入した馬券が的中すると払い戻し金額がいくらになるかの計算方法はとても簡単で、「購入金額×倍率」で計算することができます。
例えばオッズ10倍の馬券を1,000円購入したとしましょう。
この時の配当金は、10×1,000=10,000となり、的中すれば1万円が支払われることになります。
倍率はその馬の人気を表すバロメーター
各競走馬に設定される倍率はどのように決められているのかというと、「馬券全体の売上のうち、その競走馬の売上がどれくらいの比率になっているか」で決まります。
馬券というのは、基本的に当てたいと思って購入する場合がほとんどですから、必然的にそのレースで上位に入賞するであろう馬の馬券を買う人が多くなります。
そして、その馬が含まれている馬券をたくさんの人が買えば買うほど倍率は低くなっていくので、倍率というのはその馬の人気を表すバロメーターであると言っても過言ではありません。
倍率の計算方法
倍率がどのような計算方法によって算出されているかですが、以下の計算式で導き出されます。
「払い戻し率(総売り上げ-控除)÷支持率(その馬券の売上)」
文字だけを見ると複雑に見えますが、実際に計算式に当てはめてみると、そこまで複雑ではありません。
「払い戻し率」について簡単に説明すると、各馬券すべての売上のうち控除を差し引いた、実際に払戻金として支払われる金額の事を意味します。
馬券の売上すべてが払戻金にはならない
先ほどの払い戻し率の説明を見たときに、「馬券の売り上げがすべて払戻金として使われていないの?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。
実はその通りで、競馬の馬券の売り上げというのは、すべてが払戻金として使われているわけではないのです。
売上の一部は「控除」として差し引かれており、控除が差し引かれて残ったお金をそれぞれ馬券で分配しています。
したがって、どのような馬券の買われ方をしてもJRA側は利益が出るような仕組みになっているのです。
しかし、この控除がまるまるJRAの売上になるのではなく、競馬場の維持管理や職員の給料、レースの賞金などはすべてこの控除から支払われるので、控除が無ければ競馬を続けることはできません。
ちなみに、控除は各券種によって比率が異なっており、もっとも控除率が低いのが単勝で80パーセント、もっとも控除率が高いのがWIN5で70パーセントです。
では控除率が低い単勝を買ったほうが儲かるのかというと、そのようなことはなく、配当金の金額だけで言えば単勝よりも控除率の高い3連単のほうが比べ物にならないほど高い配当金が毎回のように出ています。
高額配当が出やすい馬券であればあるほど、控除率が高くなっていると認識しておけばよいでしょう。
では、実際に上の計算式にしたがって、単勝の倍率がどのように決まるのかを計算してみましょう。
単勝の馬券の総売り上げが1,000万円あり、そのうち2番の馬の単勝の売り上げが300万円だったとします。
この場合、計算式は(1,000×0.8)÷300となり、計算結果は2.666…となります。
小数点2位以下は切り捨てなので、2番の馬の単勝オッズは2.6倍です。
券種によって平均倍率は異なる
競馬には単勝からWIN5まで、全部で9種類の馬券がありますが、券種によって平均配当が異なります。
券種毎の平均倍率については、ワイドとWIN5を除いた各券種の平均倍率を独自に計算しているサイトがあったので、このサイトの結果をもとに表にしてみました。
しかしながら、この平均倍率はあくまでもこのサイトで紹介している計算結果によるもので、実際の平均配当は毎年変わってくるので、参考程度にとどめておいてください。
券種 | 平均倍率(倍) |
単勝 | 10.452 |
複勝 | 3.666 |
枠連 | 21.101 |
馬連 | 58.759 |
馬単 | 119.487 |
3連複 | 238.277 |
3連単 | 417.576 |
引用元【コラム】馬券はどの賭け方が1番お得なの? 7種類の馬券の平均配当金額と的中率の相関 (maishumanba.com)
ちなみに100倍以上は平均配当が万馬券ということになるので、馬単以上の馬券に関しては数値上では万馬券が出る可能性がかなり高いということになります。
ただし、この数値は平均よりも飛び抜けて高い高額配当も含めたものとなっているので、実際はもう少し低い倍率となるケースが多いです。
券種ごとの過去最高倍率について
それぞれの券種で一番高い倍率はどれくらいなのだろうと気になる人も多いのではないでしょうか。
本項目では券種ごとの過去最高倍率を紹介します。
過去最高倍率はいずれも平均倍率とは比べ物にならないほど高いものばかりで、もし的中させていれば券種によっては人生を一変するような金額となっています。
単勝
単勝の最高倍率は2014年4月26日、福島競馬場でおこなわれた第8レース「サラ4歳以上」というレースで発生した569.40倍です。
このレースでは16頭立てでレースがおこなわれ、最下位人気のリバティーホールが見事1着となったためにここまで倍率が高くなりました。
複勝
複勝の最高倍率は、2010年6月26日、単勝と同じく福島競馬場で開催された第2レース、「サラ3歳未勝利」にて発生した、160.10倍です。
このレースも単勝と同じく16番人気で単勝374倍の馬が3着に入ったことが倍率が高くなった要因となっています。
枠連
枠連の過去最高倍率はかなり昔のレースで、1970年2月22日、小倉競馬場で実施された第2レース「4歳未勝利戦」で発生した1,234.10倍となっています。
さすがに古すぎるのか、レースの詳細については確認が取れませんでした。
ワイド
ワイドの最高倍率は、2017年12月3日、中京競馬場で開催された第7レース「3歳以上500万以下」で発生した1,290倍です。
このレースでは、16頭立てのレースで15番人気の馬が1着、14番人気の馬が3着に入ったため、ここまで高い倍率となりました。
馬連
馬連の最高倍率は2006年に中京競馬場で実施された第3レース「サラ3歳未勝利」にて発生した5,026.9倍です。
このレースでは単勝1番人気1.8倍の馬が3着以内にすら入らず、13番人気の馬が1着、12番人気の馬が2着になるという大波乱のレースとなったため、倍率が異常に高くなりました。
馬単
馬単の最高倍率は馬連の最高倍率が発生したレースとまったく同じレースで、その倍率は14,986倍となっています。
3連複
3連複も馬連・馬単とまったくおなじ2006年中京競馬場で実施された第3レースで発生しており、その倍率はなんと69,526倍です。
9種類の券種のうち、3つの最高倍率が同じレースで出ていることからも、このレースがいかに大波乱であったかがわかるのではないでしょうか。
3連単
3連単の過去最高倍率は2012年8月4日に新潟競馬場で実施された第5レース「サラ2歳メイクデビュー」で発生しており、その倍率はなんと298329.50倍です。
つまり、もしこの買い目を100円買っていて的中していれば、それだけで2983万円もの払い戻し金を受け取れるということになります。
このレースは17頭立てでおこなわれ、1着14番人気、2着12番人気、同着10番人気と、上位3着を下位人気が独占したため、このような今まで見ないような高い配当となりました。
WIN5
WIN5の過去最高倍率は2021年1月12日に発生した4億8,178万3,190円です。
ちなみに1着馬の人気は順に4番人気、5番人気、14番人気、3番人気、5番人気となっていて、人気だけを見ると必ずしも下位人気ばかりが1着になったというわけではありません。
ここまで高額となった要因としては、この日の対象レースはすべて15頭立てと頭数が多いレースとなっており、買い目の組み合わせが多かったのが最大の理由と考えられています。
過去最高倍率のレースを振り返ってみると、重賞レースでは1度も発生しておらず、すべての券種で平地戦での発生となっています。
つまり、高額配当は重賞レースよりも出走馬の実力が周知されていない平地戦で出やすいといえるでしょう。
倍率はJRAの公式ページなどで簡単に確認できる
各馬の倍率をいちいち計算するのはとても面倒です。
しかしそのような事をしなくても、JRAの公式ホームページや、各競馬データベースサイトなどを確認すれば、倍率は簡単に確認することができます。
しかし、倍率は馬券の買われ方によってリアルタイムで変動する数値であるため、最終的な倍率は馬券購入終了後でなければ判明しません。
倍率を確認してトリガミにならないように買おう
倍率を事前に確認することは、自分が購入した馬券が的中した時にどれくらいの金額になって戻ってくるかを確認するために重要ですが、もうひとつ「トリガミ」になっていないかどうかを確認するためにもとても大切です。
トリガミとは、購入した馬券代のほうが的中して受け取った払戻金を上回ってしまう現象で、トリガミが発生してしまうと、せっかく馬券が当たっても最終的にはマイナス収支となってしまいます。
トリガミは複数の馬券を購入していると発生しやすいので、もしトリガミになっている馬券があれば、買い目を絞り込んで購入金額を減らすか、トリガミになっている買い目の購入金額を増やして払戻金をアップさせるなどの対策をとりましょう。
倍率が低い馬が強い馬というわけではない
最初のほうに「倍率はその馬の人気を示すバロメーター」であると説明しました。
では人気のある馬=強い馬なのかというと、それは半分正解で半分間違いです。
競馬の馬券を当てたいのであれば、強い馬を買おうと考えるのが心情というものです。
したがって、倍率が低い馬というのは「みんなが勝つと思っている馬」であることは間違いありません。
しかし、その勝つという根拠はどこから来ているのかというと、過去のレースやその馬に騎乗している騎手など、さまざまなデータから判断しているに過ぎませんし、競馬番組に出ている評論家や有名人の話を信じ込み、自分で調べもせずに馬券を買っているという人も一定数存在します。
しかし、その馬が本当に強いレースをするかどうかはレースが始まってみなければ誰にも分らないのです。
倍率は馬券を買うための参考資料とはなりますが、倍率だけを重要視せずにしっかりと自分でレースについて調べ、そのうえで上位に入ると確信した馬を買うようにしましょう。
まとめ
倍率とは、その馬券が的中した時に払戻金がいくらになるのかを表した数値で、例えば倍率2倍の馬券を1,000円購入し、的中したとすると払戻金は1,000円の2倍で2,000円になります。
倍率は、すべての馬券の売上から、その馬がどれくらいの比率で買われているかによって決められ、多くの人が購入している馬は必然的に倍率が低いです。
したがって、倍率はその馬の人気を表すバロメータであるといえるでしょう。
しかし、人気というのはあくまでも事前のデータや、人々の評判などによって決められるので人気のある馬が必ずしも強い競馬をするとは限りません。
倍率はあくまでも馬券を購入する際の参考程度にとどめておき、自分なりにしっかりとデータなどを調べあげたうえで本当に状に入ると確信した馬を購入するようにしましょう。
過去最高倍率はいずれの券種も平均倍率を大きく上回るものとなっており、的中させれば人生が一変するような倍率となっているものばかりです。
過去最高倍率はいずれも平地戦で発生しているので、一獲千金を狙うのであれば平地戦を中心に馬券を買うようにしたほうがよいでしょう。