皐月賞とは?過去のレース結果や好走する馬の条件などを徹底解説!
全ての牡馬にとって、栄光のあるレースといったらダービーでしょう。
生涯一度しか出走できないダービーは歴史も深く、勝てば永久に名が刻まれます。
競走馬のみならず、騎手も、馬主も、そして競走馬に携わるすべての関係者がダービーを獲ることを夢見て、競走馬とともにします。
ところで、生涯一度しか出走できないレースはダービー以外にも存在します。
例えば、2歳のG1レースもそうですし、今回紹介する皐月賞も当てはまります。
ここでは、皐月賞がどのようなレースであるのか紹介した上で、皐月賞がどのような役割を果たすレースなのか、解説していきます。
皐月賞の概要
開催時期 | 4月の下旬 |
開催場所とコース | 中山競馬場・芝2000m |
年齢 | 3歳のみ |
斤量 | 定量(57キロ) |
最大出走可能頭数 | 18頭 |
皐月賞はクラシック初戦を担う重要なレース
基本的にはダービーの1か月まえに開催されることが多く、ダービーを目指す馬が、皐月賞に挑むケースは多いです。
なぜなら、皐月賞は芝の2000mで開催されるので、中距離適性を計るのに最適です。
また、皐月賞とダービーは約1か月ほど間隔があるので、リフレッシュもできます。
もちろん、皐月賞のレース自体も価値がありますし、ダービーを目指す有力馬のほとんどは皐月賞に挑むといっても過言ではありません。
そして、皐月賞の役割はもうひとつあります。
それは、同世代との格付けです。
皐月賞を通して、中距離が合わなかった馬や、同世代との実力の差を思い知った場合、ダービーではなく、5月に開催されるNHKマイルカップに路線変更するケースは多いです。
NHKマイルカップはダービーよりもレベルは落ちる傾向があります。
ダービーを諦めてでも、G1タイトルを掴もうとする馬が挑みます。
この理屈は桜花賞組にも当てはまります。
オークスを諦めてNHKマイルに路線変更する馬が多いので、NHKマイルは意外と皐月賞・桜花賞組があふれかえります。
そのため、NHKマイルは「残念皐月賞・残念桜花賞」と呼ばれることもあります。
クラシックレースとは?
該当するのは下記の5レースです。
・桜花賞
・ダービー
・オークス
・菊花賞
いずれも3歳馬のみが出走できるレースですね。
なお、秋華賞とNHKマイルカップも3歳馬限定のレースですが、この2つは歴史が浅いことから、クラシックレース扱いはされていません。
過去10年の皐月賞上位3頭
開催年と馬場 | 入選馬 | 騎手 | 人気 | 前走 |
2021 良 |
エフフォーリア タイトルホルダー ステラヴェローチェ |
横山武 田辺 吉田隼 |
2 8 6 |
共同通信杯 弥生賞 共同通信杯 |
2020 稍重 |
コントレイル サリオス ガロアクリーク |
福永 D・レーン L・ヒューイットソン |
1 3 8 |
ホープフルS 朝日杯FS スプリングS |
2019 良 |
サートゥルナーリア ヴェロックス ダノンキングリー |
C・ルメール 川田 戸崎圭 |
1 4 3 |
ホープフルS 若葉S 共同通信杯 |
2018 稍重 |
エピカドーロ サンリヴァル ジェネラーレウーノ |
戸崎圭 藤岡佑 田辺 |
7 9 8 |
スプリングS 弥生賞 京成杯 |
2017 良 |
アルアイン ペルシアンナイト ダンビュライト |
松山 M・デムーロ 武豊 |
9 4 12 |
毎日杯 アーリントンC 弥生賞 |
2016 良 |
ディーマジェスティ マカヒキ サトノダイヤモンド |
蛯名 川田 C・ルメール |
8 3 1 |
共同通信杯 弥生賞 きさらぎ賞 |
2015 良 |
ドゥラメンテ リアルスティール キタサンブラック |
M・デムーロ 福永 浜中 |
3 2 4 |
共同通信杯 スプリングS スプリングS |
2014 良 |
イスラボニータ トゥザワールド ウインフルブルーム |
蛯名 川田 柴田大 |
2 1 8 |
共同通信杯 弥生賞 若葉S |
2013 良 |
ロゴタイプ エピファネイア コディーノ |
M・デムーロ 福永 横山典 |
1 2 3 |
スプリングS 弥生賞 弥生賞 |
2012 稍重 |
ゴールドシップ ワールドエース ディープブリランテ |
内田 福永 岩田康 |
4 2 3 |
共同通信杯 若葉S スプリングS |
有名な皐月賞馬
歴史と伝統の深い皐月賞の中でも、特に印象深い皐月賞馬を紹介します。
超光速で引退した幻の三冠馬 アグネスタキオン
2001年の皐月賞馬、アグネスタキオンは新馬戦から無敗の3連勝で皐月賞に乗り込みました。
デビュー2戦目で臨んだラジオたんぱ賞(現在のホープフルステークス)では、後のダービー馬となるジャングルポケット、芝・ダートのG1を手にするクロフネを赤子扱いして勝利します。
3再初戦で挑んだ弥生賞では、のちに菊花賞馬となるマンハッタンカフェ相手に楽勝。
誰もが世代最強馬だと認識しました。
1番人気に押されて挑んだ皐月賞でも先行競馬でコーナーから動き出すと、後続を寄せ付けずに完勝します。
ナリタブライアン以来、久方ぶりの三冠馬誕生に多くのファンは期待を持ちましたが、なんと、その後、屈腱炎を発症したため引退することになりました。
引退後は、種牡馬として活躍します。
ダービー馬のディープスカイや、超優秀牝馬のダイワスカーレットを輩出しましたが2009年に急性心不全のため、亡くなりました。
大まくりでクラシックを手にしたアンライバルド
皐月賞だけ見たら2009年のアンライバルドのレースも力強い競馬でした。
レース前の下馬評ではステップレースを鮮やかに制したロジユニヴァースとリーチザクラウン、そしてアンライバルドの3強対決といわれていました。
しかし、3強の中で馬券に絡んだのはアンライバルドだけでした。
ハナを切ったゴールデンチケットが1000mを59秒1というハイペースで逃げたことで、先行していたロジユニヴァースにとって苦しい競馬となり、リーチザクラウンも道中で折り合いを欠いて、一杯になったからです。
そのなかで、最初こそ後方に位置していたアンライバルドは向こう正面あたりから徐々に大まくりを開始します。
最後のコーナーを回ったあとの手ごたえは文句のつけようがありません。
直線ではすさまじく伸びました。
先行集団をあっさりかわすと、スピードを落とすことなく、ぐんぐん加速して、一冠を手にしました。
大まくりと無尽蔵を感じさせるスタミナで皐月賞を制したアンライバルド。
ただ、その後のレースでは皐月賞で見せた末脚がうそのように霞み、勝利を手にすることなく引退しました。
偉大なる父の記録を更新したドゥラメンテ
2015年のクラシック世代の代表格といえばドゥラメンテでしょう。
父は種牡馬の巨塔を築き上げたキングカメハメハで母は名牝のアドマイヤグルーヴ。
祖母にはエアグルーヴやダイナカール、そして祖父は凱旋門賞を制したトニービンがいる良血中の良血馬です。
ドゥラメンテの皐月賞はだれもが目を張るものがありました。
終始後方で競馬をしていたドゥラメンテが動き出したのは、4コーナーから直線にかけてです。
鞍上のデムーロ騎手が外に振ろうとしたら……大斜行といってもいいでしょう、思いっきり外に寄れたのでした。
しかし、ドゥラメンテの真骨頂はここからです。
直線が短く、なおかつ急こう配が待ち受ける中山の直線を痛烈な追い込みで駆け上がり、内で善戦するリアルスティールとキタサンブラックをあっさりとかわして勝ち星を掴んだのです。
ドゥラメンテの上がりタイムは33秒9は、上がり2位のリアルスティール34秒5を軽く凌駕していますね。
また、過去に皐月賞を制したディープインパクトの上がりタイムが34秒0なので、それよりも速いです。
ドゥラメンテはその後のダービーで、父キングカメハメハのレースレコードを更新し、誰もが世代最強馬と認識しました。
ところが、怪我のために菊花賞を断念、古馬になってから復活するものの、4歳のときに挑んだ宝塚記念の直後に再び怪我をし、引退しました。
引退後は種牡馬入りしましたが、2021年8月に急性大腸炎のため、亡くなりました。9歳でした。
皐月賞で好走する馬の条件
2012年から2021年の皐月賞で馬券に絡んだ30頭を基に、データをまとめました。
前走が重賞もしくは若葉ステークス
過去10年の皐月賞3着以内の馬、全頭が該当しました。
内訳は下記の通りです。
弥生賞 | 7頭 |
共同通信杯 | 7頭 |
スプリングステークス | 6頭 |
若葉ステークス | 3頭 |
ホープフルステークス | 2頭 |
その他 | 5頭 |
前走で掲示板入りしている
過去10年の皐月賞で馬券に絡んだ30頭はいずれも前走で掲示板入りしています。
内訳は下記の通りです。
前走1着 | 20頭 |
前走2着 | 5頭 |
前走3着 | 2頭 |
前走4着 | 2頭 |
前走5着 | 1頭 |
もっとも好走している産駒はディープインパクト産駒
ディープインパクト産駒は過去10開催で8頭が馬券に絡んでいます。
ちなみにハーツクライ産駒は過去10年で1頭(サリオス)だけでした。
皐月賞のステップレース
弥生賞ディープインパクト記念(G2) | 上位3頭に優先出走権 |
スプリングステークス(G2) | 上位3頭に優先出走権 |
若葉ステークス(L) | 上位2頭に優先出走権 |
まとめ
皐月賞はクラシックの初戦を飾るレースです。
2歳の重賞や3歳春のステップレースで結果を残した馬がぶつかるのでメンバーレベルは高くなります。
また、皐月賞を最後に中距離路線やマイル路線にシフト変更する馬もいるので、ある意味ではもっとも同世代の最強馬がぶつかる一戦ともいえるでしょう。
春のG1を盛り上げる皐月賞。
来年はどんな若駒が現れるのか、今から楽しみですね。