競馬の大差は何馬身差?ペナルティや記録的なエピソードも紹介!

掲示板に表示される【大差】って何?大差勝ちエピソードも紹介!

レースが終了すると必ず表示されるのが全頭の着順です。
着順をよく見ると、着順の近くに「アタマ」や「クビ」、もしくは数字が表示されています。
これは、隣り合った馬との着差を表しています。

例えば、1着と2着の着差が「アタマ」であれば、1着の馬は2着の馬からアタマの分だけ先着しています。
つぎに、数字は「〇馬身」と捉えることができます。

例えば、1着馬と2着馬の差が2馬身であれば、1着馬は2着馬より2馬身分先着しています。
そして、滅多に見ることはありませんが、「大差」という表記がでることもあります。

大差とは何なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
ここでは大差の意味と、過去に大差で勝利した馬を紹介した上で、大差で勝つ馬は実際に強いのかどうか、解説します。

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大差とは何馬身?

大差とは何馬身?

大差の定義
10馬身以上の着差

意図して見ないと目に入りませんが、前の馬と大きく離されて最下位で入選した場合も大差表記されます。

有名な大差勝ちエピソード

有名な大差勝ちエピソード

長い競馬の歴史のなかには、歴史的な大差勝ちで勝利を手にした馬も何頭かいます。
大差勝ちの有名なレースを紹介しましょう。

テスコガビーの桜花賞(1975年)

2013年のJRAのCMにも取り上げられたテスコガビーは75年の桜花賞、オークスを制した二冠牝馬です。
桜花賞での単勝オッズはなんと1.1倍で単勝支持率88%と、圧倒的な支持を集めました。

ゲートを飛び出し、先頭に立つと、後続を寄せ付けつつも余力を残したまま直線に入り、直線では後続を突き放しての圧勝でした。
10馬身以上の大差をつけて桜花賞を制した馬は現在のところ、このテスコガビーだけです。

マルゼンスキーの朝日杯3歳ステークス(1976年)

ウマ娘にも登場しているマルゼンスキーは生涯成績8戦8勝、怪我のために早々に引退してしまいましたが、もし怪我がなければもっと活躍していたかもしれません。

マルゼンスキーの代表的なレースともいえる朝日杯3歳ステークス(現在の朝日杯フューチュリティステークス)では、全力を出し切って逃げます。

2番手を付けていたヒシスピードを置き去りにする競馬で圧勝しました。
2着に入選したヒシスピードとの差はなんと13馬身でした。

ホクトベガのエンプレス杯(1995年)

当時、3歳牝馬限定戦だったエリザベス女王杯を制したホクトベガがダートの素質を開花させたレースです。

G1タイトルをつかんだものの、しばらくスランプに陥っていたホクトベガは、この年から中央と地方のダート交流重賞がはじまったことで、川崎で開催されたエンプレス杯への出走を表明しました。

芝のG1馬が地方のダートに参戦することで大いに注目を集めましたが、ふたを開けてみると、不良馬場をものともしない走りで当時のダート最強牝馬のアクアライデンやケーエフネプチュンなどを赤子扱いする競馬で楽々勝利をつかみました。

2着馬との着差はなんと18馬身!
ここから砂の女王の一歩を歩みだしたのです。

メジロブライトのステイヤーズステークス(1997年)

メジロライアンの代表産駒でもあるメジロブライトはクラシックから注目を集めていましたが、皐月賞は4着、ダービーでも3着でした。
しかし、菊花賞で3着に入選したことで長距離適性を見出され、次走にJRA最長の距離を走るステイヤーズステークスに挑むことになりました。

初の古馬相手のレースとなりましたが、雨の重馬場を全く苦にしない競馬で2着馬を12馬身突き放して勝利を手にします。
そして、そこから翌年の天皇賞(春)まで怒涛の4連勝を成し遂げました。

芝の3000m以上のレースでは勝率50%、複勝率100%の成績で引退した生粋のステイヤーホースでした。

サイレンススズカの金鯱賞(1998年)

伝説の逃げ馬サイレンススズカの代表的なレースです。
年明けからハイペースの逃げをものにしたサイレンススズカが挑んだ金鯱賞では昨年の菊花賞馬のマチカネフクキタルをはじめ、サイレンススズカと同じく連勝街道を走るミッドナイトベットなどが参戦しました。

いつものように先頭に立って前半から飛ばすサイレンススズカは1000mの通過タイム58秒1というハイペースでとばします。

しかし、3コーナーを過ぎても、4コーナーを過ぎても、そして、直線に走っても全くペースを落とすことなく、一人旅でゴールインしてしまいました。
勝ち時計は1.57秒8は改修前の中京のレコード記録となりました。

セクレタリアトのベルモントステークス(1973年)

国内のみならず、海外でも大差勝ちのレースが存在します。
1973年にアメリカの三冠レースを制したセクレタリアトが挑んだベルモントステークスは、その中身の濃さから日本人でも知る人が多いです。

レコードで勝利したセクレタリアトの着差は31馬身。
正直ここまでくるとどれほどの差があったのかえって想像し辛いですが、セクレタリアトがゴール板を通過したころ、後続はまだ残り100mを走っていたそうです。

三冠レースのみならず、ベルモントステークスで桁違いの強さを見せたセクレタリアトは種牡馬としても活躍しました。
日本では目立った産駒はいませんが、ブルードメアサイヤーとして生誕したストームキャットは後に大型種牡馬となりました。

ストームキャットの血を継ぐ牝馬は日本国内に数多く存在していて、例えば、キズナやロードカナロアなどが該当しています。
キズナ産駒やロードカナロア産駒はセクレタリアトの血を継いでいるということになりますね。

100馬身以上の差をつけて勝利したマンノウォー!

セクレタリアトと並ぶ、アメリカ競馬を語る上で欠かせないのがマンノウォーです。
マンノウォーは1917年に生誕したサラブレットでいまから100年以上も前の馬ですね。

三冠馬ではありませんが、生涯成績は21戦20勝、敗れたレースも2着でほとんど無敗といってもいい強さでした。
現役時代の活躍はわずか2年だったものの、デビュー2年目で挑んだローレンスリアライゼーションステークスにおいて、2着馬に100馬身以上の差をつけて勝利しました。

世紀の大差勝ちでしたが、このレースは出走頭数2頭立てのマッチレースで開催され、対戦相手のフッドウインクが明らかに格下の馬であったことや、負けても賞金が得られることから、出来レースに近いものともいわれています。

また、100馬身という数値は映像のない時代、現地の記者が”おおよそ”の間隔でつけた数値で実際はもっと差があったともいわれています。

大差で勝利する馬は強い?

大差で勝利する馬は強い?

これまで紹介した馬は重賞やG1の舞台で大差勝ちを手にしているので、大差勝ちした馬はそろって強い馬と思うかもしれません。

しかし、実力で大差勝ちを手にした馬もいれば、マンノウォーのレースのように、相手関係に恵まれて大差勝利となったレースもあります。
大差勝ちから馬の能力を見極めるポイントを紹介します。

見極めるポイントは相手関係と走破時計

一番手っ取り早いのは、大差勝ちをおさめたレースの対戦相手と走破時計を見ることです。
例えば、サイレンススズカの金鯱賞のように、並みいる重賞馬を一切寄せつけない大差勝ちは高く評価できます。

この金鯱賞はレコードで勝利しているので時計も優秀ですね。
逆に、平凡な時計で大差勝ちの場合は相手が弱かったから大差で勝てたと判断することもできます。

新馬戦や未勝利戦では相手関係に恵まれやすく、重賞は恵まれにくい

競馬はレースに勝って賞金を加算すれば加算するほど、クラスが上がり、より強い馬同士でレースが組まれるので、重賞などの階級の高いレースでは実力の差が小さいです。
逆に、新馬戦や未勝利戦は出走馬の能力の差が大きいです。

ディープインパクトとハルウララが重賞でぶつかることはありえませんが、新馬戦であれば同時に出走していた可能性もあります。
そのため、重賞よりも新馬戦や未勝利戦の方が大差勝ちが多く見られます。

走破時計と過去のコースの平均タイムを見比べる

時計とその距離の平均タイムを見比べて、大差勝ちが実力でもぎ取ったものであるか見極める方法もあります。
先ほどの金鯱賞のサイレンススズカのように、明らかな好タイムで大差勝利した馬は間違いなく実力でつかんだ大差勝ちです。

しかし、相手に恵まれて手にした大差勝ちはそこまで時計は優れていないはずです。
走破時計とコースの平均タイムを照らし合わせて、どうして大差で勝てたのかを見るのも大切です。

距離が短いレースほど大差勝ちはむずかしい

ちなみに、距離が短いレースほど大差勝ちはむずかしいです。
大差で勝つためには後続を置き去りにする必要があります。

そして、後続を突き放すにはある程度の距離が必要だからです。
マイルG1で大差勝ちを手にしたテスコガビーやマルゼンスキーは着差以上に強い競馬といえるのです。

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まとめ

競馬であまり目にすることがない大差勝ち。
自分の購入した馬が後続を突き放して最後の直線を駆け抜けていると安心してレースを見ることができますよね。

ただし、大差勝ちにも2つのパターンがあることは忘れないでほしいです。
近走で大差勝ちした馬を信じる前に、一度、そのレースを分析することは怠らないようにしましょう。