競馬で同着になると馬券の払い戻しはどうなる?3つのケース毎に詳しく解説

競馬で同着になると馬券の払い戻しはどうなる?3つのケース毎に詳しく解説

もし買っている馬券が同着になる可能性があった場合、多くの人が馬券がどうなるのかが気になってくると思います。
実際に具体的にどうなるのか詳細を説明できる人はなかなかいませんよね?

今回は競馬で2頭が同じ着順になった時の馬券への影響を、ケース毎に過去のレースを交えながら詳しく解説していきます。

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競馬で同着になるとどのようなメリットがあるか

競馬で同着になるとどのようなメリットがあるか

最初に競馬で同着になるとどうなるのかを、勝馬投票券購入者の視点からメリットとデメリットを見てみましょう。

まず結論から言いますと、馬券対象となる2頭が同じ着順になると的中の数が増えるというメリットがありますが、的中が増えることで払い戻し金が減るというデメリットが生じてきます。

具体的にどうなるのかを勝馬投票券の中で最もシンプルな単勝を例に見てみると、1着の馬が同着だった場合、2頭の馬が対象となるため、的中投票券も2点となり的中の可能性はあがります。

買っている馬が際どい決着の時などは、明確に着順に白黒を付けてもらうよりも、同じ着順であって欲しいと願うのが購入者の心情ですよね。
このように2頭が同じ着順になることで、的中確率が増加する点が同着の大きなメリットです。

逆に同着のデメリットは払い戻し金額が減少する点です。
単純に考えると的中数が2つに増えたのであれば的中金額は半分になるのでは?と思うかもしれませんが、実はそうではありません。

競馬の勝馬投票券の払い戻し金額は「払い戻し率÷支持率」によって計算されます。
支持率が高くなればなるほど払い戻し金が下がりますが、1着の馬が2頭の方が1頭の時よりも必然的に支持率が増加し、その結果払い戻し金額が減るというデメリットが発生します。

そしてこのデメリットの影響は、買い目の少ない単勝や複勝であったり、本命サイドの馬券であればあるほど支持率の増加が顕著になりやすく、同着による影響が大きくなり、最悪の場合は元のオッズの3分の1以下になるケースもあります

過去の例を見てみると2016年1月31日東京3R新馬戦では、1着と5着の馬が同着となり5着以内の馬が6頭出るという非常に珍しいケースでした。

このレースの払い戻し金を見てみると、締切り前の勝馬の単勝オッズは710円と660円でしたが、同着となったことで払い戻し金は半分以下に下がり、350円と330円という2つの単勝払い戻し金額となりました。

また2021年のチューリップ賞も1着同着という結果に終わりました。
この時の締め切り前の単勝オッズは160円と800円でしたが、1・3番人気が対象になったことで、支持率が大きく増加し、払い戻し金額は110円と240円という、3番人気の馬の払い戻しが800円⇒240円と3分の1以下の金額に減少しています。

このように同着による払い戻し金への影響は避けて通れないデメリットですが、場面によっては的中数が増えることでメリットになる場合もあります。

競馬で同着は実際にはかなり多い?

競馬の同着は2020年を例に見ると1着同着が年間9回発生しています。

だいたい平均すると1つの着順で年に4回程度の確率で発生することになり、そこから払い戻しの対象となる3着まで広げると、単純計算ではありますが4×3=12となり、年に12回程度は払い戻しに影響を与える同着が発生すると想定できます。

また馬券を購入する競馬ファンからすると、どうしても払い戻し対象となる3着までの同着に目が行きがちですが、実は4着以下の着順であっても同着は適用され、全ての頭数を対象に同着の数を見てみると、実はかなり高い頻度で発生しています。

例えばフルゲート18頭立てのレースであれば17着が同着というケースも当然発生し、過去の例としては2012年7月28日新潟12Rは17着が2頭同じ着順となった珍しいケースです。

競馬で同着になった場合の馬券への影響は

競馬で同着になった場合の馬券への影響は

最初にメリットとデメリットを簡単に紹介しましたが、同着になった場合に気になるのは、ケースによって馬券への影響が変わるという点です。
基本的に同着は1着から3着までを対象に3つのケースがあり、それぞれのケース毎にどうなるのかが大きく変化します。

ちなみに同着は必ず2頭というわけではなく、同じ着順が3頭以上になる場合もあり、理論上は4頭以上同じ着順になる可能性もありえますが、記録に残っている限りですと現在まで3頭を超える同着はありません。

それでは3つのケースで馬券への影響がどうなるのかを見ていきましょう。

1着が2頭同じ着順だった場合の馬券への影響

1つ目のケースは1着が同着になるとどうなるのかです。
具体的には単勝・馬単・3連単の払い戻しが2通りになります。
JRAの回答では以下のように記載されています。

「1着が2頭以上となった場合は、いずれか1頭の馬を1着、いずれかの1頭の馬を2着、及びいずれかの1頭の馬を3着とみなします。」

単勝・馬単・3連単ではこの「いずれか1頭の馬を1着、いずれかの1頭の馬を2着とみなす」という部分が適用され、払い戻しが2通り発生します。

例えば1番と2番が1着で同着となり、2番手入選が3番だったケースを当てはめると、「1番を2着とみなし2番を1着とみなし3番を3着とみなす」と「1番を1着とみなし2番を2着とみなし3番を3着とみなす」の2つが生じてきます。

馬券種類 理由 影響の有無
単勝 1着馬が2頭いるため2通りに変化(1、2)
複勝 2番手入選の馬が3着となり馬券対象は3頭のため影響なし(1、2、3) ×
ワイド 2番手入選の馬が3着となり馬券対象は3頭のため影響なし(1‐2、1‐3、2‐3) ×
枠連 1・2着が順不同のため影響なし(1‐2) ×
馬連 1・2着が順不同のため影響なし(1‐2) ×
馬単 2パターン適用されるため2通りに変化(1⇒2、2⇒1)
3連複 2番手入選の馬が3着となり馬券対象は3頭のため影響はなし(1‐2‐3) ×
3連単 2パターン適用されるため2通りに変化(1⇒2⇒3、2⇒1⇒3)

またこのケースでは2番手に入選した馬が3着となり、複勝やワイド・3連複・3連単に影響を及ぼす3着馬は、実質2番手に入選した馬が対象となり、3番手に入選した馬は馬券の対象外となるため注意しましょう。

2着が2頭同じ着順だった場合の馬券への影響

2つ目のケースは2着が同着になるとどうなるのかです。
具体的には枠連・馬連・馬単・3連単の4つの馬券種類の払い戻しが1つから2つに増加します。
JRAの回答では以下のように記載されています。

「2着が2頭以上となった場合は、いずれか1頭の馬を2着、及びいずれか1頭の馬を3着とみなします。」

枠連・馬連・馬単・3連単では「いずれか1頭の馬を2着、及びいずれか1頭の馬を3着とみなす」の部分が適用され、払い戻しが2通り発生します。

3番が1着で2着が1番と2番で同着だったケースを当てはめると、「1番の馬を2着とみなし2番の馬を3着とみなす」と「2番の馬を2着とみなし1番の馬を3着とみなす」という2つが生じます。

馬券種類 理由 影響の有無
単勝 1着馬は1頭のため影響なし(3) ×
複勝 3番手入選の馬が4着となり馬券対象馬は3頭のため影響なし(1、2、3) ×
ワイド 3番手入選の馬が4着となり馬券対象馬は3頭のため影響なし(1‐2、1‐3、2‐3) ×
枠連 2パターン適用されるため2通りに変化(3‐1、3‐2)※同枠の場合は影響なし
馬連 2パターン適用されるため2通りに変化(3‐1、3‐2)
馬単 2パターン適用されるため2通りに変化(3⇒1、3⇒2)
3連複 3番手入選の馬が4着となり馬券対象馬は3頭のため影響はなし(1‐2‐3) ×
3連単 2パターン適用されるため2通りに変化(3⇒1⇒2、3⇒2⇒1)

このケースでも1着同着の時と同じく3番手に入選した馬は4着となり馬券対象外になります。
また特殊な例として2着の同着馬が同枠馬ですと、枠連の的中は1通りとなり変わらないため的中数への影響はありません。

3着が2頭同じ着順だった場合の馬券への影響

3つ目のケースは3着が同着となるケースですが、この3着同着には1・2着と異なり大きな違いがあります。

それは馬券対象となる馬の頭数が3頭から4頭に増える点です。
馬券対象の頭数が増えることで、複勝・ワイド・3連複・3連単の4つが的中増加の対象となります。
JRAの回答では以下のように記載されています。

「3着が2頭以上となった場合は、いずれか1頭の馬を3着とみなします。」

※ワイドにおける3着どうしの組合せ及び3連複・3連単における3着どうしを含む組合せは不的中となる

複勝・ワイド・3連複・3連単では「いずれか1頭の馬を3着とみなす」の部分が適用され、これらの馬券種類で払い戻しの数が増加します。

1着が3番、2着が4番で、3着が1番と2番で同着だったケースを当てはめてみると、「1番の馬を3着とみなす」と「2番の馬を3着とみなす」の2つが生じます。

馬券種類 理由 影響の有無
単勝 1着馬は1頭のため影響なし(3) ×
複勝 馬券対象馬が4頭へと変化し的中は4通りになる(1、2、3、4)
ワイド 馬券対象馬が4頭へと変化し的中は5通りになる(1‐2、1‐4、2‐3、2‐4、3‐4)
枠連 1・2着馬が対象のため影響なし(3‐4) ×
馬連 1・2着馬が対象のため影響なし(3‐4) ×
馬単 1・2着馬が対象のため影響なし(3⇒4) ×
3連複 馬券対象馬馬が4頭へと変化し的中は2通りになる(1‐2‐3、1‐2‐4)
3連単 馬券対象馬馬が4頭へと変化し的中は2通りになる(3⇒4⇒1、3⇒4⇒2)

このケースですと、4番手に入選した馬は5着になりますが、当然馬券には全く影響はありません。

またJRAの注意書きにもあるように、3着同士の組み合わせは対象外となり、上記の例ですとワイド・3連複・3連単で1‐2が絡む馬券は3着同士で不適中となります。

競馬の過去の特殊な同着の実例を紹介

競馬の過去の特殊な同着の実例を紹介

同着の数は年間で見るとそれなりに発生することがわかりますが、過去のケースを見てみると中には特殊な同着も存在しています。

先ほど紹介した2016年1月31日東京3Rは非常に珍しいケースですが、ここではさらに3つ、過去実際にあった同着のケースを紹介します。

競馬で3着同着が3頭以上

中央のレースでは1・2着が3頭以上の同じ着順となった記録は残っておりませんが、3着の同じ着順が3頭以上あったケースは過去3件記録に残っています。
その中で直近ですと3日間開催となった2020年11月23日阪神12Rです。

3着同着が3頭となるケースでは、馬券対象馬が3頭から5頭へと増加することで払い戻しの数が大幅に増加します。
このレースの払い戻しの結果は以下の通りです。

単勝 8 390円
複勝 8 110円
18 150円
1 140円
4 130円
11 110円
ワイド 8‐18 360円
1‐8 320円
4‐8 260円
8‐11 190円
1‐18 530円
4‐18 580円
11‐18 370円
枠連 4‐8 1710円
馬連 8‐18 2110円
馬単 8‐18 3500円
3連複 1‐8‐18 1960円
4-8-18 2020円
8-11-18 1140円
3連単 8-18-1 8030円
8-18-4 8750円
8-18-11 5410円

複勝が3通りから5通りへ、ワイドが3通りから7通りへ、3連複が1通りから3通りへ、3連単が1通りから3通りへそれぞれ増加しています。
このように2頭が3着に同じ着順となるケースと違い、3頭が対象になるとさらに払い戻しの数が増加します。

3着同着が3頭いるケースは、中央競馬では過去3回しか記録に残っていない、非常に珍しい特殊なケースです。

中央競馬重賞レースでの1着同着

全てのレースを対象にした場合、同着の可能性はそれなりにあることは説明しましたが、対象を過去の重賞レース以上でかつ1着同着に絞ると、2022年の時点で11回と同着の件数は大きく減少します。
直近ですと先ほど少し紹介した2020年3月6日11Rのチューリップ賞です。

重賞以上の1着同着では最も新しく、このレースではメイケイエールとエリザベスタワーが共に1着という結果に終わっています。
ちなみに過去GⅠの1着同着ですと2010年オークスでのアパパネ・サンテミリオンの1着同着が唯一の例となります。

中央競馬発売海外レースでの同着

最近では海外の大レースの馬券も買うことができるようになりました。
海外レースの主催者はJRAではないですが、馬券はJRAが胴元となりJRAにプールされた金額を元に発売をしています。

2022年3月にはドバイワールドカップで日本馬が活躍したことでも話題になりましたが、この2022年ドバイワールドカップでは、JRAが馬券を発売する海外のレースでは、唯一となる同着が発生しています。

対象となったレースは2022年3月26日メイダン競馬場、芝1800mで行われたドバイワールドカップターフで、前走中山記念を大逃げで勝ち、「令和のツインターボ」「令和のサイレンススズカ」として話題になったパンサラッサが逃げてレースを引っ張る中、最後のゴール板では同馬を含む3頭がほぼ同時に入選。

長い写真判定の末、アイルランド所属のロードノースと同馬が1着同着となり、パンサラッサは念願のGⅠタイトルを海外で獲得することになりました。

JRAが発売する海外の大レースでは異例ともいえる、1着が2頭同じ着順での決着となった非常に珍しいケースです。

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まとめ

同着になるとどうなるのか要点をまとめると以下の通りです。

同着になった際のポイント
①的中確率が上がるメリットがある
②払い戻し金額が下がるデメリットがある
③単勝・複勝・本命サイドなど、支持率が高くなるほど、下がる金額は大きくなる
④3つのケースがあり馬の入選順位によっては馬券対象外になる場合もある
⑤3つのケース毎に対象となる馬券の種類が異なる

今回紹介した3つのケース全てを覚えておく必要はありませんが、3着同着の場合は馬券対象となる馬の数が増加するという点だけでも知っておくと、2頭が同じ着順になった場合も慌てずに対処できるようになります。