確率理論を競馬で活かすためには?確率から見るデータ分析と回収率を上げる方法
確率は予想の判断材料になるだけではなく、単独でも機械的に予想を行うことができる立派な予想プロセスの1つです。
この記事では確率の基本的な部分の確認や、実際に確率理論で予想する方法を簡単に紹介します。
競馬の確率論とは
競馬の予想では確率理論も重要な予想材料の1つになります。
競馬の確率というと分かりやすいのが単勝でここではサイコロの6分の1をイメージしてみてください。
18頭立てのレースであれば単純な確率論でいえば18分の1となります。
しかし実際には同じ公営ギャンブルである競艇が圧倒的に1番が有利であるように、競馬も各競馬場の開催時期やコースによって大きく変わってきます。
例えば開幕ならば内枠馬が有利、新潟の千直は後半になるほど外枠が有利といった具合です。
このように競馬に勝つためには、環境や馬の実力などの様々な要素を考慮し、実際の確率を弾き出した上で予想に活用する必要が生じます。
これは開幕週で内枠の馬の勝率は何%なのか、新潟の千直は具体的にどれくらい開催が進むほど外枠の勝率があがるのか、といった確率を弾き出す必要があるということです。
しかしまずは、今一度確率の基本をしっかりと押さえておきましょう。
特に機械的に弾き出される確率は一見すると役に立たないように思う人も多いと思いますが、数字を詳しく分析していくと知識として役に立つ部分も見えてきます。
馬券種毎の確率は理論上どのくらい?
馬券種類の確率は一見すると競馬予想に役に立たないように思う人が多いのは、実際に馬番などの環境面や馬の実力などが加味され、全ての馬が同じ条件で勝てる可能性があるわけではないからです。
では実際に役に立たないのかを数値を元に詳しく見てみましょう。
競馬の馬券種類毎の1点で購入した際の的中確率は以下になります。
18頭立て (フルゲート) |
10頭立て | 7頭立て | |
単勝 | 5.5% | 10% | 14.2% |
複勝 | 16.6% | 30% | 28.5% |
ワイド | 1.9% | 6.6% | 14.2% |
枠連 | 0.6% | 2.2% | 発売なし |
馬連 | 0.6% | 2.2% | 4.76% |
馬単 | 0.3% | 1.1% | 2.38% |
三連複 | 0.12% | 0.83% | 1.78% |
三連単 | 0.02% | 0.13% | 0.47% |
これらは全て1点で購入した場合の確率のため、2点購入すれば単純に2倍となり、10点購入の場合は10倍となります。
3連単などは的中率を高めようと100点近く購入する人もいますが、確率の単純計算ですとフルゲート18頭では的中率が僅か2%に上昇するのみです。
しかし実際には様々な予想プロセスの元で、極めて高い確率で馬券に絡まない馬はある程度予想できるため、この数値を覚えておくことで、自分の予想プロセスを加味した確率を弾き出すことが可能になります。
機械的な確率は高ければ高いほどよいので、予想で迷った場合などは馬券種類の確率理論から選んでみるもの1つの方法になります。
そして複勝馬券は7頭以下になると3着ではなく2着までが対象となるため、7頭以下の複勝は基本的に旨味がなくなり、的中確率は10頭立てよりも低下する点は覚えておきましょう。
またワイドは7頭立てでも馬券対象となる着順は3着までですので、こちらは単勝と同じ的中率になるという点も知っておくと、少頭数の馬券戦略の幅が広がります。
馬の人気は実力のバロメーター
馬の人気はそれだけその馬が勝つ確率が高いと多くの人が思うからこそ人気が上昇するため、人気は馬の実力をはかることができるバロメータともいえますが、実際にこれを競馬の予想に活かせば利益が伴うのかといえば決してそうではありません。
なぜなら1番人気となるとオッズが低下し利益率が極端に下がり、馬券が的中しても利益を出すのは難しいからです。
参考までに2020年の人気別の勝率・複勝率は以下の通りになります。
単勝人気 | 2020年勝率 | 2020年複勝率 |
1番人気 | 32.1% | 62.7% |
2番人気 | 19.0% | 51.5% |
3番人気 | 13.2% | 41.2% |
4番人気 | 9.2% | 32.4% |
5番人気 | 7.3% | 25.6% |
6番人気 | 5.2% | 21.4% |
7番人気 | 4.5% | 17.1% |
8番人気 | 2.9% | 13.1% |
9番人気 | 2.2% | 10.7% |
10番人気 | 1.6% | 8.5% |
11番人気 | 1.1% | 6.7% |
12番人気 | 0.8% | 5.2% |
13番人気 | 0.9% | 4.2% |
14番人気 | 0.8% | 3.5% |
15番人気 | 0.5% | 2.1% |
16番人気 | 0.5% | 1.9% |
17番人気 | 0% | 0.3% |
18番人気 | 0.4% | 0.8% |
一番人気の勝率や4番人気までの複勝率はそれぞれ30%を超えている信頼できる数値ですが、当然このように確率の高い人気のオッズは利益率は極めて低くなるのが現状です。
しかし一見すると人気別に見る確率は背中を押してくれる目安に過ぎないと思われがちですが、むしろ予想で注目すべきは下位人気です。
例えば15番人気以下の勝率は0.5%以下と極めて低く、この数値は年度ごとに若干の変化はあるものの、基本的に似た数値に落ち着きます。
さらには17~18番人気をトータルで見ると勝率は0.2%で複勝率は0.05%のため、下位人気以下の馬が馬券に絡む確率は極めて低いことがわかります。
例えば2020年度の車の交通事故に遭う確率は0.245%と言われていますが、17~18番人気の馬の馬券確率を単独で見ると、日常生活の中で交通事故に遭うようなものです。
ですから下位の人気の馬が馬券に絡めば交通事故に遭ったものと考え、思い切って人気で消すもの1つの方法でになります。
予想した上で根拠があり消せない馬は別ですが、特に理由がないのであれば低人気馬はバッサリと切るのが、人気の確率を競馬予想に当てはめる考え方です。
予想に活用できる確率とは
先ほどは馬券種類と人気に関する確率を紹介しましたが、それ以外にも確率理論として役に立つ数値はいくつかあります。
その中でも重要なのが以下の3つです。
・連対率
・複勝率
勝率とは1着になる確率のことであり、連対率とは2着になる確率で、複勝率は馬券対象となる3着以内になる確率になります。
この3つの確率は馬券購入者の成績よりも、むしろ馬券購入対象である馬自身や騎乗する騎手、管理する調教師や馬主、生産牧場から血統といったように、自分以外の対象を元に過去の実績から数値を弾き出す際に目安として用いられます。
そしてこの3つの確率を用いた確率理論を予想に反映させることで予想に幅が広がります。
例えば2020年度の騎手リーディングのルメール騎手は、この年の勝率26.1%連対率43.7%複勝率54.5%であり、1番人気馬の総合成績に匹敵する結果を出しています。
またこの年の最高勝率調教師であるリーディング2位の友道厩舎は、勝率18.9%連対率27.9%複勝率37%とこちらもかなり高い数値です。
これら2つの条件が重なった場合は足し算とまではいきませんが、それなりに確率が高くなることは容易に想像できますよね。
また馬券に絡む確率を示す複勝率は両方とも高いため、3連系の馬券を買う際は勝率・複勝率の高さは、予想の決め手ともなる軸馬選定の重要なデータになってきます。
ちなみにこの2人がコンビを組んだ際の2020年の結果は、勝率50%連対率50%複勝率50%となっており、想像の通り高い数値を残していますが、実際このコンビによる騎乗機会は6回しかありません。
ここで重要なのはデータを見て、自分がメインで買う馬券種において何が重要なのかをチェックすることです。
単勝であれば勝率の高さ、2着までをカバーする必要のある馬連や馬単では連対率、3連複やワイドであれば勝率よりも複勝率といったように、購入する馬券に応じて注目する部分が異なってきます。
ここでは騎手と調教師を例に紹介しましたが、それ以外にも色々な対象の過去の勝率・連対率・複勝率を調べることが可能です。
確率から見るデータ分析
様々な対象の勝率や複勝率・回収率を競馬予想に具体的に活かすためには対象を1点でなく、複数点に広げデータを分析することが大事になってきます。
例えば上述したルメール騎手・友道厩舎のコンビは共にトップクラスながらも、騎乗機会一致の縁が少なく馬券に繋がる機会も必然的に低下します。
そのため今度は以下のように深堀して探していきます。
・ルメール騎手の得意な競馬場やコースはどこか?
・ルメール騎手と相性の良い馬主は誰か?
仮に対象が友道厩舎でも条件は同じで、相性の良い騎手や競馬場・コース・馬主などをデータベースで検索し勝率・連対率・複勝率を目安に探していきます。
これがデータベースを使ったデータ分析作業のメインになります。
このようにしてデータを分析し3つの数値が優秀な条件を見つけることができれば、この条件はそのまま競馬予想に活かすことができます。
これが確率理論を競馬予想に活かす有効な方法です。
また、上位騎手や厩舎などは単純に3つの数値が高いため探しやすいですが、興味があれば成績がトップクラスではない騎手や厩舎なども対象に広げてみましょう。
最初の抽出段階で数値は大したことがないように見えても、ここで実力のバロメータでもある「人気」というフィルターをかけてさらに抽出してみてください。
例えば2020年のルメール騎手の1番人気での勝率は35.2%とかなり優秀ですが、同年にソダシで注目を集めた吉田隼人騎手を例に見てみましょう。
吉田隼人騎手の2020年総合成績は勝率12.2%連対率22.3%複勝率31.7%と、ルメール騎手の総合成績と比べると差がありますが、対象馬を1番人気に限定して数値を見てみると勝率34.9%と、ルメール騎手とあまり変わらない成績です。
ですから馬の実力が伴っていれば吉田隼人騎手はしっかりと実力を発揮できていることが勝率からわかります。
このように一見すると大したことのない3つの数値も、人気というフィルターをかけて抽出することで、大きく変化する場合があります。
今回の具体例は騎手ですが、騎手以外にも成績が下位の条件からデータ分析を行う際は、騎手でも競馬場や厩舎などの相性の良い条件を探しつつも、さらに人気で細かく正確に数字を分析することで、それぞれの得意な条件を分析することが可能です。
競馬の確率論による回収率と的中率の違い
競馬の確率では勝率や複勝率以外に、回収率や的中率なども確率を計算することが可能です。
回収率とは100%を基準に上回れば黒字、下回れば赤字というように、短いスパンでなく長いスパンで利益が出たかを確認する際に有効な数値となります。
的中率とはどれぐらいの確率で馬券が的中しているのかを表している数値となり、仮に的中率が20%だった場合は5回に1回は馬券を的中させていることになります。
この2つの確率でどちらが重要かとなるとやはり回収率が重要になります。
なぜならどんなに的中率が高くても回収率が100%を下回るのであれば利益に結びついていないため、馬券収支は赤字になってしまい、逆に的中率が低くとも回収率が100%を超えていれば利益に結びついており馬券収支は黒字だからです。
確率理論では回収率と的中率どちらが重要?
馬券を買う人にとっては的中率よりも回収率のほうが重要であることは間違いありません。
しかし的中率が必ずしも重要ではないかといえばそうではなく、大事なのは的中率と回収率のバランスです。
一般に本命サイドの馬券を中心に買う人は的中率は高く、穴馬を中心に買う人は的中率は低くなり、単勝・複勝などのシンプルな馬券を買う人ほど高い傾向になりやすく、3連系を中心に買う人ほど低くなりやすくなります。
例えば単勝を例に回収率100%という基準で的中率を見ると、的中率10%の場合は単勝10倍以上の配当を10回に1度は的中させる必要があり、これが的中率5%となると20倍以上のオッズの馬を的中させなければ回収率100%となりません。
回収率は馬券購入の結果ですが、的中率は回収率100%を目指すための指標になり、馬券購入者は現在の的中率で回収率を100%にするためには、どのぐらいのオッズを買う必要があるのかを、的中率からある程度見極めなくてはなりません。
これは的中率25%の人であれば単勝500円をコンスタントに当て続ければ良いのに対し、的中率が10%を下回る人は回収率100%を目指すためにはそれなりに穴を狙う必要があるということです。
ですから本命サイドの馬券を中心に買う人であれば的中率25%は維持しておきたいところですし、逆に穴馬狙いでも的中率10%は維持しておくのが一般的な理想の的中率となります。
また一般的に言われる確率統計では、5倍は2~3番人気、単勝10倍は5番人気、単勝20倍は7番人気に相当するため、上述の人気順で単勝5倍以内で16%、単勝10倍で7.0%、単勝20倍で4%の的中率が、回収率100%を超えるために必要な的中率のボーダーの目安となります。
自分のよく購入するオッズとボーダーの目安を比較した上で、回収率を上げるためには必然的に的中率をあげることも必要です。
自分の回収率に不満が残る人は、的中率と回収率のバランスをみて、普段回収率を下げる不安定な購入を行っていないかチェックし、自分の購入スタイルで的中率がどの程度必要なのかを確認してみましょう。
まとめ
確率理論を使った買い方を単独で行うと、予想に必要な余計なプロセスを省き機械的に馬券を買うことができ、予想に必要な時間を削減できるというメリットがあります。
確率理論は自分の中で一度プロセスを確立してしまえば、あとは数値の裏付けだけを信頼し予想に迷うことなく馬券を買うことができるため、シンプルで手軽に予想が行える人気の予想プロセスの1つです。