1番人気の逃げ馬は狙い目なのか検証!メリット・デメリットもあわせて解説
「競馬は逃げ馬を狙え」という言葉がありますが、なぜ逃げ馬を買うのがおすすめなのでしょうか?
それは逃げ馬はスムーズに走ることさえできれば、コーナーから直線までを最短距離で走ることができるためです。
これは一般に経済コースを走るともいわれますが、理論上競馬のレースでは内枠の馬が最内をロスなくスムーズ回ってくるのが、最もレースを有利に運ぶことができる理想の勝ち方です。
ではこの理想の勝ち方が可能な逃げ馬の1番人気を買い続けると、回収率はプラスになるのでしょうか?
この記事では逃げ馬の1番人気はお得なのかを検証します。
競馬は逃げ馬を狙え
競馬は逃げ馬が展開面で最も有利にレースを運ぶことが可能です。
ですが実際のレースでは馬の能力や脚質により前に行くことのできない馬もいるため、多くの馬は逃げ馬を楽に逃がさないために、逃げ馬にプレッシャーをかけてスムーズに逃がさないようにします。
しかしそれでも前に行ける馬というのは競馬では最も勝ちに近い馬であることが数値からもわかります。
実際に2021年に競馬で1番人気になった馬の勝率は33.0%で複勝率は63.9%となっていますが、この数値を細かく見ていくと、1番人気で3コーナーと4コーナーで共に先頭に立っていた馬の勝率は52.7%、複勝率は78.6%とさらに上昇します。
逆に1番人気で道中2番手だった馬の勝率は43.6%で複勝率は75.1%と、複勝率こそ高いものの勝率に大きな開きが生じ、道中での着順が下がれば下がるほど例えば1番人気といえども数値は徐々に減少していきます。
つまり競馬は1番人気の逃げ馬こそがデータ的に最も勝つ可能性の高い馬であることが数値からわかります。
2021年の道中通過順の勝率・複勝率を表にまとめると以下の通りです。
勝率 | 複勝率 | |
1番人気総合 | 33.0% | 63.9% |
1番人気かつ3角4角共に1番手 | 52.7% | 78.6% |
1番人気かつ3角4角共に2番手 | 43.6% | 75.1% |
1番人気かつ3角4角共に3番手 | 33.2% | 72.0% |
1番人気かつ3角4角共に4番手 | 30.2% | 59.3% |
1番人気かつ3角4角共に5番手 | 24.6% | 57.9% |
このように道中3番手までは平均を上回る数値となっていますが、4番手以降になると1番人気の平均勝率・複勝率を共に下回るという結果が数値からわかります。
つまり例え1番人気であっても、道中前に付けることのできない馬は馬券に絡む可能性が下がってしまうことになります。
ですから馬券をコンスタントに当てるためには、1番人気で前に道中3番手以内につけることのできる脚質の馬を軸に選ぶことが、的中率の面では最も確実な戦略です。
逃げ馬の見分け方と注意点
では実際に軸となる逃げ先行馬を見分けるためにはどういった部分に注意すればよいでしょうか?
逃げ馬を選ぶ上で最も基本となるのが、馬の出走表からわかる過去成績で、出走表から狙っている馬の過去の位置取りを確認し、過去の実績から前に行くことが濃厚である馬を選ぶ必要があります。
例えば近3走が1~3番手以内に付けており5着以内に入る時計を持っている馬であれば、同じクラスのレースであれば引き続き前に行く可能性は極めて高くなります。
逆に近3走のうち普段は後方に位置していた馬が、前走たまたま前に付けて粘り込むことができたような馬などは、次走も前に付けることができる可能性という点では信用はできません。
ですから逃げ馬など前に行く馬を見分ける際は、近走の脚質をしっかりと分析した上で、信頼のおける馬を選ぶことがなによりも重要になります。
また逃げ馬はそれ以外にも枠順・騎手といったように様々な要素に左右されるため、実は逃げ馬を見分ける作業は予想の中でも非常に大変な作業の1つです。
1番人気の逃げ馬はお得?
記事の最初に1番人気で前に行ける馬、特に逃げ馬の勝率や複勝率は平均と比較しても成績が優秀であることを紹介しましたが、的中率こそ優秀ですが実際に馬券的にお得なのかを考えると、決してお得というわけではありません。
なぜなら1番人気の馬は必然的にオッズが低下し回収率が大きく低下するからです。
2021年で逃げた馬の人気別の回収率は以下の通りになります。
勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 | |
逃げ馬総合 | 22.4% | 47.3% | 264% | 162% |
逃げ馬1番人気 | 52.7% | 78.6% | 120% | 101% |
逃げ馬2番人気 | 34.0% | 69.5% | 135% | 113% |
逃げ馬3番人気 | 28.0% | 60.5% | 161% | 118% |
逃げ馬4番人気 | 20.0% | 53.2% | 176% | 136% |
逃げ馬5番人気 | 17.7% | 47.3% | 197% | 142% |
逃げ馬10番人気 | 10.2% | 26.0% | 552% | 258% |
同じ逃げ馬でも勝率と複勝率は1番人気と比較すると劣り、4番人気以下となると平均を下回りますが、実は回収率はむしろ人気が下がるほど数値が上昇していきます。
仮に1番人気の逃げ馬を買い続けても単勝回収率は100%を超えているため、理論上馬券数値はプラスとなりますが、実際には逃げ馬は1レースの中で1頭しかおらず、逃げるためには様々な要因が必要なことから、逃げ馬を的確に予想するのは困難です。
ですから実際に1番人気の想定逃げ馬を買っても、その馬が逃げることができない場合も多く、1番人気の逃げ馬という理由だけで馬券を買い続けた場合、回収率100%を下回る可能性が高くなってしまいます。
勝つためには逃げ馬は1番人気じゃない馬を狙おう
以上のように的中率ではなく回収率という視点から見ると、1番人気の逃げ馬よりもむしろ2番人気以下の逃げ馬を狙った方が断然お得ということになります。
単純に1番人気の馬の単勝オッズが2倍と想定した場合、勝率から回収率を100%以上にするためには、的中率50%を常に維持する必要があり、基本的に取りこぼしは絶対に許されません。
それに対して2番人気のオッズを4~5倍と想定すると的中率は20~25%を維持すればよいため、ある程度の取りこぼしも許されます。
これは人気が下がれば下がるほど、回収率100%を超えるために要求される的中率もオッズの増加により下がるため、1番人気の逃げ馬よりも2番人気以下の逃げ馬を狙う方が、競馬で勝つ=回収率という点では断然お得です。
ただし上の表から見ると単純に回収率の数値だけをみれば5~10番人気の逃げ馬に狙い目を定めて購入した方がお得に見えますが、実は逃げるためには馬の実力も必要不可欠です。
基本的には高いスピードを持っているからこそ馬は前につけることができるため、低人気の馬の多くはスピードが不足し馬の実力から逃げること自体が困難であることが多く、仮に逃げることができたとしても直線で失速してしまうことも少なくありまえん。
ですから基本的に逃げ馬を選ぶ際には、近走の実績でスピードの裏付けがしっかりとある2~4番人気前後の馬を買うのが理想です。
もし人気薄の馬を逃げ馬として予想し買う際には、馬の変わり身・コース替わり・騎手変更・初ブリンカーといったように、複数のプラス材料を加味した上で買うようにしましょう。
逃げ馬はOPよりも条件クラスが狙い目
逃げ馬を買う場合は一流馬が揃うOPクラスのレースよりも、下級条件を狙うのが勝率や回収率からも狙い目となります。
なぜなら下級条件の場合は、前に行けない馬=単純なスピード不足であることが多いのに対し、OPクラスとなると切れる末脚を武器に勝ち上がってきた実力の備わった差し・追い込み馬が増えてくるためです。
2021年の「道中1~2番手につけた1番人気馬」のクラス別成績は以下になります。
勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 | |
道中1~2番手の1番人気馬総合成績 | 47.0% | 76.1% | 111% | 100% |
未勝利戦 | 45.5% | 78.6% | 99.0% | 98.0% |
条件クラス | 49.5% | 75.4% | 123% | 103% |
OPクラス | 30.4% | 51.8% | 85% | 72% |
新馬戦を除く未勝利・条件・OPの3つのうち、道中1~2番手に付けることのできた1番人気馬が最も優秀な成績だったのは条件クラスとなり、次に未勝利戦も成績は平均と比較しても悪くはありません。
逆にOPクラスになると平均数値と比較しても大きく数値が低下することがわかります。
このクラスによる数値の幅が生じる理由は、上述の通りOPクラスになると鋭い末脚を武器とする差し・追い込み馬も一定の確率で馬券に絡みやすいためです。
単純に逃げ馬を予想するには条件クラスよりも、脚質の定まりやすいOPクラスの方が、未勝利・条件クラスよりも前に行く馬の予想はしやすいです。
ですが前に行く馬が強いと考えるのは、実力が拮抗しやすい条件戦以下で有効な戦略であり、メインレースなどのOP戦では前に行ける=「強い」ではないことを理解しましょう。
逃げ馬を買うデメリット
逃げ馬を買い続けることができれば競馬は勝つことができると言われるぐらい、逃げ馬は全コースを対象にした場合に最も強力な脚質で、その中でも特に下級条件では最も勝率・複勝率が高いことが上述のデータからわかります。
ですから競馬で勝つためには下級条件の逃げ馬を予想し馬券を買うことが最も有効な戦略となってきますが、実は逃げ馬を買い続けるためには大きなデメリットがあります。
それはどの馬が逃げるのか予想が難しいという点です。
例えば逃げが予想される馬が2頭いた場合には、逃げ馬は必ず1頭しかいませんので、どちらかの1頭は逃げが得意な脚質であったとしても逃げることは不可能で、これは前走逃げた馬の頭数が増えるほど逃げ馬を予想するのが大変になってきます。
前提条件として逃げ馬を買い続ければ回収率がプラスになるのは「競馬新聞が予想する逃げ馬を買う」のではなく、どの馬が逃げるのかを予想し、その馬が確実に逃げの脚質でレースを進めることが出来た場合であるという点を理解しましょう。
馬の脚質がある程度決まっているOPクラスや重賞レースなどは、レースが競馬新聞の脚質通りに進むことも多いですが、1日のレースで半分以上を占める未勝利戦や条件クラスのレースでは、特にこの逃げ馬を予想するのが大変で、思わぬ馬がハナを切ることも日常茶飯事です。
また下のクラスほど出遅れも多く、スタートが遅れたことで本来逃げる予定だった馬が前につけることができないといったことが起こりやすいのも下級条件の特徴になります。
このように多くの人が逃げを想定していない馬の逃げを予想し、不測の事態も考慮しつつレースで実際に逃げる馬を独自のプロセスで予想し馬券に絡めていくことが、逃げ馬を買う際には最も重要になってきます。
実際に逃げ馬が本当に逃げるかどうかを判断する要素は以下のようにたくさんあります。
・馬の適正
・馬の調子
・騎手や調教師の指示
・枠順
・コース
これらの判断材料を元に総合的に逃げ馬を予想することが重要なのですが、これらの材料を予想に活かすためには購入者の競馬に対する豊富な経験も必要になります。
逃げ馬を予想することの難しさというデメリットをメリットに変えるためにも、常にどの馬が逃げるかを予想する癖を日頃からつけるようにしましょう。
まとめ
この記事で紹介したように1番人気の逃げ馬は、確かに勝率・複勝率共に高い数値を誇っていますが、この数値はあくまでも1番人気で逃げることができた馬を元に弾き出した数値です。
またOPクラスと下級条件では逃げ馬の勝率に大きな開きがあり、下級条件の方が逃げ馬が勝ち切るケースが非常に多いのが特徴です。
ですから人気馬を狙う際には1番人気の逃げ馬ではなく、下級条件のレースで2番人気以下の逃げ馬を買うのがおすすめとなります。