【2021年度】脚質ごとの勝率を解説!一番勝率が高いのは?
競馬の脚質は逃げが有利とよく言われますが実際にそうなのでしょうか?
この記事では脚質別のデータを詳しく紹介し、データに基づいて脚質ごとに有利な条件を個別に解説していきます。
競馬で脚質ごとの勝率とは
競馬で逃げや先行が有利とよく言われる理由は展開に左右されにくく、その中でも逃げ馬は有利な内を走ることができるため距離ロスが少ないなど、こういった理由を聞くとなんとなく納得できてしまいます。
では実際の数値は本当に逃げ先行有利なのでしょうか?
2021年の脚質別の勝率と複勝率は以下の通りです。
勝率(ダート) | 複勝率(ダート) | 勝率(芝) | 複勝率(芝) | |
逃げ | 20.1% | 43.7% | 17.0% | 35.8% |
先行 | 15.4% | 41.9% | 12.3% | 34.4% |
差し | 3.7% | 15.9% | 5.8% | 21.1% |
やはり逃げ・先行の2つの脚質の成績がずば抜けており、競馬は逃げ先行が有利という言葉の裏付けになるデータです。
数値を細かく見ていくと逃げの方が先行よりも勝率が高いですが、複勝率に関しては逃げと先行の差はそこまでありません。
また僅かですが芝の方が差しが決まりやすいことがわかり、ダートの方が差しの勝率・複勝率が低下しています。
このように全体の傾向として芝よりもダートの方が特に逃げ先行有利であるという点は覚えておきましょう。
クラスによって大きく異なる勝率
競馬は大きく3つのクラスがあり、未勝利・新馬戦などの未勝利クラス、1~3勝までの馬が在籍する条件クラス、トップクラスの馬が在籍するOPクラスに分けられますが、国内最高峰のレースと言えるGⅠレースは基本的にOPクラスの馬が出走します。
そして実はクラスによって脚質毎の勝率・複勝率は大きく異なってきます。
ここでは4つのクラスごとに脚質別の勝率・複勝率を細かく見ていきましょう。
2021年クラス毎の脚質別の勝率・複勝率は以下の通りです。
逃げ勝率(複勝率) | 先行勝率(複勝率) | 差し勝率(複勝率) | |
未勝利クラス | 21.6%(43.7%) | 14.6%(41.7%) | 3.9%(16.8%) |
条件クラス | 16.7%(37.8%) | 13.5%(36.6%) | 5.3%(19.2%) |
OPクラス | 13.6%(31.5%) | 12.1%(29.0%) | 5.7%(22.2%) |
GⅠ | 9.5%(19.0%) | 9.7%(22.2%) | 8.0%(26.3%) |
表からわかるように下のクラスであればあるほど、逃げ先行が有利となり差しが不利な脚質となりますが、クラスが上がるにつれて逃げ先行の勝率が下がっていることがわかります。
特にトップクラスのGⅠレースでは、3つの脚質の差はほとんどありません。
これは下のクラスほど前に行く力が求められることになりますが、これは下のクラスになる程、勝ち切れない実力不足の馬が差しに含まれていることになり、上のクラスになるほど実力の備わった差し馬が台頭してくることを意味します。
競馬のレースは1日12Rの中で半分は未勝利クラスで構成されており、OPクラスは1日に多くて2R程度です。
ですから1日スパンで予想をする際は未勝利クラスのレースを買う機会が非常に多いため、基本的には逃げ先行馬が脚質的には有利であることは間違いありません。
しかし競馬予想をする際に脚質を考慮する場合は、まずは予想するレースがどのクラスに位置するのかを確認し、クラス毎に脚質の優位性を考慮する必要があります。
特に下のクラスであるほど前に行く力が重要視されますが、上のクラスに上がるほど差しが決まる可能性が高くなるという点は知識として覚えておきましょう。
逃げ馬が有利な条件とは
逃げ馬とは文字通り先頭でコーナーを通過する馬のことで、ここでは4コーナーを1位で通過する馬を対象としています。
基本的に逃げ馬を狙う際は下級条件を狙うのが有効な馬券戦略となりますが、具体的に距離が短いほど逃げが決まりやすくなってきます。
2017~2021年までの過去5年に渡る1,700mまでの逃げの勝率をまとめた表が以下になります。
逃げ勝率 | 逃げ複勝率 | |
ダート1,000m | 35.4% | 68.5% |
ダート1,150m | 38.3% | 60.5% |
芝1,200m | 23.2% | 44.8% |
ダート1,200m | 24.7% | 49.4% |
ダート1,300m | 17.0% | 38.5% |
芝1,400m | 17.1% | 36.9% |
ダート1,400m | 19.2% | 41.0% |
芝1,500m | 17.6% | 30.4% |
芝1,600m | 12.8% | 33.4% |
ダート1,600m | 11.8% | 31.3% |
ダート1,700m | 20.8% | 43.1% |
新潟芝1,000m(コーナーなし) | 19.3% | 44.3% |
このように距離が長くなればなるほど逃げの勝率・複勝率は下がることがわかります。
特にダート1,000~1,150mは逃げの優位性が顕著となっており、1,000mは札幌・函館・小倉、1,150mは福島で共にの未勝利・条件クラスでのみ行われるレースで、距離の短さとクラス低さという2つの条件を兼ね備えている逃げに最も有利なレースです。
また1,200mに関しても平均を越えているため、逃げの距離による優位性が伺えますが、芝のこの距離では重賞レースが多く開催される距離でもあり、クラスが上がると勝率17.1%と数値が若干低下するため、なるべく条件クラス以下のレースを狙うのが有効な馬券戦略です。
そして距離が1,400mを超えると逃げの勝率の平均値を下回るようになり、距離が伸びる程数値が低下していくことがわかります。
ただしローカル開催でのみ行われるダート1,700mに関しては、数値が上昇し逃げの平均勝率を上回るため、ローカルダートでは1,700mまでは、逃げというだけで優位性を保つことができます。
逆に東京のみで行われるダート1,300mや1,600mに関しては逃げの勝率が落ちるため、東京競馬場ダートの逃げはあまり優位性を保てていないことが数値からわかります。
他にもコーナーの無い新潟の1,000m直線も、レースの特殊性から逃げの勝率は、短い距離という視点で他の距離と比較するとあまり高くはなく、逃げの優位性を保てるのはあくまでもコーナーのあるレースであることが、このデータからわかります。
ですから逃げで狙い目となるのは、新潟1,000m直線レースを除くローカル競馬場の短距離ダートレースが最も狙い目となり、次点で1,200mのレース全般です。
先行馬が有利な条件とは
先行馬とは先頭集団に位置している馬のことを指しますが、ここでは4コーナーを先頭集団で通過した馬を対象としてます。
逃げ馬と同じく、下級条件では先行馬は差し馬と比較すると高い勝率を誇っており、短い距離では逃げ馬との勝率の差が開きますが、距離が長くなるほど先行馬が逃げ馬の勝率を上回るという逆転現象が見られます。
では先行馬が有利なコースを具体的に見ていきましょう。
2017~2021年までの過去5年に渡る先行脚質の成績が優秀なコースをまとめた表が以下になります。
逃げ勝率(複勝率) | 先行勝率(複勝率) | 勝率の差 | |
札幌ダート2,400m | 4.8% | 26.8% | 22.0 |
ダート2,500m総合 | 4.8% | 22.9% | 18.1 |
函館芝2,600m | 10.8% | 20.5% | 9.7 |
小倉芝2,600m | 14.8% | 18.8% | 4.0 |
福島芝2,600m | 11.4% | 16.8% | 5.4 |
基本的には長距離のレースで先行が有利なことがわかりますが、ダート2,400mという距離のレースは札幌以外にも函館・福島・中山・小倉で行われる中で、札幌競馬場のみ先行脚質がかなり有利な数値を示しています。
また中山と新潟のみで開催されるダート2,500mは両競馬場合わせた総合成績でも、先行脚質が逃げを大幅に上回る結果となりました。
芝の2,600mに関しては函館・福島・小倉以外に、札幌・阪神でも開催されていますが、逃げと比較して勝率が大幅に上回ったのは函館・小倉・福島の3つです。
基本的には上述の通り逃げは距離が伸びると勝率が低下しますが、先行は距離が伸びても勝率の低下は緩やかで、マイルから中距離を超える辺りで、コースによっては逃げの勝率を先行が上回りますが、今回紹介した5つはその中でも特に先行有利が顕著となるコースです。
差し馬が有利な条件とは
では差し馬が有利な条件を具体的に解説しましょう。
逃げ・先行馬に関しては勝率・複勝率を物差しに記載しましたが、勝率・複勝率は馬の総数に対して計算されるため、差し馬は有利なコースであっても勝率・複勝率は逃げ先行を上回ることは原則ありません。
ですからここでは勝率ではなく、1着及び3着の脚質別の割合(シェア)を中心に見ていくことで、実際に差しや追い込みが有利となる条件を解説します。
2021年度の芝・ダート距離別の1着及び3着の差し・追い込み(まくり)が占める割合は以下の通りです。
1着割合 | 3着割合 | |
芝1,000~1,200m | 32.1% | 44.8% |
芝1,400~1,800m | 41.9% | 47.5% |
芝2,000~2,400m | 41.0% | 47.2% |
芝2,500~3,600m | 31.6% | 42.9% |
ダート1,000~1,300m | 23.6% | 35.4% |
ダート1,400~1,600m | 35.9% | 44.4% |
ダート1,700~2,000m | 21.7% | 33.2% |
ダート2,100~2,500m | 32.2% | 40.1% |
この表からは、芝は1,400m~2,400mの間にかけて割合が上昇しており、ダートは全体的に低めなものの、1,400m~1,600mと2,100~2,500mの2つの割合が高いことがわかります。
特にダート1,400~1,600mという距離は芝スタートのコースであることが多いため、芝スタートのダートレースは通常のダートレースと比較しても逃げ先行が馬券対象になる確率が低くなることがわかり、またダートは2,100mを超える長距離も逃げ先行の割合が低下します。
逆の芝はスプリント戦を除くマイルから中距離にかけて、全体的に割合が高めになっており、逆に短距離や長距離では割合が低下します。
次に2012~2021年度の競馬場別の差し・追い込み(まくり)が占める割合を見てみましょう。
芝1着割合 | ダート1着割合 | |
札幌競馬場 | 31.3% | 20.2% |
函館競馬場 | 29.5% | 17.0% |
福島競馬場 | 34.7% | 14.1% |
新潟競馬場 | 43.4% | 24.3% |
東京競馬場 | 48.9% | 39.1% |
中山競馬場 | 37.3% | 24.4% |
中京競馬場 | 37.0% | 23.7% |
阪神競馬場 | 37.6% | 26.1% |
小倉競馬場 | 37.8% | 19.3% |
阪神競馬場外回り芝コース | 47.0% | 該当無し |
特に直線が長いとされている新潟競馬場や東京競馬場の割合が全体的に見ると高くなっており、最後に記載した阪神外回り芝コースの割合も高いことから、やはり直線の長い競馬場は差しや追い込みが、原則決まりやすいことがデータからわかります。
またダートは全体的に低めですが、最も直線の長い東京競馬場だけ他の競馬場と比較しても割合は高いのに対し、札幌・函館・福島・小倉といったローカルのダートは差し追い込み(まくり)の占める割合が低めです。
これら2つの表からまとめた差しが決まるポイントは以下になります。
②ダートは1,400~1,600m及び長距離が狙い目でそれ以外は割引が必要
③新潟芝・東京・阪神外回り芝など直線の長いコースが狙い目
この3つのポイントを踏まえて、レベルの高いOPや重賞クラスのレースを中心に差し馬に有利な条件を狙うようにしましょう。
差し馬と追い込み・まくりの違いとは
上記のデータは差し馬単独ではなく、追い込み・まくりも含むデータですが、具体的に差し・追い込み・まくりは脚質的にどう異なるのでしょうか?
まず差しと追い込みの違いですが、競馬を先頭・中団・後方と3つの集団に分けた場合に、先頭に位置するのが逃げ・先行馬なのに対し、中団グループに位置する馬達が差し馬で、後方グループに位置する馬が追い込み馬というのが一般的な脚質の定義です。
それに対しまくりは道中後方集団に位置しながらも、3コーナーから4コーナーにかけて先頭集団に進出した馬達をまくりと呼びます。
直線の長い競馬場であれば直線一気の追い込みの競馬が決まることもありますが、直線の短い競馬場では直線の短さから基本的に追い込みという脚質は不利であり、この不利をカバーするために3コーナー手前からスパートをかけて、直線では先頭集団にとりつくのがまくりと呼ばれる脚質の特徴です。
まとめ
今回は逃げ・先行・差しという3つの脚質の特徴と得意なコースを具体的に紹介しました。
脚質を予想材料にする際は、馬のクラスの考慮、競馬場の特性、該当距離やコースの特徴などをしっかりと把握し、それぞれの脚質に有利な条件で買うことが最も有効な馬券戦略となります。