競馬におけるペースの考え方を紹介!予想法や有利な馬の見つけ方も
「競馬のレースのペースが、どうやって形作られるのか知りたい!」
「ハイペースとかスローペースとか言われるけど、実際のところ何が違うの?」
「ペースから勝ちやすい馬を見抜く考え方が知りたい!」
このページを訪れたあなたは、以上のような想いを抱いているのではないでしょうか。
今回は、競馬でどのようにしてペースが形作られていくのかに始まり、ハイペース・ミドルペース・スローペースそれぞれにどのような特徴があるのか、そしてどんな馬が有利になるのかを紹介していきます。
競馬のレースにおいてペースはどう作られるのか
競馬のレースがどのようなペースで展開されていくのか事前に予想するためには、ペースがどうやって作られていくのかを知っておくことが必要です。
まず、レースにおけるペースはどのような要因で変化していくのか、基本的な考え方について紹介していきます。
レースのペースは逃げ馬によって作られていくことが多い
レースのペースづくりは基本的に、最序盤から先頭に立つ逃げ馬の役目であることが多いです。
競馬のレースでは、高速道路で車を走らせるとき無意識に前の車へ速度を合わせてしまうのと同様、先頭を走る馬に速度が自然と寄っていきます。
先頭を走る馬がハイペースな出だしならレース全体もハイペースな展開になりますし、逆も然りといった具合です。
実際にどんなペースになるかは多くの場合、逃げ馬の頭数規模で決まります。
逃げ馬が 1・2頭以内ならスローペースとなりやすく、4頭も 5頭もいれば逃げ馬同士が争ってハイペースになりやすいといった具合です。
さて、ここで重要になる考え方は、最終的なペースを決定するのは逃げ馬の能力ではなく、騎乗している騎手のほうだという点になります。
仮にハイペースが得意ではない逃げ馬が先頭を担ったとしても、騎手がハイペースに持ち込みたいと考えればペースは予想を超えて上がる可能性が高いです。
スローペースな逃げ馬が先頭を取っても、他の逃げ馬に乗る騎手がどうしても先頭を確保しておきたいと考えれば、序盤から無理に抜き去ってそのままペースも上げていくパターンもあります。
ペースの考え方として基本は馬の脚質を見ることですが、そこに乗っている騎手の考えも念頭に入れて予想することも大切なのです。
逃げタイプでない馬がペースを作り上げるパターンの考え方
競馬のレースには、逃げ馬以外の要素がペースを作り上げていくパターンも存在します。
例えばレースの出走馬に逃げ馬そのものがおらず、逃げに転じることを選んだ騎手もいないと、先頭集団で譲り合うような形になってペースはかなり遅くなる…といった感じです。
この場合は、先頭集団でうろうろしている先行馬や差し馬がペースを作っていると言えますが、レース展開が遅いので最終的な主役は追い込み馬になることも多いです。
スタート直後に坂やカーブのあるレースも、序盤でスピードの乗らない展開が続く関係上、スローペースになることが多くなります。
スタミナを気にしなくていい短距離のレースでは、馬に普段以上の速度を出させる騎手が多いためレースを通して速いタイムで決着しがちです。
※ハイペースに分類したくなりますが、一般的にこのようなレースはミドルペースと言われることが多いです。
以上の 2点については、馬ではなくレースの特性そのものがペースを作り上げていると言えるでしょう。
また、調子の良い差し馬や追い込み馬が通常より早いタイミングで圧力をかけてくると、逃げ馬が押し出される形でハイペースに転じることもままあります。
以上のように、逃げ馬がペースを作らないレースは割と多いですから、ペースを作り上げる要因は一通り抑えておき、できるだけ全ての要素を精査するのが良い考え方となります。
ハイペースなレースを予想する時の考え方
ここからは、それぞれのペースごとでレースを予想する時の考え方について紹介していきます。
まずは、ハイペースな展開のレースを予想するうえで必要な考え方です。
ハイペースというのは、一般的に前半のタイムが後半のタイムより 0.5 ~ 1秒以上速いレース展開のことを指します。
どういった原因でレースがハイペースになるのか、ハイペースなレースではどのようなことが起こるのか、ハイペースな展開で有利な馬とはどんな馬なのかを見ていきましょう。
レース展開がハイペースになる要因
ハイペースなレースを生む最大の要因としては、ここまででも少し触れたように逃げ馬の数が挙げられます。
逃げ馬同士が先頭を争う展開になるため、自然と先頭集団のペースは上がり、後続もつられる形でレース全体がハイペース化するのです。
逃げ馬が 1頭でもスローペースに落ち着くことなく、騎手がペースを上げさせたり馬が自主的にペースを上げたりして独走態勢に入った場合も、他の馬が逃げ切りを阻止しようと食いつきに行くと展開はハイペースになります。
また、勝ち続けていて実績も実力も十二分な人気馬が重賞レースに出る際も、他の馬に乗る騎手たちが半ば協力するような形で人気馬の不利な展開を作った結果、ハイペースなレース展開になることも珍しくないです。
人気馬の勝ちパターンがスローペースな展開であれば、わざとハイペースになるよう誘導することで他の馬にもチャンスが生まれますからね。
ハイペースな展開では終盤の追い差しが決まりやすい
レースがハイペースになった場合の特徴として、後方につけていた馬が終盤で追い込みや差しを決めやすい点が挙げられます。
ハイペース展開になると、先頭集団にいる馬たちが大抵ハナ争いでスタミナを浪費しており、本来のスピードを保てずに終盤へ入るため、後方でスタミナを温存していた馬には追い抜きやすい環境なのです。
しかし、差し馬や追い込み馬もハイペースな展開だからと言って、勝つのは決して簡単ではありません。
終盤でバテた先頭集団を大きく上回るスピードが出せる瞬発力は大前提として、騎手にも駆け引きの力が求められるからです。
ハイペースな展開だと後半に入る直前あたりで先頭集団のスピードは落ちますが、単にスタミナが切れてきているだけなのか、それに加えて終盤に余力を蓄えようとしているのかで、意味合いは大きく変わってきます。
もし余力を残そうと息を入れているのであれば、差し馬や追い込み馬の騎手はそこで勝負をかけなければ、二度と逆転のチャンスは訪れないでしょう。
ハイペースな展開が有利に働く馬のタイプ
続いて、ハイペースな展開が向いている馬のタイプを紹介していきます。
まず、一定以上の瞬発力と、終盤まで先頭集団に近付きつつ余力を残せる最低限のスタミナさえ持っていれば、差し馬がかなり有利なのは言うまでもないでしょう。
差し馬まで巻き込むほど熾烈な先頭争いになった場合は、追い込み馬にも大きなチャンスが巡ってくるものの、基本的には出走馬の中でも非常に高い瞬発力が無ければ厳しいです。
一方、後半でもペースを落とさないほど豊富なスタミナがあるなら、逃げ馬や先行馬でも勝ち切れる可能性は高くなります。
スローペースなレースを予想する時の考え方
次に、スローペースなレースを予想する時の考え方について紹介します。
スローペースとは、一般的に前半のタイムが後半のタイムより 0.5 ~ 1秒以上遅いレース展開のことです。
ハイペースの項目と同様に、レースがスローペースになる要因やそうなった場合の特徴、スローな展開に有利な馬を見ていきましょう。
レース展開がスローペースになる要因
逃げ馬がいないときや 1頭しかいない時は、基本的にスローペースとなるレースが多くなります。
他の逃げ馬とハナ争いする必要が無いため、先頭にさえ出られれば十分でそれ以上のスピードは必要ないからです。
先にも説明しましたが、スタート直後にカーブや坂といったスピードを落とす要因があるレースも、スローペースな展開となる可能性はかなり高くなります。
いくら馬や騎手にハイペースで行きたい気持ちがあっても物理的に難しいわけですから、無理に攻めてコースアウトするなどのリスクを考えれば、スローペースに収まるのは当然です。
一方でハイペースな展開とは違い、スローペースを騎手が自ら作り出すことは基本的に有り得ません。
レースがハイペースに進もうとしているなか 1頭だけスピードを落としたところで、相手にされず追い抜かれるのが目に見えているからです。
レースがスローペースで進むと順位の変動が起きにくい
スローペースなレースの特徴は、スタミナを残しながら終盤戦へ入るため、序盤で固まった馬群が殆ど変わらないまま決着になるケースが多いことです。
特に先頭を走る逃げ馬の瞬発力が優れていると、後方からの追い差しは全く届きません。
展開がスローペースになったら先行逃げ切りが有利、という定説があるのはこういった理由からです。
一方、ハイペースとは逆で先頭集団の騎手に駆け引きの力がより求められる展開でもあります。
ラストスパートをかける余力が残っている分、どこからスピードを上げるのかが非常に重要なのです。
早すぎると余力を使い切ってしまいますし、遅すぎると先にスピードを上げてきた後続から追い差しを決められる可能性があり、結局どちらも逆転される結果に繋がってしまうからです。
スローペースな展開が有利に働く馬のタイプ
スローペースな展開が向いているのは、やはり逃げタイプで先頭を取れる馬です。
よほど距離に対してスタミナが足りていなかったり、後続の追い上げに対応する瞬発力が低すぎたりしない限り、殆どの場合は先頭を取った逃げ馬で決着します。
特に、終盤まで後続へ決め手を与えず抑え込み、ラストスパートで一気にギアを上げる戦い方ができる馬はまず負けないです。
先行タイプの馬は逃げ馬に張り付いているのでチャンスもありますが、それでも高い瞬発力が無ければ及びません。
差し馬や追い込み馬にとっては極めて不利な展開なので、スローペースになって勝つことは稀です。
追い差しタイプの馬に乗る騎手は、そもそもスローペースの展開にさせないよう、陽動を仕掛けるようなレース運びを行います。
ミドルペースのレースを予想する時の考え方
最後は、ミドルペースで進むレースを予想する時の考え方についてです。
ミドルペースとは、一般的に前半のタイムと後半のタイムで 0.5秒以上の有意な差が無いレース展開のことを言います。
ここまでと同じように、レースがミドルペースになる要因とミドルペースの特徴、そしてそのような展開に有利な馬を紹介していきます。
レース展開がミドルペースになる要因
レース展開がミドルペースになるのは、ハイペース・スローペースどちらの要因も当てはまらなかった時や、それらの中間くらいとなる要素が現れた時です。
例えば、逃げ馬が 2頭で適度に争いながら馬群を形成していくパターンや、1頭しかいない逃げ馬の騎手が、細かく緩急を付けつつ様子を見るレース運びを選択した場合などです。
また、前半と後半のタイム差さえ小さければミドルペースと判断される都合上、初めのほうに触れた短距離のレースもハイペースではなくミドルペースのレースとされます。
レース全体を通してどの馬もスタミナを気にすることなく全力で走り続けるため、前半と後半で大きなタイム差が出ないからです。
ミドルペースの展開では出走馬の実力が如実に表れる
展開がミドルペースになると、瞬発力やスタミナなどといった一芸より、総合力に優れていることを求められるのが最大の特徴となります。
つまり、出走馬たちの純粋な実力が最も現れやすいペースなのです。
常に一定のスピードで走り抜けるレースもあれば、騎手が駆け引きで緩急をつけるレースもありますが、この違いはあくまで騎手の意向によるものであって、結果的に勝負を左右するのは馬の実力です。
そのために競馬愛好家から貴重なデータとして分析されやすいという点も、ミドルペースの特徴だと言えますね。
ミドルペースな展開が有利に働く馬のタイプ
レース展開がミドルペースになった場合は、総じて地力のある馬が有利に走れるという極めて単純な結果になりやすいです。
もはやペースに合った馬を選ぶというよりは、純粋に強い馬を選ぶ考え方が重要になってきます。
「小難しいことを考えなくていいから楽」と思われるかもしれませんが、馬の実力を完璧に見極めるなど調教師でも不可能に近いことであって、むしろパターン化できる要素が無い分ミドルペースの予想は最も困難なのです。
ミドルペースが予測されるレースで有利に走れる馬を見つけられるかどうかは、普段からあらゆる情報に目を通しているかどうかで決まると言っても過言ではありません。
競馬予想はペースによって考え方が大きく変わる
レースのペースをハイ・ミドル・ローの 3つに分け、それぞれについての考え方をここまで紹介してきました。
内容を簡潔にまとめると以下の通りです。
・逃げ馬と先行馬の間で先頭争いが行われるとハイペースになりやすい
・ハイペースな展開で追い差しが決まりやすく後方の馬が基本的には有利
・序盤にスピードを上げられないか上げる必要が無ければスローペースになる
・スローペースな展開だと順位が変わりにくく先頭の馬ほど有利
・小細工や一芸が発揮しづらいミドルペースは出走馬の総合力が求められる展開
・ミドルペースだと競馬愛好家の側も純粋な予想力が試される
3つのペースについて色々なことを書いてきましたが、ペースが変わるとレース自体の性質や有利な馬などが全く別物になってしまうため、考え方も変える必要があることをご理解いただけたのではないでしょうか。
一方で、ペースさえ正確に予測できるなら、優位に立てる馬や買ってはいけない馬も自ずと見えてきます。
あなたもこの機会に、競馬におけるペースの展開予想を始めてみてはいかがでしょうか。