上がり3ハロンは見方次第で予想材料に?意味や基準タイムなどを紹介
「上がり3ハロンの基準になるタイムってどれぐらい?」
「競馬でよく上がり3ハロンのタイムとか言われるけどアレってどういう意味なの?」
「上がり3ハロンのタイムを見れば予想にも活かせるってホント?」
このページを訪れたあなたは、日ごろの競馬予想で以上のような疑問を抱いているのではないでしょうか。
今回は、上がり3ハロンという競馬用語の意味を説明するところから入り、基準となるタイムや予想への活かし方などといった内容で解説していきます。
上がり3ハロンって一体どんな意味?
上がり3ハロンという言葉の意味から紹介していきます。
まず “上がり” というのはレースや調教の段階を示す用語の 1つで、序盤のことを表す “テン” や中盤を表す “なか” のように、”上がり” は終盤のことを表す用語です。
続いて、“ハロン” は主にイギリスで使われている距離の単位で、1ハロンは約 200メートルに相当します。
つまり、上がり3ハロンという用語はレースにおいて終盤の約 600メートルを指しているのです。
この終盤における約 600メートルという距離は、競走馬にとって全速力で走ることができる限界の距離とも言われています。
そのため、競馬では上がり3ハロンの区間でラストスパートが発生しやすく、レースの着順に大きな影響を及ぼす勝負所とも言えるでしょう。
上がり3ハロンの基準タイムは 35秒前後
一般的に、上がり3ハロンのタイムは 34 ~ 35秒台になることが多いとされており、これは多くのレースで基準にできるタイムです。
ただ、実際にはレース内容や出走馬のラインナップで、上がり3ハロンにおける基準タイムは全く違ったものになります。
レース全体のタイムなのか馬のタイムなのかに注意
そもそも、レース全体から見た上がり3ハロンのタイムと、特定の馬にフォーカスして見た上がり3ハロンのタイムは別物です。
レース後に実況が言っている上がり3ハロンのタイムは、あくまでゴール 600メートル手前で先頭だった馬の通過タイムと、ゴール時点で先頭だった馬の通過タイムの差になります。
上がり3ハロンが最速だった馬や、1着に入った馬のタイムが出ているわけではないのです。
これを理解しておかないと、いざ予想に活かそうとした時に間違いが生じてしまうので注意が必要になります。
馬ごとの上がり3ハロンを調べたい場合は、そういった情報を載せている競馬情報サイトやデータベースを見るのが良いでしょう。
レースや馬によって上がり3ハロンのタイムは数秒ブレる
35秒前後が基準とよく言われる上がり3ハロンのタイムですが、実際はレース展開や出走馬のラインナップによって数秒ほど基準に差が出ることもあります。
例えば距離が極端に短いレースでは、レース全体を通して全力に近い力が出し続けやすく、上がり3ハロンのタイムもかなり速いです。
1200メートルのスプリンターズステークスでは、例年 33秒台のタイムが当たり前になっていますし、1000メートルしかないアイビスサマーダッシュでは 32秒台が基準で、31秒台が出ることすらあります。
競馬場の開催週などで馬場の状態が非常に良い時も、全体のタイムが良くなるので当然ながら上がり3ハロンも少し速いタイムが基準です。
また、出走馬に逃げ馬が多くてハイペースな展開になれば上がり3ハロンのタイムは遅くなりますし、逆のスローペース展開なら速くなります。
レースに関わらず上がり3ハロンのタイムが常に速い馬や遅い馬もいますし、とかくレース状況や馬によって基準タイムはころころ変わるのです。
上がり3ハロンのタイムを予想に活かす方法
上がり3ハロンにおけるタイムの何たるかを知ったところで、ここからは予想に活かす方法を紹介していきます。
上がり3ハロンのタイムからは本当に色々な情報が得られるので、競馬予想をするうえでは見逃せない項目ですよ。
上がり3ハロンのタイムから出走馬のスタミナを推定する
出走馬のスタミナがどれくらいあったのかを知るために、上がり3ハロンのタイムを活用することができます。
あるレースにおいて全体トップとなる上がり3ハロンのタイムが出ている馬は、スタミナもトップクラスである可能性が高いという考え方です。
特に逃げ馬だった場合は、序盤から飛ばしているにもかかわらず終盤でもトップのスピードが出せているということで、そのレースの距離においては十分すぎるほどのスタミナを持っていると言えます。
逆に、上がり3ハロンのタイムが出走馬の中でも遅い馬は、バテてしまった可能性が非常に高いです。
ハイペース展開の逃げ馬なら当然といえば当然なので深く考える必要もありませんが、差し馬にこの傾向が出た場合、その馬はスタミナ的にかなり厳しいです。
このように、上がり3ハロンのタイムからは出走馬のスタミナが見えてきます。
馬の適性を上がり3ハロンのタイムから知る
上がり3ハロンのタイムからは、特定タイプのレースに対する馬の適正も知ることができます。
全体で上がり3ハロンのタイムが 33秒台以下なら、コースの距離に関わらず瞬発力勝負のレースだということですが、ここで上がり3ハロンのタイムを更に速くできていた馬は、瞬発力勝負に高い適正を持っていると言えます。
また、俗に言うミドルペースのレースでは長く良い脚を使える力を必要としますが、このようなレースで上がり3ハロンのタイムが速くできた馬は、長く良い脚を使う安定感があるということです。
近年ではスローペースな展開で瞬発力勝負になるレースが増えたと言われており、そういったレースの適性を知ることは非常に大きな意味があります。
そういった展開で勝負できる馬はどれなのか、普段から上がり3ハロンのタイムに目を配って、適性のある馬を見定めておくと予想も楽ですよ。
上がり3ハロンのタイムで馬同士の実力を比べ続ける
単純に、ある馬と他馬で上がり3ハロンのタイムを比べ続けることで、実力関係を明らかにしていくのも 1つの使い方です。
予想をするときに多くの人は、「あの馬がどれくらいのスタミナや瞬発力を持っているんだろう?」などと絶対的な評価の考え方をしてしまいます。
しかし現実の馬には、ゲームのような A や B などといったランク評価であったり、具体的な数字で示された能力値であったりが表示されているわけではないです。
実際にその馬がどれくらいの能力を持っているのかは、素人はおろかプロでも細かく明らかにすることはできません。
だからこそ、馬の能力を直に表す絶対的な評価を追い求めるのではなく、馬同士で上がり3ハロンのタイムを比較することで、相対的な評価を下していくのがオススメです。
上がり3ハロンのタイムでは、先ほどまで紹介したようにスタミナや瞬発力などを比べることができます。
この作業を日ごろからやってデータを集めていれば、予想する際にも「A の馬は B の馬よりスタミナがあるから、ハイペースになりそうな今回のレースは A のほうが期待できる。」などと活用することができるのです。
回収率が高くなる馬も上がり3ハロンのタイムでわかる
馬の能力だけでなく、上がり3ハロンのタイムはなんと回収率にも強く関わっているということが、2005 ~ 2015年における芝の特別戦 7248レースを調査した結果で判明しています。
まず、前走で上がり3ハロンのタイムが最速だった馬の単勝回収率は 78% と、これは単勝という券種そのものの平均回収率である 80% を僅かながら下回っており、使える情報ではないです。
ここに逃げ・先行タイプの馬であるという条件も加えると、単勝回収率は 95% まで上がります。
逃げ馬や先行馬は元から少し回収率の高いタイプですが、そこに上がり3ハロンのタイムも最速、つまりスタミナもあるという情報が加わることで、さらに儲けやすい馬だということが明らかになる訳です。
また、騎手の情報と合わせても面白いデータが得られますよ。
例えば、クリストフ・ルメール騎手と前走で上がり3ハロンのタイムが最速だった馬の組み合わせでは、単勝回収率がなんと 140% にもなっているのです。
彼のキャリアを通じての平均単勝回収率が 80% 前後で推移していることを考えれば、上がり3ハロンのタイムが速い馬とルメール騎手は好相性だと言えます。
このように、様々なデータと上がり3ハロンのタイムを組み合わせると、儲けやすい意外な馬が見えてくるはずです。
様々な情報が載ったデータベース、そしてデータを読み込む力は必須になりますが、かなり日ごろの予想に活用できるかと思います。
上がり3ハロンのタイムは出走馬の予習に使える
ここまで、上がり3ハロンのタイムについて基本的なことから予想への活かし方まで紹介してきました。
内容を簡潔にまとめると以下の通りです。
・レース全体のタイムと馬ごとのタイムを混同しないように注意
・上がり3ハロンの基準タイムは 35秒前後だがレースや出走馬により数秒は前後する
・馬のスタミナやレースに対する適正などを上がり3ハロンのタイムから判断できる
・上がり3ハロンのタイムで馬同士の実力差を測る方法はオススメ
・他のデータと組み合わせれば単勝回収率の期待値が高い馬も見えてくる
上がり3ハロンのタイムは様々な要因で全く変わってくるため、事前にどれくらいのペースになるか予測するのは困難で、どちらかと言えば結果論的な指標になります。
そのため、上がり3ハロンのタイムは直接レースを予想する材料というよりは、事前に馬の能力を見定めておく予習のような意味合いで調べるのが良い活用方法です。
使いこなせれば日々の競馬予想がより正確になる、間違いなく強力なデータなので、是非この機会に上がり3ハロンのタイムも注目していっていただければと思います。