枠連とはどんな馬券か?おすすめの買い方を解説
枠連は馬券の投票方法の中でシェアが最も低く、競馬ファンにはあまり馴染みのない馬券です。
しかし枠連のメリット・デメリットを把握し、状況に応じて馬連の代わりに枠連で買うことも有効な馬券戦略となります。
この記事では枠連のメリットやおすすめの買い方を解説します。
枠連とはどんな馬券?
正式名称は枠番号二連勝複式勝馬投票法(枠番連勝複式)と呼ばれ、1着と2着になる馬の枠番号の組合せを的中させる投票法になり、1着と2着の着順は問われることなく、出走する馬が9頭以上の場合で発売される馬券になります。
レースでは馬1頭に対して馬番号が与えられますが、それと同時に馬番号と出走頭数に応じて8つの枠番号も指定されます。
この指定された枠番号に基づいて投票するのが枠連という投票法になります。
では具体的にレースでは馬番と枠番の関係性を見てみましょう。
札幌・函館・福島競馬場のフルゲートである16頭立てを例にした枠番・馬番は以下の通りです。
枠番 | 1枠 | 2枠 | 3枠 | 4枠 | 5枠 | 6枠 | 7枠 | 8枠 | ||||||||
馬番 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
16頭立てのレースの場合は8枠それぞれに2頭の馬が指定されますが、枠連1-2であれば1・2着に1枠の馬と2枠の馬がそれぞれ入選した場合に的中条件になります。
上記3つ以外のフルゲートである18頭立てを例にした枠番・馬番は以下の通りです。
枠番 | 1枠 | 2枠 | 3枠 | 4枠 | 5枠 | 6枠 | 7枠 | 8枠 | ||||||||||
馬番 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
18頭立ての場合は6枠までは番号に応じて2頭が指定されますが、16頭立てと異なり7・8枠には3頭の馬が指定されます。
16頭より少ない場合は頭数の多い内枠から順に馬が減少し、8頭立てのレースではそれぞれ1頭が独立して枠番号が指定されます。
また上述のように9頭以上のレースでのみ販売されますが、これは8頭以下のレースに関しては馬番と的中条件が同じになるためです。
ただし例外として出走取消などで8頭以下になった場合でも、同一枠に2頭以上の馬がいる場合は枠番は発売されます。
枠連は現在JRAで投票可能な投票法の中では単勝・複勝に次いで3番目に古い投票方法であり、1963年から発売が開始されました。
1991年には馬連が導入されますが、当時の馬連は1枠2頭という複枠が生じる9頭立て以上のレースで販売されており、8頭以下では発売されない今の枠連と逆の位置づけでした。
その後にワイド・馬単・3連複・3連単と現在でも主流の投票法が可能になります。
そして当時は8頭以下でも買えていた馬単や3連複・3連単との整合性を取るために、2005年に馬連・ワイドも8頭以下でも買えるように変更されます。
また同年の改正で、枠連は複枠が生じる9頭立て以上のレースでのみの販売へ変更となり、現在に至ります。
2021年までの新しい投票法が導入された年のシェアは以下の通りです。
単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連 | ワイド | 馬単 | 3連複 | 3連単 | |
1990年 | 2.8% | 2.2% | 95.0% | 発売なし | 発売なし | 発売なし | 発売なし | 発売なし |
1991年 | 2.9% | 2.3% | 81.3% | 13.5% | 発売なし | 発売なし | 発売なし | 発売なし |
1992年 | 2.7% | 2.3% | 35.4% | 59.6% | 発売なし | 発売なし | 発売なし | 発売なし |
1999年 | 3.1% | 3.0% | 12.9% | 79.3% | 1.7% | 発売なし | 発売なし | 発売なし |
2000年 | 3.0% | 2.4% | 10.9% | 70.5% | 13.2% | 発売なし | 発売なし | 発売なし |
2002年 | 2.8% | 2.4% | 8.3% | 54.7% | 10.8% | 10.9% | 10.1% | 発売なし |
2003年 | 2.7% | 2.5% | 6.4% | 34.2% | 5.8% | 24.1% | 24.3% | 発売なし |
2004年 | 2.9% | 2.7% | 5.8% | 28.2% | 4.9% | 22.0% | 25.5% | 8.0% |
2005年 | 3.1% | 3.3% | 4.7% | 21.1% | 4.2% | 17.2% | 19.3% | 27.1% |
2021年 | 6.9% | 9.5% | 2.4% | 13.3% | 10.2% | 5.7% | 21.7% | 29.0% |
1991年に馬連が導入されるまでは枠連は最もシェアの多い馬券でしたが、その後は年を追うごとにシェアは低下し、現在では全投票法の中で最もシェアの低いことがデータからわかります。
枠連のメリット
枠連は現在では最もシェアの低い投票法であり、近年の競馬ファンにとっては比較的マイナーな位置づけにありますが、枠連を買うメリットはいくつか存在しています。
まず最初のメリットはワイドや馬連よりも的中率が高い点です。
馬連・ワイドは頭数によって大きく的中率が変動しますが、フルゲート18頭の場合ですとワイドは1.9%、馬連で0.6%となり、対して枠連は頭数を問わず2.7%と高めです。
このように馬連・ワイドよりも高い的中率は枠連のメリットの1つです。
投票法別の毎の1点で購入した際の的中確率は以下になります。
18頭立て (フルゲート) |
10頭立て | 7頭立て | |
単勝 | 5.5% | 10% | 14.2% |
複勝 | 16.6% | 30% | 28.5% |
ワイド | 1.9% | 6.6% | 14.2% |
枠連 | 2.7% | 2.7% | 発売なし |
馬連 | 0.6% | 2.2% | 4.76% |
馬単 | 0.3% | 1.1% | 2.38% |
三連複 | 0.12% | 0.83% | 1.78% |
三連単 | 0.02% | 0.13% | 0.47% |
また単勝や複勝を除き、馬券は低い的中確率を上げるために、買い目を増やすという作業が必要になりますが、馬連・ワイドではフルゲートで153点の買い目があるのに対し、枠連は36点の組み合わせが存在します。
つまり馬連・ワイドでは的中率を上げるために多くの買い目が必要になりますが、枠連では少ない買い目で的中率を上げることが可能です。
例えば3つの投票法の1頭軸全頭流しを18頭立てのレースを例に見てみましょう。
的中率 | 購入点数 | 購入金額 | |
枠連 | 21.6% | 8点 | 800円 |
ワイド | 33.2% | 17点 | 1700円 |
馬連 | 11.1% | 17点 | 1700円 |
枠連はワイド・馬連と比較しても少ない購入金額で的中率を大きく上げることができます。
以上のように枠連のメリットは的中率の高さと買い目の少なさです。
枠連は基本的に頭数が多いほど的中率の恩恵を受けることができますが、頭数が減っても枠連の的中率は変わらないため、これらのメリットを活用するためにも、なるべく頭数の多いレースを狙って買うようにしましょう。
枠連のデメリット
枠連のデメリットは馬券全体で枠連が買われているシェアが最低であるという点が、大きなデメリットとなります。
シェアが低いとは馬券全体の購入金額が少ないことを意味しますが、人気サイドの馬券など投票が集中しやすい買い目は枠連はオッズが安くなりがちです。
特に同枠に上位人気の馬が2頭いると、その枠を軸とした馬券に人気が集中し、オッズの旨味が無くなってしまう点は、シェアが最低であることが理由に起こるデメリットです。
枠連はワイドよりも高い配当と馬連よりも高い的中率が魅力ですが、この点を最大限に活かすためにも、なるべく配当が安くなりがちな人気馬の同枠は避けるようにしましょう。
また枠連1-1といったように同枠の買い目は、組み合わせによっては馬番1-2と同じ的中条件になりますが、基本的にはシェアの低さから枠連よりも、同じ的中条件となる馬連の方が高くなるのが一般的です。
また購入する馬券が絞れている場合は、無理に枠連で買うよりも馬連で馬券を絞って買った方が、的中時の払い戻し金の高さからお得なケースも多いです。
枠連を買う場合は基本的には馬連とのオッズを比較し、馬連と払い戻し金額に大きな差が無いかをチェックするようにしましょう。
枠連のおすすめな買い方とは?
枠連の魅力はメリットでも紹介したように、馬券の組み合わせが出走頭数関係なく常に36点であるという点であり、出走頭数の多いレースほどワイド・馬連と比較しても的中率の面でお得となります。
このメリットを活用するためにも枠連は最低頭数である9頭立てのレースで買うよりも、16・18頭のフルゲートのレースで買うのが基本的にはお得です。
では実際におすすめな買い方を見ていきましょう。
枠連おすすめな買い方・枠連1頭軸総流し
枠連のおすすめな買い方はずばり枠連軸1頭総流しです。
軸1頭総流しとは有力な軸馬が1頭決まっていて、その1頭から全馬に流す買い方になります。
そして流しは馬連や枠連を買う際に有効な買い方の1つですが、馬連よりも枠連の方が断然おすすめな買い方になります。
フルゲート18頭のレースで枠連・馬連の軸1頭総流しの組み合わせは以下の通りです。
買い目 | 点数 | |
枠連軸1頭総流し | 1-1,1-2,1-3,1-4,1-5,1-6,1-7,1-8 | 8点 |
馬連軸1頭総流し | 1-2,1-3,1-4,1-5,1-6,1-7,1-8,1-9,1-10,1-11,1-12,1-13,1-14,1-15,1-16,1-17,1-18 | 17点 |
以上のようにフルゲート18頭の場合、枠連だと全ての馬に流す場合は8点の購入で済みますが、馬連やワイドは17点購入する必要があります。
枠連軸1頭総流しは馬連と比較すると、単純計算で9点買い目を削減することが可能で、少ない点数で軸馬から全ての馬に流すことができるお得な馬券です。
但しケースによっては控えた方が良い場合もあります。
例えば2020年の有馬記念を見ると枠連5-7で380円の配当に対し、馬連9-14は10,330円の万馬券決着で、枠連と馬連の配当の差が極端に目立つ結果となりました。
枠連の低配当の最も大きな原因は、勝った5枠のクロノジェネシスの同枠に、3番人気馬のカレンブーケドールが入っていたことで、5枠を中心とした枠連に人気が集中していたのが大きな理由となります。
このように同枠に人気馬が2頭入る場合は人気が集中し、払い戻し金額が極端に下がります。
ケースによって枠連軸1頭総流しは利益が出ない可能性も高くなるため、オッズと相談し購入するようにしましょう。
枠連おすすめな買い方・同枠買い
枠連のおすすめな買い方の2つ目は、同枠馬・1頭の枠番同士の組み合わせの馬連との比較購入です。
枠連は同枠馬・1頭の枠番同士の組み合わせは、的中条件は馬連と全く同じですが、枠連・馬連の2つの馬券は独立して販売されるため、最終的な払い戻し金額はそれぞれ異なります。
一般的にシェアの低さから枠連の方が払い戻し金額が低いだろうと思われがちですが、時には枠連の方がオッズが高くなる場合もあります。
ですから直前までオッズを確認し比較検討した上で購入するのは、枠連をお得に買う上で有効な馬券戦略です。
この買い方は9頭立てからフルゲート18頭立てまで、枠連が発売される全てのレースで有効であり、馬連を中心に馬券を買う人はぜひとも知って欲しいおすすめな買い方になります。
例えば2019年3月24日に行われたGⅠ高松宮記念は、同枠馬2頭での決着ですが馬連が30,530円に対し、枠連が33,310円と枠連が馬連の配当を上回る結果に終わっています。
基本的にはシェアの高さから馬連の方が配当が高くなりがちですが、比較購入を有効にするためにも、同枠購入や出走頭数の少ないレースを購入する場合には、必ずオッズをチェックする癖をつけておきましょう。
また7・8枠はフルゲート18頭ですと3頭以上登録されますが、こちらは的中条件は馬連とは異なり馬券的にも的中率の面でお得となります。
例えば2022年の天皇賞春を例に見てみると、このレースは同枠2頭による決着となり、枠連8-8で450円に対し馬連16-18で520円と、一見すると馬連の方が払い戻し金額からはお得に見えます。
ですがこのレースでは本命決着のため、基本的には馬連で利益を出すためには絞り込みが必要で、できる限り1点買いで的中させたい馬券といえます。
しかし実際には8枠にはもう1頭穴として比較的に人気していたシルヴァーソニックが入っていました。
残念ながら同馬はスタート直後に落馬してしまいましたが、この馬の適正はスムーズな競馬ができていれば、穴を開ける可能性は絶対に無いとはいえない1頭の位置づけです。
万が一の保険としてシルヴァーソニックが馬券に絡んだ場合も的中となる点を考えると、今回の天皇賞春の払い戻し金額の差額である70円で、保険を掛けることができるメリットは決して少なくありません。
1点買いの馬連が3頭以上の同枠であった場合に、同枠馬に穴で馬券対象になる可能性があるケースは、馬連よりも枠連の方が的中率の面でお得になるという知識は、枠連を買う上で覚えておきましょう
まとめ
2004年に3連単が導入されると、単勝・複勝の馬券のシェアは少しずつ増加傾向にあり、2010年には枠連のシェアを上回り現在に至っています。
枠連は一見するとマイナーな馬券に思われがちですが、特に馬連を中心に馬券を買う人は、知識として枠連の買い方や両者の違いを把握し購入することで、非常にお得な投票法へと変化します。