騎手の賞金ランキング・過去5年の賞金データを紹介!

騎手の賞金ランキング・過去5年の賞金ランキングデータを紹介

騎手の収入の仕組みがどのようになっているのかは一般にあまり知られていません。
実際に騎手は高収入と言われていますが、年間で一体どの位稼ぐのでしょうか?
この記事では過去の賞金ランキングを紹介し、騎手の収入に関する仕組みを解説していきます。

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2021年騎手賞金ランキング

2021年騎手賞金ランキング

騎手の年収は平均約3,000万円とも言われており、一般の方の年収と比較するとかなりの高収入であることがわかります。

騎手の年収が高い理由としては運動選手のように体が資本の職業であり、現役で活躍できる年齢が限られている点が、高収入であることの理由の1つになります。

また他の運動選手と比較すると厳格な体重制限があり、限られた人だけが騎手になれるという点から騎手という人数が少ないことや、時に落馬で命を落とす可能性もあるという、非常にリスクの高い職業である点も、騎手の年収が高い理由と言われています。

そして騎手の収入はトップクラスになると、プロ野球選手のように年間1億円を超える高収入です。
2021年の騎手の賞金ランキング5位は以下の通りになります。

騎手名 獲得賞金 年収
1位 C・ルメール 44億2,768万円 2億2,138万円
2位 福永祐一 33億4,880万円 1億6,744万円
3位 川田将雅 29億6,050万円 1億4,802万円
4位 横山武史 27億8,991万円 1億3,949万円
5位 松山弘平 24億461万円 1億2,023万円

賞金ランキング1位 C・ルメール

1位はフランス国籍でありながら日本所属騎手であるルメール騎手です。

2015年にJRA騎手免許試験に合格すると、フランス国内では同時免許取得が認められていないことから、フランスの騎手免許を返上し日本国内での騎乗に専念しますが、2016年以降6年連続賞金ランキング1位の座を維持しています。

ノーザン系の馬主との結びつきは深く、この年もGⅠ5勝のうち4勝はノーザン系となっていることから、特にGⅠレースでノーザン系主戦騎手として、該当馬に騎乗する機会が多いのがルメール騎手の大きな特徴です。

賞金ランキング2位 福永祐一

福永祐一(引用元:https://www.jra.go.jp/school/jockey/world/int02.html)

ルメール騎手に次ぐ2位となったのはベテランの福永騎手です。
以前は大レースで詰めの甘さが指摘されていましたが、2020年にはコントレイルで全て1番人気で3冠を達成するなど、年を追うごとにベテランとして安定感が増した形です。

2021年もGⅠ4勝のうちダービーやジャパンカップなど、賞金額が2億円を超えるレースを多く勝ったことも、賞金ランキングに大きな影響を与えており、ベテラン騎手として馬を上位にエスコートする能力は、GⅠレースではルメール騎手に次いで信頼のおける騎手の1人です。

賞金ランキング3位 川田将雅

川田騎手は2019・2020年と2年連続で2位でしたが、2021年は福永騎手に抜かれる形でランキング3位となりました。

この年のGⅠ勝利数は3勝に終わりますが、それでも重賞勝率数は2位の福永騎手を上回っており、騎乗馬次第では翌年以降も再び2位の座に返り咲く可能性が高い騎手であると言えます。

賞金ランキングは3位ですが、川田騎手の2022年現在でルメールに次ぐ国内トップ騎手というのが、多くの競馬ファンの認識です。

ルメール騎手と比較すると勝率は3年連続でルメール騎手を上回る1位を獲得しており、今後は福永騎手のようにクラシック3冠馬との巡り合わせがあれば、1位を狙える可能性が極めて高い騎手といえます。

賞金ランキング4位 横山武史

横山武史(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=dales8qxtyE)

ランキング4位の横山武史騎手は2021年は大きな躍進の年となりました。
横山典弘騎手の息子として早くから関東では注目されていましたが、デビュー4年目となる同年にエフフォーリアによる皐月賞でGⅠ初制覇を達成します。

その後も4つのGⅠを勝利し、1位のルメール騎手と並ぶGⅠ5勝を挙げたことで賞金ランキング4位となりました。

この年はGⅠを含め重賞9勝を挙げますが、9勝中8勝は関東開催での重賞レースということもあり、アウェーである関西よりも、地元でもある関東のレースで安定感の高さが目立ちます。
ですから今後は、東西問わず大レースで勝ち切ることができれば将来が非常に楽しみな若手騎手の1人です。

賞金ランキング5位 松山弘平

松山弘平(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=8V2OvjZi_Ls)

松山騎手はデアリングタクトとのコンビで牝馬3冠を達成した2020年の活躍から、この年はさらなる飛躍が期待されていましたが、残念ながら賞金ランキングは5位に終わります。

そしてGⅠ1勝・重賞6勝と、大レースでの活躍という点では4位の横山騎手と比較しても、大きく差がつく形となりました。

しかし松山騎手は特に関西での厩舎の信頼は厚く、2018年以降は3年連続となる最多の騎乗数を確保している中で、勝率・勝利数・賞金額共に右肩上がりで上昇しています。

大レースだけでなく未勝利戦など一般レースを含めた総合的な安定感の高さから、今後大レースで活躍する機会が増えてくれば、ランキングのさらなる上昇が期待できる騎手の1人です。

2021年はトップ5の騎手が獲得賞金だけで1億円を超える年収となりました。
騎手のメインとなる収入はレースの賞金で、基本的には大きなレースでたくさん勝った騎手が、高収入を得ることができる形です。

しかし5位の松山騎手のように厩舎の信頼を勝ち取り、一般レースで騎乗数を確保する下積みも、賞金ランキング上位に入るためには重要であることがわかります。

騎手の獲得賞金や年収の仕組みは?

騎手の獲得賞金や年収の仕組みは?

では次に実際に騎手の獲得賞金や収入の仕組みについて簡単に見ていきましょう。
先ほど2021年度の上位騎手の獲得賞金と年収を紹介しましたが、騎手のメインとなる獲得賞金のうち5%に当たる金額が騎手の収入となります。

例えば1位のルメール騎手を例にした計算式は以下の通りです。

ルメール騎手の収入計算式
①44億2,768万円(獲得賞金)×0.05(5%)=2億2,138万円(獲得賞金による収入)

これに加えて騎手には以下の手当が支払われます。

②騎乗手当
③騎手奨励手当

②の騎乗手当とは騎乗するとJRAから騎手に直接支払われる手当で、1回のレースにつきレースの格に応じて26000~63,000円の金額が騎手に支払われます。

また③の騎手奨励手当も、騎乗手当と同じく騎手の騎乗に対して支払われますが、こちらはレースの格を問わず1回の騎乗で16,500円の金額が支払われる手当です。
実際に2021年のルメール騎手の騎手奨励手当と騎乗手当は以下の通りになります。

2021年のルメール騎手の騎手奨励手当と騎乗手当
②802回(騎乗数)×26,000円(騎乗手当)=2,085万円(騎乗手当合計)
③802回(騎乗数)×16,500円(騎手奨励手当)=1,323万円(騎手奨励手当合計)

この②・③の金額に加えて③の獲得賞金による収入を足した金額がルメール騎手の合計年収です。
具体的な計算式は以下の通りになります。

2021年のルメール騎手の年収
2,085万円(②)+1,323万円(③)+2億2,138万円(①)=2億5546万円(合計年収)

ですからルメール騎手の年収は、2億5546万円が競馬のレースを通して稼いだ2021年の年収です。

ここで紹介した獲得賞金が1位のルメール騎手はランキング1位ということもあり極端な例ですが、実際に騎手として年間500鞍程度の騎乗を確保できれば、手当だけで年収2,000万円を超える仕組みになっています。

ですから騎手は年収という面で見ると、他の職業と比較してもかなり優遇されている職業であることがわかります。

賞金ランキングと競馬予想

賞金ランキングと競馬予想

賞金ランキングの知識は競馬予想にも活かすことができます。
賞金ランキング上位になるためには、重賞レースやGⅠレースなど賞金の高いレースを多く勝つことが必要不可欠です。

ですから賞金ランキング上位の騎手は、大レースで高い勝負強さを発揮できるという裏付けになります。
例えば2016年の賞金ランキングを例に見てみましょう。

騎手名 獲得賞金 勝利数
ランキング
GⅠ
勝利数
重賞
勝利数
特別
勝利数
1位 C・ルメール 40億4,074万円 2位 4勝 13勝 49勝
2位 戸崎圭太 33億8,039万円 1位 1勝 13勝 42勝

この年の賞金ランキング1位はルメール騎手ですが、勝利数ランキングでは僅か1勝の差で、戸崎騎手が2016年リーディング騎手のタイトルを獲得しています。

しかし成績を細かく見てみると重賞の勝ち数は両者同じですが、GⅠではルメール騎手が3つ戸崎騎手上回っており、また一般競争よりも賞金が高めの特別競走の勝利数も、ルメール騎手が戸崎騎手を上回っています。

さらに重賞レースの両者の馬券対象となった3着以内の数字や割合を詳しく見てみましょう。

1着 2着 3着 出走回数 勝率 連対率 複勝率
戸崎圭太 13回 11回 5回 64回 20.3% 37.5% 45.3%
C・ルメール 13回 16回 8回 72回 18.0% 40.2% 51.3%

重賞レースではルメール騎手の方が勝率では戸崎騎手には劣っているものの、馬券対象になる3着までを視野に入れると、この年は戸崎騎手よりもルメール騎手の方が馬券的に信頼できる年であったことがわかります。

ですから騎手は賞金ランキング上位になるためには、特別競走以上の大きなレースをコンスタントに勝つ力に加えて、重賞レース以上で安定して3着に入る能力が求められます。

1日のレースの中でも、重賞レースは多くの競馬ファンが馬券を買いますが、賞金ランキング上位に求められる重賞レースで馬券対象になる高い能力は、重賞レースの馬券を購入する際に参考になる有効なデータの1つです。

このように大レースでは賞金ランキング上位のを騎手を中心に、軸馬を組み立てて馬券を購入することが、的中させるために必要な馬券戦略です。

騎手賞金ランキング・過去5年の推移

騎手賞金ランキング・過去5年の推移

ここ数年は中央競馬の騎手トップ3はルメール・川田・福永のトップ3で定着しています。
では実際にこのトップ3の現象はいつから起きているのかを、過去の賞金ランキングから見ていきましょう。
2017~2021年度までの過去のトップ3をまとめた表が以下になります。

順位 騎手名 獲得賞金 年収
2017年 1位 C・ルメール 41億3,857万円 2億692万円
2位 M・デムーロ 40億1,671万円 2億83万円
3位 戸崎圭太 27億5,835万円 1億3,791万円
2018年 1位 C・ルメール 46億6,023万円 2億3,301万円
2位 M・デムーロ 34億3,110万円 1億7,155万円
3位 川田将雅 26億5,238万円 1億3,261万円
2019年 1位 C・ルメール 35億549万円 1億7,527万円
2位 川田将雅 32億9,713万円 1億6,485万円
3位 福永祐一 24億3,177万円 1億2,158万円
2020年 1位 C・ルメール 45億3,913万円 2億2,695万円
2位 川田将雅 31億1,206万円 1億5,560万円
3位 福永祐一 31億427万円 1億5,521万円
2021年 1位 C・ルメール 44億2,768万円 2億2,138万円
2位 福永祐一 33億4,880万円 1億6,744万円
3位 川田将雅 29億6,050万円 1億4,802万円

ルメール騎手は5年連続で1位の座を維持していますが、ここ3年は過去2年連続で2位を維持していたデムーロ騎手が、成績の低下に伴い賞金ランクトップ3から脱落しています。

逆に川田騎手は2018年以降賞金ランキングトップ3の常連となり安定感が増した形です。
また2016年には騎手リーディングに輝いた戸崎騎手も、2017年以降はトップ3から陥落してしまいます。

ルメール・デムーロの両外国人騎手が日本で騎手免許を獲得する2016年以前は、福永騎手はトップ3の常連でした。
それから2016~2018年の3年間はトップ3から陥落するものの、2019年からは安定感が増し再びトップ3の常連に返り咲いています。

デムーロ騎手はドゥラメンテに代表されるノーザン系馬主の依頼がなくなったことで、騎乗馬の質の低下したことがランク外となった大きな原因と考えられ、近年はマイネル系馬主の騎乗依頼こそ増えていますが、馬質から考えると大きな躍進は厳しいといえる現状です。

逆に戸崎騎手は2019年の落馬負傷による影響が大きく響いており、怪我から復帰し以前の騎乗スタイルを取り戻すことができれば、厩舎サイドからの信頼は厚いため、今後の巻き返しにも十分に期待できます。

そして2021年賞金ランキングで紹介した、松山騎手や横山武史騎手といった若手騎手が、今後トップ3にどのように食い込んでいくのかも今後は注目したいところです。

2022年上半期を終えての賞金ランキング

2022年上半期を終えての賞金ランキング

では2022年現在上半期を終えた段階でのランキングはどのようになっているでしょうか?
以下は2022年7月4日時点での賞金ランキングになります。

騎手名 獲得賞金 年収
1位 川田将雅 18億9,398万円 9,469万円
2位 C・ルメール 14億1,377万円 7,068万円
3位 武豊 12億4,611万円 6,230万円
4位 横山和夫 11億5,764万円 5,788万円
5位 吉田隼人 11億3,683万円 5,684万円

宝塚記念を終え上半期の総決算を迎えた形ですが、現段階では今年は川田騎手がルメール騎手を大きく突き放しトップを独走している形です。

6年連続で賞金ランキングトップを目指すルメール騎手ですが、今年は勝利数・勝率共に川田騎手に大きく差を付けられる形となっており、現段階では今年はルメール騎手の不調が伺えることがわかります。

秋にはジャパンカップ・有馬記念という1着賞金4億円の大レースが控えているため、賞金ランキングトップに輝くためには秋のGⅠ戦線の活躍が必要不可欠です。

上半期の勢いを川田騎手が維持できるか、またはルメール騎手が後半に巻き返すかに注目し、今年の秋のレースは賞金ランキングという視点からも楽しんでいきたいですね。

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まとめ

騎手の年間タイトルは勝利数・勝率・賞金の3つのタイトルがあり、勝利数は最も勢いのある騎手、そして勝率は最も安定感のある騎手であることの裏付けとなり、対して賞金ランキングは、大レースで大きく活躍する勝負強さを裏付ける数値です。

特にGⅠレースなどの大きなレースでは、馬の実力に加えて騎手の高い勝負強さが求められるため、馬券の的中率や回収率を上げるためにも、大レースで軸馬を選択する際は、馬の実力に加えて騎手の賞金ランキングも参考にしてみましょう。