競走馬の年齢について詳しく解説!全盛期や長生きの馬も紹介
先日タイキシャトルが亡くなったことは大きなニュースとなり、多くの競馬ファンがこの名馬の死を惜しみました。
タイキシャトルは享年28歳だったそうですが、これは人間に言い換えれば何歳くらいなのでしょうか。
本記事では競走馬の年齢について詳しく解説していきます。
競走馬はだいたい2歳にデビューする
まずは競走馬の年齢の数え方から解説しましょう。
つまり極端な話をすれば12月31日に誕生した競走馬は翌日1歳になる、というわけです。
実は2001年までは誕生した年を1歳として数えていたのですが、日本競馬も国際化が進んで外国の競馬との交流が活発になる中で日本だけ馬齢の数え方が異なるというのはよくない、ということから、現在のように生まれた年を0歳とする馬齢の数え方になりました。
競走馬を含め、馬は誕生するとだいたい1時間もすれば一人で立ち上がれるようになります。
これは競走馬が草食動物であり、狙われる立場だからです。
もちろん親馬は片時も離れず見守っていますし、仔馬が襲われたときは全力で守りますが、それでも自分で走れないというのは大きなリスクを背負うこととなります。
仔馬は生き残るために生まれてすぐに走り回れる能力を得たといえるでしょう。
生まれた仔馬はスクスクと育ち、だいたい1歳くらいになると育成牧場で競走馬になるための本格的な調教が始まります。
そして1年間みっちりとトレーニングを積んだ後、基本的には2歳の夏、もしくは秋ごろに「新馬戦」でデビューを迎えることになります。
近年では仔馬たちの情報も頻繁に競馬ファンの間で交わされるようになっており、特に優れた仔馬は新馬戦の時にはすでに多くの競馬ファンから注目されるようになっています。
競走馬の2歳は人間で言えば何歳?
さて、2歳に新馬戦でデビューする競走馬たちですが、競走馬の2歳は人間に換算すると何歳くらいなのだろうと考えたことが一度はあるのではないでしょうか。
競走馬の成長は一定ではなく3歳くらいまでに一気に成長するので、平均的に人間の年齢に換算することは難しいのですが、だいたい調教が始まる1歳ごろが小学生に入学する6歳くらいだと仮定すると、競走馬としてデビューする2歳というのはその倍の12歳、つまり小学6年生または中学1年生くらいの年齢だと思っておけばよいでしょう。
各馬齢について簡単に解説
競走馬として活躍する7歳くらいまでは多くの競馬ファンが注目するのでよく知られているものの、それ以前の2歳ごろまでと、引退して以降は競走馬がどのような状態なのかを知る人はあまり多くはないでしょう。
本項目では各馬齢について簡単に解説していきます。
生後1日くらい
先ほども触れた通り、競走馬は生まれてすぐ、だいたい1時間ほどすると立ち上がって母馬の母乳を飲むようになります。
そして一日も経てばもう自由に走り回ることが可能です。
自由に走り回れるということで、人間で言えばだいたい2歳くらいと考えればよいでしょう。
生後半年くらい
お母さんの母乳を飲んでスクスク育った仔馬たちは生後半年もすると、大人の競走馬の体重の半分、だいたい200キロ前半くらいまで大きくなります。
生後4か月ごろになると母乳の栄養だけでは足りなくなるので、徐々に離乳食を与えていきながら乳離れをさせ、半年ごろには完全に離乳し大人の競走馬と同じような食生活になります。
人間の年齢に換算すると、だいたい幼稚園児くらいといったところでしょうか。
1歳
1歳になると、育成牧場での調教が始まります。
ですから1歳はだいたい小学校に入学する6歳ごろだと見ておけばよいでしょう。
仔馬たちの正確にも色々とあって、調教師の言うことを素直に聞くおとなしい子もいれば、全然言うことを聞かないヤンチャな子もいたり、お母さんが恋しくなってしまう仔馬もいたりするので、調教師の人たちは仔馬の性格を把握しながらその子に合った調教をして、デビューまでの準備をしていきます。
2歳
1年間育成牧場でみっちり鍛えられた仔馬たちは2歳になると所属厩舎が決まり、競走馬としてデビューすることになります。
人間の年齢で言えばだいたい小学校高学年から中学生くらいですが、このころには体重既に400キロ以上と大人の馬とほとんど変わらないくらいまで大きくなっています。
しかし競走能力に関してはまだまだ発展途上で、一番伸び盛りの年齢だといえるでしょう。
3歳~4歳
3歳から4歳は人間で言えば高校生から成人を迎えるあたりの年齢です。
体重は牡馬だとこの年齢くらいで500キロ前後となり、これ以降は急激に体重が増えることはありません。
3歳で体重が増えるのは成長とみてよいですが、4歳で20キロ以上体重が増えているというのは成長分ではなく、調教ミスによって太ってしまったと認識しておいたほうがよいでしょう。
競走馬によって早熟の馬と晩成型の馬がいるのでひとくくりにするのは難しいですが、早熟型の馬だと3歳ごろが能力的にはピークになり、一般的な成長曲線を描く競走馬だと4歳の秋ごろに能力のピークを迎えることになります。
3歳が高校生なので、「クラシック三冠」というのは人間のスポーツに言い換えれば「インターハイ」に出場するようなものだといえるでしょう。
性格的にはかなり差が出てくる年齢で、3歳で既に古馬のような風格を持つ馬もいれば、4歳になってもレースになるとテンションが上がり切って落ち着かなくなってしまう馬が居たりします。
5歳~6歳
どれだけ晩成型の競走馬であっても5歳になると能力値としてはピークを迎えますし、一般的な競走馬だと5歳を終える頃には能力値としては徐々に下降傾向が見られます。
人間に換算すれば20代前半か30歳くらい、スポーツ選手でももっとも活躍する年齢です。
優れた成績を挙げた競走馬の場合はだいたい5歳を終える頃に引退をしていきますし、そうでない競走馬も多くが6歳を終える頃には引退し、第二の人生を歩むことになります。
10歳
10歳は人間で言えばだいたい30代後半から40歳くらいに該当します。
人間だとこの年齢でも活躍するスポーツ選手はたくさん居ますが、競走馬の場合、比較的競走人生が長いとされる競走馬であってもこの年齢で現役生活を続けている競走馬というのはほとんど居ません。
2022年時点だと芝レースではマカヒキが9歳で現役続行していて、障害レースではオジュウチョウサンが11歳で現役続行中であるだけではなく、G1レースである「中山グランドジャンプ」に勝利、正に生けるレジェンドといえる競走馬です。
しかしながら、オリンピック競技のひとつである「馬術競技」になると、この年齢でも活躍している馬たちがたくさん居ます。
競走能力的にはピークを過ぎているものの、精神的には最も落ち着いた年齢であることから指示通りに動いたり止まったりすることが要求される馬術競技には一番適した馬齢なのです。
11歳~20歳まで
人間で換算すると40代から60代にあたります。
徐々に体の衰えが見えてくる年齢であり、牝馬だとこのころには発情がなくなって出産ができなくなります。
人間と同じように白髪が増えたり、骨がもろくなったり、視力が衰えてきたりするので、そろそろ身体的なケアも必要になってくる馬齢です。
21歳から30歳
人間に換算すると70歳から80歳くらいに該当するため、身体的な衰えはさらに顕著なものとなります。
この年齢になると残念ながら亡くなる馬も多く、競走馬の平均寿命はだいたい25歳くらいだそうです。
したがって、教師乳母の平均寿命は人間に言い換えればだいたい75歳くらいだということになります。
タイキシャトルが亡くなった原因は老衰による心不全だそうです。
馬房には荒れた様子もなかったそうで、眠った際にそのまま安らかに息を引き取ったのだろうというのが厩舎側の見解であり、大往生といえるでしょう。
日本の競走馬で最長寿の馬は?
(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=vZqByesuF34)
日本の競走馬のなかでもっとも長生きした競走馬はどれくらいまで生きたのでしょうか。
記録が残っている限りでもっとも長寿だったのは「シャルロット」という馬で、競走馬時代は「アローハマキヨ」という馬名で地方競馬を走っていました。
その後2003年までは乗馬として活躍していましたが、それ以降はスエトシ牧場で飼育されることになります。
2014年8月26日、それまでシンザンが保有していた35歳3か月11日という日本競走馬の最長寿記録を更新、その後も元気で2016年10月14日には国内最高齢馬となったため、シャルロットの名前は競馬ファンに広く知られることとなりました。
しかし2019年8月3日、老衰によって残念ながら亡くなってしまいます。
この時の馬齢はなんと40歳と81日という驚異的なものでした。
この記録が更新されることはなかなか無いのではないでしょうか。
引退後も長寿で大人気のナイスネイチャ
(引用元:https://jra-van.jp/fun/memorial/1988104866.html)
大人気ゲームであるウマ娘プリティダービー」は往年の名馬たちをモチーフにしていますが、2022年9月時点で未だに健在な馬も存在します。
もっとも有名なのはナイスネイチャでしょう。
ナイスネイチャは現在34歳であり、存命中の中央競馬重賞勝ち馬としては最高齢になっています。
元々往年の競馬ファンには「ブロンズコレクター」として絶大な人気でしたが、プリティーダービーでのキャラクターが人気を博するとモチーフである元馬の人気も絶大なものとなり、毎年おこなわれている「バースデードネーション」では2020年度は約180万円だったのですが、ウマ娘プリティーダービーの配信が開始された年である2021年には目標額の200万円をたった1日で達成、最終的にはその10倍の2,000万円近い寄付が集まりました。
この寄付金は引退馬が余生を過ごすための支援金として使用されています。
ウイニングチケットも未だに健在
(引用元:https://jra-van.jp/fun/memorial/1990102314.html)
ウマ娘のモチーフとなった競走馬で未だに健在な馬としては、ウイニングチケットも有名です。
ウイニングチケットは現在32歳で、現時点ではG1勝利馬では最年長となっています。
しかし健在というだけではなく、牧場のTwitterでは現役さながらの走りを見せる動画が度々公開されており、まだまだ元気いっぱいです。
引退した名馬に会うことはできる?
数々のG1レースに出走して競馬ファンを興奮させ、引退した名馬たちはそれぞれの牧場で余生を送っています。
競馬ファンならばかつて熱狂した名馬たちの姿を一目見たいと思うことでしょう。
実は全ての名馬ではありませんが、引退した名馬に会うことは可能です。
といっても、牧場は見学目的で運営しているわけではないので、場所が分かったからといっていきなり尋ねるようなことはしないでください。
どの牧場にどの競走馬が居るかを調べるには、「競走馬のふるさと案内所」というサイトを利用するのが便利です。
このサイトで見学できる名馬たちがどの牧場に居るのかを調べ、牧場に直接見学が可能かどうかを確認してから訪れるようにしましょう。
訪れた際には牧場側の指示を必ず守り、静かに見学するようにしてください。
まとめ
競走馬は生まれてすぐに立ち上がることができ、1日経てば自由に走り回ります。
そして1歳になると育成牧場で競走馬としてのトレーニングが始まり、2歳でデビュー、3歳から5歳ころにピークを迎え、5歳から7歳くらいには引退し、第二の人生を過ごすことになります。
競走馬の寿命はだいたい25歳くらいだと言われていて、人間に換算すると約80歳くらいです。
これまで国内の競走馬でもっとも長生きしたのはシャルロットという競走馬で、40歳以上生きました。
引退後の競走馬たちを見学することは可能ではありますが、訪れる際は必ず事前に牧場側に確認を取り、訪れた際には牧場側の指示を守って静かに見学しましょう。