競馬の血統(産駒)を解説!ランキングから見る注目の産駒は?
この記事は、競馬の血統(産駒)を大事な所だけ解説します。
競馬はブラッドスポーツと呼ばれていますが、競争馬であるサラブレッドは自然界で1頭も存在しません。
イギリスの馬とアラブの馬を配合したのが始まりで、より速く強い馬を作るために改良を重ね現在に至っています。
競走馬の能力は、血統によって左右されることが多くあります。
スピードのある血統からはスピード型が、スタミナのある血統からはスタミナ型の競走馬が産まれる可能性が高いのです。
そんなことから競馬の予想をする上で血統(産駒)は、とても重要なファクターとなっています。
しかしながら父と母の影響度合いや何代前まで遡るべきなのかが難しく、その分析をあきらめてしまう競馬ファンが多いのも事実です。
そこでこの記事では血統(産駒)の大事な所だけを抽出し、それをどう予想に活かせばいいのかを分かりやすく解説していきます。
血統における三大始祖とは?
競走馬には父と母が居て、その父と母にもそれぞれ父と母が居ます。
ではそれをどこまでも遡った最初のサラブレッドはどんな馬だったのでしょうか?
父系の系譜を遡ると3頭の馬に行き着き、その3頭のサラブレッドを三大始祖と呼んでいます。
その3頭は、ダーレーアラビアン(推定1700年生)、ゴドルフィンアラビアン(推定1724年生)、バイアリーターク(推定1680年生)です。
このうちダーレーアラビアンが、現在のサラブレッドの約90%以上の占有率になっています。
ダーレーアラビアンから5代目となるエクリプスという馬が26戦全勝と大活躍し、その子孫が繁栄したのがその理由のようです。
「1着エクリプス、あとの馬はどこにもいない」という有名なフレーズが残されているくらい強かったようですね。
一方ゴドルフィンアラビアンはエクリプスの母父に当たる為、父系発展が出来なかったと考えられます。
このように現在の競走馬は、この3頭のどれかの血を引き継いでいるということになります。
重要な4系統とその特徴
三大始祖から改良を重ね、サラブレッドは進化していきます。
そして様々な特徴を持った系統が出てきますが、その中で重要な4系統はノーザンダンサー系、ナスルーラ系、ネイティブダンサー系、ターントゥ系です。
それぞれの特徴をご紹介していきます。
ノーザンダンサー系
ノーザンダンサー系は、世界中で活躍している大きな系統です。
ダートで走る米国型、洋芝で走る欧州型、短距離に優れた豪州型と様々なタイプがあります。
概ね道悪に強く、短〜中距離で活躍する馬が多い印象です。
日本ではノーザンテースト・マルゼンスキー・クロフネ等がこの系統で、スピードとパワーを兼ね備えています。
ナスルーラ系
ナスルーラ系の特徴は、激しい気性と高いスピード能力があることです。
ノーザンダンサー系が台頭するまでは、ナスルーラ系が世界を席巻していました。
スピードに加えスタミナを補うことで、洋芝で力の必要な欧州でも活躍するようになりました。
代表としては道悪やハイペースに強く、力強さもある全能力型のトニービンが挙げられます。
ネイティブダンサー系
ネイティブダンサー系はパワーがあり、ダートの活躍馬が多い印象です。
ネイティブダンサーは米国で活躍し、22戦21勝と圧倒的な強さを誇っていました。
芦毛の馬体だったことと好位に付けていつの間にか抜け出して勝つことから、「グレイゴースト」の異名が付いていたようです。
日本ではエルコンドルパサー、オグリキャップがこの系統です。
どちらも力強さを感じさせる馬ですね。
ターントゥ系
ターントゥ系は瞬発力とスタミナを兼ね備えた万能型で、現在日本で活躍する馬はほとんどがこの系統です。
1990年代中盤以降に日本で急激に繁栄しました。
これまでノーザンダンサー系が全盛でしたが、日本の血統勢力図が一気に塗り替えられていきました。
サンデーサイレンスからディープインパクト、そしてその子孫へと能力は引き継がれていきます。
血統において最も重要なのは父
ここまで最低限押さえておきたい血統の歴史を見てきました。
結局のところサラブレッドは、父系の3頭が元になっていて、近親の繁殖を繰り返してきたと言うことになります。
つまり何代か遡れば、必ず何らかのタイトルを獲得した名馬に行きつくのです。
そしてその遺伝子は、どの馬もそれほど大きく違っているわけではないとも言えます。
競馬の予想において、母の父が〇〇だからとか△△の血が入っているからとよく耳にしますが、元を辿ればほぼ同じような血ということになります。
そんなことから多数派の見解として、血統において最も重要なのは父であると言われているのです。
中にはもちろん、突然3代前の能力を受け継ぐ馬もいることでしょう。
しかしそこまで考慮していては、予想の組み立てに一貫性が持てません。
そこで父の能力を最重要視して、父のプラス要因・マイナス要因を分析することが大事だと考えます。
ここで2022年に父とそっくりなレースをした馬をご紹介します。
ディープインパクトのラストクロップで3億円の値が付き話題のオープンファイアは、2歳時の新馬戦で鮮烈のデビューを果たしました。
スタートであおって出て後方追走となりましたが、ここからもうすでに父のディープを思い起こさせます。
そして何より圧巻だったのは直線に入ってからで、もう届かないだろうと思われた所からものすごい瞬発力を発揮しきっちりと差し切りました。
馬体重こそ500kg超えと小柄なディープに似ていませんが、レースではそっくりです。
こんなことからも競馬予想における血統は、父を最重要に考えるということで良いのではないでしょうか。
2022年種牡馬ランキングベスト6とその特徴
競馬リーディングの中に種牡馬部門があり、毎年総賞金順によるランキングが発表されています。
上位の馬はそれだけ多くの仔を産出していることになり、その種牡馬の特徴、また産駒の特徴が分かれば競馬予想に役立つと考えられます。
どんな時に好走し、またどんな時に凡走する可能性があるのかを確認していきます。
2022年の種牡馬ランキングベスト6は、1位ディープインパクト、2位ロードカナロア、3位ハーツクライ、4位キズナ、5位ドゥラメンテ、6位キングカメハメハとなっています。
ディープインパクト
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
ディープインパクトは2012年から1位を継続している王者です。
激しい気性のためゲート難がありますが、それを補うに余りある圧倒的な末脚が魅力です。
瞬発力と持続力を併せ持っているため、自力で動ける2400m以上に特に強さを発揮します。
産駒は早熟型とも言われていて、芝GⅠで4歳以上の1番人気は意外と勝てないというデータもあります。
ディープインパクトの後継馬とも言われているコントレイルは、クラシック3冠を制した明け4歳で苦戦します。
1番人気となった大阪杯・天皇賞(秋)で3着・2着と勝利を逃し、早熟説が流れました。
その後引退レースとなったジャパンカップを制し面目を保ちますが、やはり3冠を取った3歳時が最も耀いていたと言えるでしょう。
また「雨上がりのディープ」と言われるように、雨が上がった後の回復基調の馬場で好走することが多いです。
これは重心が低い産駒であることが要因の一つだと言われています。
一方ディープ産駒は父がディープインパクトと言うだけである程度の人気を背負うので、オッズに惑わされないよう注意が必要です。
そんなことから2・3歳で中距離以上、雨上がりの稍重の場合は2段階ほど評価を上げてもいいと考えます。
ロードカナロア
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
ロードカナロアはキングカメハメハの後継で、産駒は1200m〜1600mを得意としています。
自身もスプリンターズステークス、安田記念等を制しており、2013年にはJRAの年度代表馬にも選出されました。
また産駒は、新馬戦から重賞までクラスを問わず好走しています。
弱点を挙げるとすると距離ですが、代表産駒であるアーモンドアイのように能力の高さでこなしてしまう場合もあるのです。
データから注意する事項を2点上げておきます。
重賞出走時、中3週以内と間隔が詰まると凡走するケースがあります。
また稍重まではOKですが、重以上の馬場では切れ味が鈍るため評価を落とすのが無難です。
ハーツクライ
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
ハーツクライの産駒は、芝の長距離適性がありスタミナ型なのが特徴です。
ハーツクライで思い出すのは、2005年の有馬記念です。
無敗の3冠馬ディープインパクトに注目が集まる中、ハーツクライはまさかの先行策に打って出ます。
そして直線で先頭に立つとディープインパクトの追走を振り切り、見事1着でゴールを駆け抜けたのです。
このレースで、ハーツクライの豊富なスタミナと力強さを再確認させられました。
これは近年の産駒である2022年ダービー馬、ドウデュースにも引き継がれていますね。
2022年のダービーは、同年の年度代表馬となるイクイノックスを力でねじ伏せたような名レースでした。
注目すべきデータとして、産駒の重賞勝利の約4割が東京競馬場ということです。
またGⅠGⅡでは2着が多く、牝馬は出世馬があまり多くありません。
GⅠGⅡの2着固定の馬単馬券は狙い目かもしれませんね。
キズナ
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
キズナはディープインパクトの後継種牡馬の1頭で、2022年は産駒のソングラインが安田記念を制しました。
2021年はアカイイトがエリザベス女王杯を勝つなど、どちらかと言えば牡馬よりも牝馬の活躍が目立ちます。
また馬格が大きめのため短距離向きと言われていましたが、近年は芝であれば距離は不問で活躍しています。
ダートでは1700m1800mでの好走が顕著なため、芝からダートに転向してこの距離で出走した時が狙い目です。
ドゥラメンテ
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
ドゥラメンテはキングカメハメハの後継種牡馬で、2022年に初めて父を抜き5位となりました。
生涯成績は9戦5勝2着4回と連対パーフェクトの成績で、皐月賞・ダービーのクラシック2冠にも耀いています。
4歳時の宝塚記念(2着)で競争能力を喪失する怪我を負いやむなく引退、2021年8月31日に急性大腸炎によりわずか9歳でこの世を去りました。
その後産駒のタイトルホルダー、スターズオンアースなど5頭がGⅠ級競争を勝っています。
それを見ることできなかったドゥラメンテは、競走馬時代も含めて悲劇の馬といわざるをえません。
産駒で牡馬は中距離以上に適性があり、右回りを得意としています。
また牝馬は1600m〜2000mが強いので、距離を短縮してきた時が狙い目です。
キングカメハメハ
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
キングカメハメハは、2010年2011年で種牡馬ランキング1位となりました。
サンデーサイレンス系以外の馬がリーディングサイヤーになったのは、1994年のトニービン以来16年ぶりという快挙です。
競走馬時代は2004年に1600mのNHKマイルカップ、2400mのダービーを勝って変則2冠として話題になりました。
近年は衰えが見えてきて、種牡馬としての地位も産駒のロードカナロア・ドゥラメンテに明け渡すようになりました。
産駒の評価は1枚落とし、当日の気配重視で予想を組み立てるのがいいかと考えます。
2023年注目の種牡馬は?
(引用元:競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN)
種牡馬ランキングはキングカメハメハに衰えが見られますが、上位はここ2、3年同じ馬で固定されています。
そこに割って入るような種牡馬についてご紹介します。
2023年注目の種牡馬は、モーリスです。
モーリスは安田記念や天皇賞(秋)などのGⅠを制し、2015年は年度代表馬にも選ばれました。
種牡馬となってからは2020年47位、2021年12位、2022年8位と着実に順位を上げています。
種牡馬としてのモーリスを推す理由は2つあります。
まずモーリス自身が4歳になってから活躍したことから、産駒も晩成型であると思われることです。
モーリスの競走馬時代の戦績は2、3歳時は7戦2勝だったのですが、4、5歳時は11戦9勝2着2回と一気にブレイクします。
代表産駒であるジェラルディーナは4歳でエリザベス女王杯を制し、有馬記念3着と好走しました。
またピクシーナイトも、スプリンターズステークスを勝ったのは4歳です。
2023年はジャックドールも含めて5歳勢がまだまだ活躍する余地が十分あり、先日の中山金杯(GⅢ)を勝った4歳のラーグルフもブレイクする可能性を秘めています。
このように2023年はモーリスの遅咲きの血が、いよいよ開花する年になるのではないかと考えています。
もう一つの理由は、サンデー系の馬とは真逆のレース展開が出来ることにあります。
瞬発力に優れたサンデー系産駒は、スローからの上がり勝負になると圧倒的な力を発揮します。
一方モーリス産駒は、前傾ラップで上がりのかかるレースが得意です。
相撲で例えると、押し相撲同士の対戦だとほぼ上位者が勝ちますが、上位の押し相撲に下位が四つ相撲で対抗すれば、逆転の可能性が高まります。
同じように瞬発力勝負だったらサンデー系が有利ですが、前傾ラップのレースではモーリス産駒が勝てる可能性が高まるのです。
しかもサンデー系と違いモーリス産駒は先行してレースの主導権が取れるので、ペースを操作することも可能です。
そんなことから、得意距離である1200m〜2000m戦では十分に戦えると考えられます。
2023年は始まったばかりですが、すでにモーリス産駒は活躍しています。
サンデー系種牡馬にどこまで食い込めるか、2023年のモーリス産駒に注目して下さい。
競馬の血統(産駒)の大事な所だけ解説のまとめ
この記事は競馬の血統(産駒)の大事な所だけを解説してきました。
この記事をまとめると次のようになります。
・血統で重要な4系統を押さえる
・血統で最も重要なのは父
・上位の種牡馬の特徴が予想に役立つ
・2023年注目の種牡馬はモーリス
血統は調べれば調べるほど奥が深く、勉強した上で競馬を見ればよりドラマティックに感じられることでしょう。
しかし馬券重視で考えた場合、そこまでの知識は必要無くむしろ複雑になりすぎて混乱すると思われます。
そこで今回は最低限の基礎知識と、父親に特化した産駒の特徴をまとめてみました。
2023年はモーリスに注目したいですし、数年後はディープインパクト最大の後継馬と言われるコントレイルの産駒も登場してきます。
どんな走りを見せてくれるのか、今から楽しみですね。