ステイゴールド産駒は気性難だらけ?産駒の特徴と得意な距離、コースを紹介!
1994年に生誕したステイゴールドは多くの人に愛された名馬です。
派手な勝ち方こそありませんでしたが、どんなに階級の高いレースでも上位入りする実力、当時のスターホースの裏で堅実に走った姿は多くの人の記憶に残っています。
種牡馬入りすると三冠馬のオルフェーヴルを輩出し、種牡馬として大成功したのです。
当記事ではステイゴールドのエピソードに触れたうえで、ステイゴールドの代表産駒を5頭紹介します。
そして、ステイゴールド産駒の特徴を踏まえたうえで、ステイゴールド産駒の後継種牡馬についても解説していきます。
【ドラマティックホース】知っておきたいステイゴールドのエピソード5選
ステイゴールドは勝ち切れなくても諦めない走りが多くの人に好まれた名馬です。
また、サイレンススズカやスペシャルウィーク、テイエムオペラオーにジャングルポケットなど、世代のトップホースとしのぎを削った古馬というのも評価される要因でしょう。
ステイゴールドに関するエピソードを5つ紹介します。
とにかくやんちゃで気性難
ステイゴールドはデビュー時からやんちゃで気性難の馬だったようです。
とにかく気性が荒く、管理していた池江調教師曰く「肉を与えたら食うのではないかと思ったほど狂暴」だったようです。
デビュー時に手綱を握った熊沢騎手によると、蹴られたり振り落とされることは当たり前のようにあったようです。
しかしながら、ステイゴールドは好き嫌いがはっきりしている馬らしく、嫌なことがあると荒れるだけでそれ以外の時はおとなしかったようです。
なお、ステイゴールド産駒のオルフェーヴルやゴールドシップも気性難で有名ですが、父の性格が遺伝した可能性は極めて高いです。
主な勝ち鞍【阿寒湖特別】
ステイゴールドは希代のシルバー&ブロンズコレクターの異名をとっていました。
第一線で活躍するものも、2着や3着が多かったからです。
どんな大舞台でも善戦したのですがなかなか勝ち切ることができず、主な勝ち鞍が阿寒湖特別(900万下)だった日々は長く続きました。
しかし、2000年の日経賞を制したことで、2年8か月ぶりに勝利をつかんだのです。
デビュー50戦目のG1レースで有終の美を飾る
日経賞を制したステイゴールドはその後、こつこつと重賞レースを制します。
2001年にはドバイで開催されたドバイシーマクラシックにおいて最終的にG1レースを6つ勝利することになるファンタスティックライトに先着し、自身初となるG1タイトルをつかみました。
そして、その年の12月に行われた香港ヴァーズが引退レースとなりました。
この香港ヴァーズはデビューから50戦目の節目のレースでしたが、ステイゴールドは最後の直線で一気に末脚を伸ばして勝利したのです。
これまで善戦マンだったステイゴールドが最後の最後に勝利をつかんだことで、多くの競馬ファンが歓喜に沸いたのでした。
大きな怪我もなく、現役生活を全うした
ステイゴールドは50戦もレースで使われました。
種牡馬として大成したディープインパクトは生涯14戦、キングカメハメハは怪我があったとはいえ8戦しか使われていません。
普通の競走馬でも50戦以上使われるのは地方に移籍した馬くらいで、いかに50戦走ることが異様であるかが分かります。
また、50戦もレースを使われていましたがステイゴールドは大きな怪我もなく競走生活を終えました。
キングカメハメハやハーツクライが怪我のために早々に種牡馬入りしたころを考えると、ステイゴールドの脚は頑丈だったことが分かりますね。
大きな怪我もなく、7歳まで現役を全うしたこともステイゴールドの長所なのです。
三冠馬オルフェーヴルを輩出
種牡馬入りしたステイゴールドの大功績といったらオルフェーヴルを世に輩出したことでしょう。
オルフェーヴルは2008年生まれの競走馬で2011年のクラシック三冠を制し、史上6頭目の三冠馬に輝きました。
ステイゴールドの仔から三冠馬が生まれたことで、種牡馬ステイゴールドの価値は瞬く間に上昇したのです。
ステイゴールドの代表産駒5選
ステイゴールドは初年度の種付け料金が受胎確認後150万円、もしくは出産後200万円に設定されました。
同時期に種牡馬入りしたテイエムオペラオーやアグネスタキオンの半値以下だったこともあり、多くの生産者がステイゴールドとの交配を望んだのです。
そのため、初年度は177頭もの牝馬と交配しました。
産駒が多いとそれだけ活躍する馬が産まれやすくなり、実際にステイゴールドは多くの有力馬を輩出しました。
ここからは、ステイゴールドの代表的な産駒を5頭紹介します。
【暴れん坊三冠馬】オルフェーヴル
最初に紹介するのはオルフェーヴルです。
オルフェーヴルは史上6頭目となるクラシック三冠を制した馬です。
その気性面の悪さから、主戦を務めた池添騎手を何度も振り落とそうとしたのは有名です。
ディープインパクトが極めて優秀な優等生だとしたら、オルフェーヴルは手が付けられない不良といえるでしょう。
古馬になっても気性の悪さは一切改善されません。
阪神大賞典では一度レースをやめようとしながらも慌てて追走して上位入選したのはもはや伝説です。
ある関係者は「こんな三冠馬は見たことがない」といいました。
しかし、激しい気性こそありましたが、高い身体能力とレースに勝つための闘志を秘めていたのも事実です。
凱旋門賞は2年連続で出走し2着入りを果たしました。
この記録はディープインパクトですら成しえていません。
また、引退レースとなった有馬記念では2着のウインバリアシオンに8馬身差をつけて圧勝し、強いオルフェーヴルの印象をファンの脳裏に焼き付けたのでした。
【芦毛の怪物】ゴールドシップ
オルフェーヴルの一つ年下に当たるゴールドシップはその美しい芦毛の馬体が綺麗な馬です。
しかし、オルフェーヴル同様気性難を引きずっている馬でとにかく暴れん坊です。
競馬ファンの中にはオルフェーヴルの再来を実感した人もいるほどだったのです。
かなりやんちゃな馬でしたがその実力は確かなもので、皐月賞や菊花賞をはじめ、最終的にはG1タイトルを6つ手にしています。
無尽蔵のスタミナを活かしたロングスパートが得意で、向こう正面から進出する度にスタンドから歓声が沸き、競馬界を盛り上げたのでした。
【中山の鬼】ウインブライト
松岡正海騎手の愛馬としても有名なウインブライトは特定の競馬場を得意とする舞台巧者でした。
現役時代は9勝していますが、そのうちの5勝が中山競馬のもので典型的な中山巧者だったのです。
ウインブライトといったら中山巧者のイメージが強いですが、現役時代に挑んだ香港の沙田競馬場のG1レースも2勝しています。
中山だけではなく沙田でも力のある競馬を見せていました。
しかし、東京や阪神などの直線が長い競馬場では二けた着順に敗れることも少なくなく、得意不得意がはっきりしている馬だったのです。
【春秋マイルG1制覇】インディチャンプ
インディチャンプはステイゴールド産駒で唯一春秋マイルG1を手にした馬です。
クラシックとは無縁の馬でしたが、古馬になって東京新聞杯を制すると、その年の安田記念も勝利し、さらには秋に開催されたマイルチャンピオンシップでも勝ち星をつかみました。
あっという間にG1ホースになり、2019年のJRA賞最優秀短距離馬に選出されたのです。
その後はマイラーズカップを最後に勝利をつかむことはありませんでした。
ですが、大崩れすることもなく、どんな舞台でも掲示板入りしていて能力の高さが垣間見えたのです。
ステイゴールド譲りの安定した走りでマイル界の中心に立った馬なのでした。
【障害絶対王者】オジュウチョウサン
オジュウチョウサンは2022年まで現役生活を全うした馬で、障害界の絶対王者と呼ばれていました。
中山グランドジャンプを6度優勝、中山大障害も3回勝利し、それまでのジャンパーでは見られない活躍を見せたのです。
その活躍ぶりから普段障害レースに興味のない競馬ファンにもオジュウチョウサンの名前が知れ渡り、マイナーは障害レースの知名度を一気に高めたのでした。
ちなみに、人気も絶大でファン投票で優先出走権が得られる有馬記念にも出走しています。
晩年は年齢による衰えから負けることも増えましたが、2022年の中山グランドジャンプを最後に、大きな怪我もなく引退しました。
引退後は障害馬としては異例の種牡馬入りも果たしていますよ。
知っておきたいステイゴールド産駒の特徴5選!
ステイゴールド産駒は個性的な馬がたくさんいます。
ステイゴールド産駒にはどのような特徴があるのか、5つ紹介しましょう。
丈夫な産駒が多い
ステイゴールド産駒といったらまず思い浮かべるのが大きな怪我が少ないことです。
ディープインパクト産駒やキングカメハメハ産駒はスピード力に長けた馬が多いですが、怪我する馬も少なくなく、怪我のために泣く泣く引退した馬も少なくありません。
しかし、ステイゴールド産駒はオルフェーヴルやゴールドシップ、オジュウチョウサンに至るまで大きな怪我はありませんでした。
丈夫で長く競走生活を続けられるのはステイゴールド産駒の強みなのです。
スタミナとパワーが豊富で中・長距離が得意
現役時代のステイゴールドはスタミナとパワーが豊富でしたが、産駒も父同様スタミナやパワーに定評ある馬が多いです。
ゴールドシップはスタミナ量が非常に多く、向こう正面からロングスパートを仕掛けて結果を残しました。
また、パワーも豊富でタフな馬場を苦にしない馬も多いです。
オルフェーヴルのダービーは不良馬場の東京競馬場で行われましたが、後続を一切寄せ付けない走りで二冠目を手にしています。
距離で見ると中・長距離を得意としている馬が多いのも特徴です。
2023年時点でステイゴールド産駒のG1馬は13頭いますが、そのほとんどが中距離以上のレースで活躍しました。
マイルはインディチャンプやアドマイヤリード、レッドリヴェールがG1タイトルを手にしていますが、中・長距離と比較すると少数です。
そして、芝1,400m以下の短距離G1を手にした産駒はいません。
重賞馬に目を通してみてもフィリーズレビューを制したマイネレーツェルしかいませんでした。
距離が短くなるほど凡走傾向が目立つようです。
母の父メジロマックイーンと相性が良い
母の父メジロマックイーンと交配すると強い馬が産まれやすくなるという話は有名ですね。
三冠馬のオルフェーヴルと二冠馬ゴールドシップがまさに母父メジロマックイーンだったのです。
2当の馬がクラシックタイトルを手にしたことは生産界に大きな衝撃を与えました。
各生産者はこぞってメジロマックイーン産駒の牝馬を探しました。
その中には繁殖牝馬を引退して乗馬に転用していた馬もいたそうです。
強い馬が産まれやすい交配をニックスといいますが、父ステイゴールド×母の父メジロマックイーンはまさに黄金配合といえたのです。
ダートでの実績は乏しい
ステイゴールド産駒はスタミナとパワーに定評があります。
しかし、産駒の多くが平均よりも小柄な馬が多いことから、一歩の歩幅が重要視されるダートレースにおいて活躍した馬は多くありません。
2023年時点でダート重賞を制した馬はシルクメビウスのみでした。
ダートは苦手としている産駒が多いです。
気性難が多い
ステイゴールド自身が非常に気性が荒かったのですが、産駒も気性難が多いです。
特にオルフェーヴルやゴールドシップの気性の荒さは有名で、あまりにも気性が悪いことかオルフェーヴルの主戦を務めた池添騎手は何度も振り落とされました。
しかし、気性が悪いにもかかわらず数多くのG1タイトルを制していることで、いつしか気性難が愛されるポイントにもつながったのです。
ポストステイゴールドはどの馬?注目したい後継種牡馬2頭
競走馬としても種牡馬としても長く活躍したステイゴールド。
しかし、2015年に大動脈破裂のために亡くなりました。
現在はステイゴールド産駒の馬が種牡馬入りし、優秀な産駒をターフに送っています。
ここからは現在も活躍している有名な種牡馬を2頭紹介します。
オルフェーヴル
最初に紹介するのは三冠馬のオルフェーヴルです。
有馬記念で衝撃的な圧勝で有終の美を飾ったオルフェーヴルは翌年から種牡馬入りしました。
初年度の種付け頭数は244頭にも上り、数多くの産駒がターフデビューしたのです。
初年度産駒からは皐月賞を制したエポカドーロや最終的にG1タイトルを4つ手にするラッキーライラックが生まれました。
2年目の産駒からは日本馬としては初となるブリーダーズカップディスタフを制したマルシュロレーヌも出ています。
その他にもかしわ記念を制したショウナンナデシコや、ドバイワールドカップを勝ったウシュバテソーロなど、ステイゴールドとは対称的にダートを得意とする馬が多いです。
クラシックタイトルを手にした馬はエポカドーロのみですが、コンスタントに重賞馬を輩出しているのでまだまだ需要のある種牡馬といえます。
ゴールドシップ
ゴールドシップはビッグレッドファームで種牡馬入りしました。
社台グループの管轄ではないので強い繁殖牝馬には恵まれていません。
馬の質には恵まれていませんが、それでもオークスを制したユーバーレーベンを輩出したことで種牡馬としての価値は向上しました。
2023年4月の時点でG1馬はユーバーレーベンのみです。
しばらく重賞馬は出ませんでしたが2023年のフローラステークスを制したゴールデンハインドは2020年産の馬です。
久々にゴールドシップの仔から重賞馬が飛び出しました。
まだまだG1を取るチャンスはあるでしょう。
それ以外の新種牡馬にも活躍が期待されている
ポストステイゴールドとしてはオルフェーヴルの全兄であるドリームジャーニーもいますが、ドリームジャーニーは小柄すぎてなかなか種牡馬として苦労しているようです。
その他、マイルG1を手にしたインディチャンプや障害王者のオジュウチョウサンも種牡馬入りしました。
現在のところオルフェーヴルとゴールドシップがポストステイゴールドとして奮闘していますが、新たな種牡馬がどれだけ活躍馬を輩出するのか注目したいですね。
まとめ
ステイゴールドは派手な活躍を見せなかったものの、長きにわたって第一線を走っていたため多くの人に愛される名馬になりました。
引退後は三冠馬オルフェーヴルを筆頭に、有力馬を次々とターフに送り出し、種牡馬としても大成しています。
今後はポストステイゴールドの争いが行われるでしょう。
ステイゴールドの血がどのようにしてターフに受け継がれるか、長い目で見守りましょう。