競馬予想に役立つ相馬眼とは?鍛えるための方法やコツを5つ紹介!
競馬予想にはたくさんの方法があります。
例えば新聞に掲載されている情報をくまなくチェックしながら予想する人もいれば、血統予想を行う人もいますし、パドックや調教を見ながら予想する人もいます。
その中には、相馬眼を活かして競馬予想を行う人も少なくありません。
競馬に長く携わっていると時々耳にする「相馬眼」という言葉。
初心者の方はどのような意味なのかさっぱり分からないという方も多いでしょう。
当記事では相馬眼の意味を紹介したうえで、相馬眼を身に付けるメリットを紹介します。
そして、最後に相馬眼を鍛える方法も解説します。
そもそも相馬眼って何?
早速相馬眼の意味を見ていきましょう。
相馬眼は主に競馬予想において役立ちます。
例えば、パドックや返し馬で馬の動きを身ながら状態や調子を判断できます。
また、セレクトセールや市場で強い馬を探す際にも活かされます。
競馬予想は過去の戦績を見ながら予想するのが基本ですが、競りに出された馬はデビュー前なので当然戦績などは存在しません。
しかしながら、多くの人はレースで勝つ馬を落札しようとします。
どうして過去の戦績もないのに強い馬を落札できるかというと、相馬眼に優れている人が素質の高い馬を見抜いているからです。
競りに出された馬の馬体や歩様を見ながら素質のある馬に入札が集まるのです。
なお、落札するのは馬主ですが馬主全員が相馬眼に優れているわけではありません。
相馬眼に自信がないオーナーは相馬眼に優れている人と契約し、その人に素質馬を見抜いてもらった上で落札しているのです。
相馬眼とは馬の能力や素質を見抜く技術
競走馬は生き物なので馬の数だけ特徴があります。
そのため、すべての馬の特徴を理解するのは非常に難しいです。
しかしながら馬という生き物には変わらないため、強い馬の傾向はある程度存在します。
例えば、毛艶がよかったりトモ(後ろ脚)が発達しているとレースに向けて順調に仕上がっていると判断できます。
相馬眼が優れていると、好走する特徴や過去の調子のよかった状態を比較しながら勝ち馬を見つけ出せるのです。
競馬関係者の多くは相馬眼を身に付けている
競馬に携わる多くの人は相馬眼を身に付けているといわれています。
なぜなら、すべての関係者は強い馬を育成し、調教したうえでレースに勝つことを目標にしているからです。
例えば調教師は馬体を見ただけで短距離向きか、それとも長距離タイプか分かるようです。
また、生産者も少しでも健康で丈夫、そしてなにより強くなるように馬を育成しています。
相馬眼が養われているほど強い馬を見出すことができ、強い馬の育成に役立つのです。
相馬眼には類義語がある
相馬眼と似たような言葉に「慧眼(けいがん)」という言葉があります。
これは、「物事の本質を見抜く洞察力」を意味しており、現代ではビジネスのシーンで使われることが多いです。
ニュアンスだけ見ると相馬眼と類似していますが、競馬界では慧眼の言葉が使われることは基本的にほとんどありません。
相馬眼を身に付けるメリット3選
相馬眼を身に付けていると競馬予想で非常に役立ちます。
ここからは相馬眼を身に付けるメリットを3つ紹介します。
馬の調子を判断できる
相馬眼を身に付けてもっとも役に立つのが馬の調子を判断できることです。
そもそも、パドックや返し馬は競走馬の最新の状態を身ながら予想する方法です。
どんなにこれまでの戦績が優れていても、例えばお腹の調子が悪かったりやる気がなければレースで勝つことは厳しいでしょう。
これらの情報は過去のデータには記されておらず、パドックや返し馬から判断するしかありません。
そこで、相馬眼を身に付けていればそのような状態も見抜くことができるのです。
実際に相馬眼が活きた例があります。
2023年の天皇賞(春)で1番人気に支持されたのは菊花賞馬のタイトルホルダーです。
ステップレースで挑んだ日経賞において、不良馬場をものともしない走りで8馬身差の圧勝を遂げたため、単勝オッズ1.7倍の断然1番人気に支持されました。
しかしながら、このとき解説を務めた元騎手の安藤勝己さんはタイトルホルダーのパドックにおける歩様がいつもと違う点や、横山和生騎手がタイトルホルダーの身体をほぐしている姿を見て普段との違いを指摘しました。
その予感はレースでタイトルホルダーが故障するという形で見事あてはまったのです。
いくら過去に結果を残した馬でもいつもと違う状態だったら勝ち切れないことはよくあります。
状態を見抜くには相馬眼が優れていないと分かりませんし、新聞や血統予想では絶対に判断できません。
安藤勝己さんは元騎手なので職業柄相馬眼が養われていたのでしょう。
相馬眼を身に付けていると最新の馬の状態を判断でき、競馬予想にも活かせられるのです。
ポテンシャルの高い馬を見抜くことができる
強い馬や弱い馬を判断するには、過去の戦績を見るのが手っ取り早いです。
競馬新聞には細かな字でタイムや上がり、着順などがびっしり掲載されており、それを分析するのが競馬予想の基本なのです。
しかしながら、新馬戦や戦績が少ない未勝利戦では、過去の蓄積データがほとんど無いので戦績は役立ちません。
そのようなレースでどのようにして勝ち馬を探すかというと、相馬眼を活かして予想する人が多いです。
新馬戦は騎手や血統で予想する人もいますが、調教やパドックの動きを見ながら馬券を考える人が多いです。
なぜなら、戦績がないため予想する手段が限られるからです。
新馬戦に関してはJRAも調教VTRを積極的に公開しているように、多くの人が予想しやすい環境を整えています。
そして、新馬戦は出走馬間の強弱の差が大きいため、馬体や動きだけでも強い馬や弱い馬を見抜きやすいです。
新馬戦や未勝利戦はある意味相馬眼がもっとも活かしやすいレースといえるでしょう。
余談ですが、マイネル軍団の総帥ともいわれた岡田重幸さんや社台ファームの創設者である吉田善哉さんも相馬眼に優れた人物として有名です。
岡田重幸さんは血統背景の乏しい馬の中から強い馬を探し出して、多くのレースで結果を残しました。
吉田善哉さんは1990年ごろ、渡米先でダート馬のサンデーサイレンスの素質を見抜き、種牡馬として日本に輸入したところ、産駒が瞬く間に活躍し、生産界に革命を起こしたのです。
相馬眼に長けた2人の影響は今日の競馬界繁栄にもつながっているのです。
競走馬の適性が分かる
相馬眼を身に付けていると馬の適性が分かるようになります。
馬の適性の一種に距離適性という用語があります。
一般的には脚が短くて筋肉質だと短距離に強く、脚が長くてスラリとした馬体だと長距離向きといわれています。
人間でも短距離選手は筋肉量が多く、長距離マラソンの選手は細長い人が多いです。
また、競馬には芝とダートが存在しますが、この2つの適性は脚元で判断できます。
例えば、芝コースはスピードが求められるので蹄が薄くて繋ぎが寝ているほうが地面を蹴り上げる際に推進力が得られ、出し切れます。
それに対してダートコースは砂に脚が埋まるため、脚抜きが重要です。
そのため繋ぎや蹄が立っている馬のほうがスムーズに走ることができます。
身体の造りで距離や舞台適性が分かるのは相馬眼があってこそなのです。
相馬眼を鍛えるうえで欠かせない競走馬の馬体の見方5選
相馬眼は競走馬の素質や調子を判断できるので予想で大活躍しますが、一朝一夕で身に付けられるものではありません。
そもそも相馬眼を身に付ける以前に馬体の特徴を把握していないとパドックや返し馬を見る目は養えないのです。
ここからは、競走馬の身体のなかでも特にレースにおいて重要なポイントを5つ紹介します。
毛艶
競走馬の毛艶は一見能力と関係ないように感じますが、実は重要です。
なぜなら毛艶は人間でいうと肌つやに当たる部分で体調を表しているからです。
つやがいい馬はなめらかで光沢を浴びているように見えますし、逆に毛並みがふぞろいでボサボサしていたら毛艶が悪いです。
もちろん、毛並みがそろって艶やかな状態のほうがコンディションはよいのです。
なお、冬時期になると体毛が伸びる馬がいますが、これは寒さに備えて皮下脂肪を蓄えています。
レースに向けた馬体とは言い難いので、冬時期に体毛が伸びている馬は評価を下げてもよいです。
歩様
パドックにおける歩様も重要です。
基本的には四肢がリズム良く滑らかに動いている状態は好調です。
また、前脚が長く地面にある状態も前脚と後ろ脚が交差する形となり、身体の柔軟さを表しています。
競走馬によっては前の馬に追いつく馬がたまにいますが、このような馬は元気があるので体調がいいと判断できます。
ただし、前を歩く馬が体調が悪ければ、自然と追いついてしまうので、競走馬の間隔が近くなった際は前後の馬の動きも観察しましょう。
踏み込み
パドックや返し馬では踏み込みにも目を配りたいです。
踏み込みがいい馬は馬場を蹴り上げる力があるため、レースでもスピードを活かせます。
また、トモの返しがいい馬も足腰の強さや関節の柔らかさを備えているので状態はいいです。
逆に、踏み込みが甘い馬はコズミの可能性があります。
コズミとは、人間でいう筋肉痛の事で歩くのが痛いので歩様がぎくしゃくします。
コズミがあると全力を発揮しづらくなるため評価を下げたいです。
体型
パドックや返し馬では競走馬の体型にも注目しましょう。
理想的な体型は馬体重以上に大きく見えることです。
状態のいい馬は踏み込みや動きがよく、気合も乗っているので大きく見えがちです。
このような馬はレースに対するやる気が十分備わっているため好走にも期待できます。
また、無駄なぜい肉をそぎ落とし、必要最低限の筋肉だけを残した体型の馬も評価でき、このような馬をギリギリの仕上げと呼びます。
下手したら今後も競走馬人生にもかかわるため、主に引退レースの馬を対象に仕上げられます。
逆に、ぜい肉が付いた太目の状態は仕上がりが甘く、レースに向けた体型ではありません。
また、背中が2分に割れている馬も余分な肉がついている状態なので本調子とはいえないです。
気性と表情
競走馬は生き物なので見た目や表情から気合いを判断することができます。
例えば後ろ脚を蹴り上げたり首の上げ下げが激しい馬はレースに向けて集中できていません。
基本的には評価を下げたいところですが、オルフェーヴルやゴールドシップのように気性が激しくても走る馬もいるのでそれが個性か判断するのも重要です。
また、表情も重要です。
涼しい目つきをしている馬は落ち着いている上、レースに向けて集中している証拠です。評価をあげたいです。
しかしながら、競走馬の中には充血している馬や白目をむいている馬も少なからず存在し、冷静さを欠いている場合もあります。
このような馬がいたら評価を下げてもよいでしょう。
相馬眼を鍛えるコツ5選
パドックや返し馬で競走馬を見るポイントを紹介したところで、最後に相馬眼を身に付けるコツを5つ紹介します。
これらはいずれも地味なものばかりです。
相馬眼を鍛えるのは非常に大変ですし、人によっては何年努力しても身に付かない人もいます。
しかしながら、相馬眼にはそれ相応の価値があるので、本気で身に付けたい人はぜひこれから紹介する5つのコツを実践してみてください。
競走馬の馬体の部位を理解する
相馬眼を養うには、競走馬の部位を理解することが大事です。
すべて理解するのは骨が折れるので、最低限覚えておきたい部位だけを表にまとめました。
名称 | 意味 |
前躯(ぜんく) | 頭から前脚にかけての総称 |
後躯(こうく) | 後ろ脚から尾にかけての総称 |
トモ | 腰から後ろ脚の部分。太さなどで筋肉量を判断できる |
毛艶 | 競走馬の毛。体調が分かる |
前脚 | 前2本の脚。太さや長さでパワーや適性が分かる |
耳 | 耳の動きで感情が分かる |
目 | 目の色や向きで集中力が分かる |
首 | 気合の乗り具合が分かる |
尾 | 尻尾。歩様の力強さが分かる |
パドックや返し馬で動きを学ぶ
相馬眼を鍛えるにはパドックや返し馬を何度も見ることが大事です。
レースで活躍する競走馬には必ず好走要因があります。
パドックや返し馬を見続けると好走する条件を見抜くことができます。
もちろん、毎週競馬場に足を運ぶのは大変なのでレース映像などを通して学んでも構いません。
すべての競走馬にそれぞれベストな動きがあるため一概には言えませんが、相馬眼を養うには競走馬が好走するためのクセを見抜けることも大事です。
同じ競走馬の過去の画像を見比べる
同じ競走馬でも年を重ねることで馬体に変化があります。
過去の写真と現在の馬体を照らして予想することを「フォトパドック」といいます。
過去に結果を残した時の姿と、現在の姿が瓜二つであれば、その時見せたパフォーマンスを発揮できるでしょう。
しかし、過去の姿とはまるで違うようでしたら、凡走する可能性もあります。
競走馬は成長するので多少の変化はあると思いますが、現在と過去の馬体を比較しながら状態を見るのも相馬眼を鍛えるうえで大切です。
たくさんの競走馬を見る
相馬眼を鍛えるにはたくさんの競走馬をみましょう。
すべての競走馬は走りが統一されていませんが、ある程度好走する馬には特徴があります。
逆に、走らない時や体調がすぐれない時も身体に特徴が反映されます。例えば発汗していたり、走りがどこかぎこちなかったりするときは全力を発揮できない可能性が高いです。
これらの状態を見抜くにはとにかく1頭でも多くの競走馬を見ることが大切です。
たくさん見ることでなんとなく馬の傾向が分かるようになるので、時間に余裕があれば現地でもテレビ中継でもいいので馬を見るクセをつけましょう。
出馬表を見ずに予想する
パドックや返し馬、調教映像など動きのいい馬は必ず存在します。
出走馬の中で状態がよさそうな馬を1頭選択し、その馬が実際レースでどのような結果を残したか確認しましょう。
もしもその馬が上位争いに加わるようでしたら相馬眼が身に付き始めている証拠です。
しかも、全く人気のない馬が馬券に絡んだら相馬眼がかなり鍛えられています。
レース結果はあなたの相馬眼がどれだけ鍛えられるか判断できるので、最後までチェックしましょう。
まとめ
相馬眼はレース予想で大変活躍しますが、簡単に身に付くものではありません。
長い時間鍛えることではじめて養われます。
地道な努力が必要ですが、身に付けたら予想で大いに活かすことができるので、興味のある方はぜひ当記事を参考に、相馬眼を身に付けるトレーニングを行ってみてください。