地方競馬場のランキングトップ5を発表!レベル差はどのくらいなのかを解説
JRAの競馬場は全国に10箇所ありますが、地方競馬の競馬場はそれよりも多く15箇所あります。
またJRAは日本中央競馬会が一括して主催しているのに対し、地方競馬は各都道府県や市が管理しているのが特徴です。
そのためスタンドも各競馬場でまちまちですし、騎手は基本的には所属競馬場での騎乗となります。
そうするとどうしても競馬場によって格差が生まれてきますね。
競走馬のレベルやスタンドの良し悪しなど、競馬場によってかなり違いがあります。
そこでこの記事では、地方競馬場のランキングトップ5を発表します。
また競馬場によってどのくらいのレベル差があるのかも紹介します。
地方競馬場のランキングを決める要素
(引用元:KEIBA.GO.JP)
地方競馬場のランキングを決める要素について紹介します。
まずは全国にある地方競馬場15箇所の、競馬場名と主催都道府県・市を一覧にしました。
競馬場名 | 市区町村・郡 |
帯広競馬場 | 北海道帯広市 |
門別競馬場 | 北海道沙流郡 |
盛岡競馬場 | 岩手県盛岡市 |
水沢競馬場 | 岩手県奥州市 |
浦和競馬場 | 埼玉県さいたま市 |
船橋競馬場 | 千葉県船橋市 |
大井競馬場 | 東京都品川区 |
川崎競馬場 | 神奈川県川崎市 |
金沢競馬場 | 石川県金沢市 |
笠松競馬場 | 岐阜県羽島郡 |
名古屋競馬場 | 愛知県弥富市 |
園田競馬場 | 兵庫県尼崎市 |
姫路競馬場 | 兵庫県姫路市 |
高知競馬場 | 高知県高知市 |
佐賀競馬場 | 佐賀県鳥栖市 |
地方競馬場は各地方の特色を活かした運営がされているので、順位付けするのは難しいことと考えます。
それでもランキング化するために、5個の項目を用意しました。
そして5項目それぞれで順位付けした後、最終的に総合トップ5を決定します。
項目別ランキング
地方競馬場のランキングを決めるのに、重要と考えられる5項目は以下の通りです。
- 2022年度売上高
- グレード競走
- 所属騎手獲得賞金
- グルメ
- YouTube登録者数
1番目は売上高が最も重要な指標になると思い、各競馬場の2022年度の売上を比較します。
入場者数も大事かと思いましたが、近年は新型コロナによる入場制限もあったため売上高に絞りました。
2番目はグレード競走の数や格により、重要度の高いレースをしている競馬場を見ていきます。
3番目の所属騎手獲得賞金は、賞金が高い騎手が多いということはそれだけ騎手の質も高いと考えて選びました。
4番目のグルメは、競馬場の楽しみの一つは食べ物でもあるので、あえてこれを選んでみました。
5番目のYouTube登録者数は、各競馬場の広報がどれだけ力を入れているかと注目度を見る指標とします。
それではそれぞれの項目別のランキングを見ていきます。
2022年度売上高
売上高こそ地方競馬場の優劣を決める最も大事な指標ですね。
2022年度の売上高第1位は、大井競馬場でした。
2022年度の地方競馬場別売上高トップ5は以下の通りです。
順位 | 競馬場名 | 売上高 |
1 | 大井競馬場 | 1954億5723万6170円 |
2 | 川崎競馬場 | 1063億2790万5000円 |
3 | 園田競馬場 | 1012億7065万4500円 |
4 | 船橋競馬場 | 947億3960万7600円 |
5 | 高知競馬場 | 946億806万1600円 |
第1位の大井競馬場は、第2位の川崎競馬場に倍近い差をつけての圧勝でした。
大井競馬場も川崎競馬場も、同じ南関東競馬なのにこれほど差があるとは驚きですね。
また比較的人口の多いところにある園田競馬場と船橋競馬場が、第3位・第4位というのは納得できます。
しかし第5位に高知競馬場が入ったのは、失礼ながら意外な結果でした。
高知競馬場の大健闘は、コロナ禍でのインターネット投票が伸びたことが要因と考えられます。
コロナは世の中に大きなダメージを与えましたが、地方競馬場の売上には貢献したようです。
自宅に居ながら、遠い高知の競馬を楽しめるのは嬉しいですね。
グレード競走
グレード競走とは、JRAと地方競馬の交流競走の中でも「G」・「Jpn」と格付けされたものを言います。
「G」は国際競走、「Jpn」は日本調教馬限定競走になります。
それらのレースが多い競馬場は、競走馬の質が高くおもしろいレースが期待できますね。
グレード競走部門の第1位は、大井競馬場です。
グレード競走部門のトップ5は以下のようになっています。
順位 | 競馬場名 | レース数 | 主なレース |
1 | 大井競馬場 | 9 | 帝王賞(JpnⅠ)・東京大賞典(GⅠ) |
2 | 川崎競馬場 | 6 | 川崎記念(JpnⅠ) |
3 | 船橋競馬場 | 5 | かしわ記念(JpnⅠ) |
4 | 門別競馬場 | 4 | ブリ―ダーズゴールドカップ(JpnⅢ) |
5 | 盛岡競馬場 | 2 | マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ) |
大井競馬場はグレード競走が多く、しかもその内の2つはビックレースです。
帝王賞の売上は約44億円、東京大賞典が約62億円と2レースのみで100億円を超えます。
大井競馬場に続き川崎競馬場・船橋競馬場が第2位第3位ということから、グレード競走は南関東競馬に集中しているのが分かります。
一方第4位の門別競馬場は2歳戦が活発で、門別をステップとして他場に移り活躍する馬が多くいます。
またグレード競走数が3の競馬場がいくつかありますが、レースの格を重視してマイルチャンピオンシップ南部杯がある盛岡競馬場を第5位としました。
所属騎手獲得賞金
この項目は、2022年度の獲得賞金による全国騎手ランキングを使用し、上位にいる騎手が多い競馬場の順位となっています。
所属騎手獲得賞金部門の第1位は、大井競馬場です。
トップ5を一覧にしました。
順位 | 競馬場名 | 主な所属騎手(獲得賞金ランキング順位) |
1 | 大井競馬場 | 矢野貴之(1位)・笹川翼(3位)・和田譲治(4位) |
2 | 船橋競馬場 | 森泰斗(2位)・本田正重(5位) |
3 | 園田・姫路競馬場 | 吉村智洋(7位)・田中学(9位) |
4 | 川崎競馬場 | 町田直希(11位) |
5 | 名古屋競馬場 | 岡部誠(16位) |
園田競馬場と姫路競馬場の騎手は所属が兵庫県で一緒なので、両方の競馬場を表記しました。
大井競馬場と船橋競馬場が上位なのはわかりますが、川崎競馬場所属騎手のトップが全体11位の町田直希騎手というのが意外でした。
グルメ
地方競馬場の食べ物は屋台のようなものが多く、B級グルメとして親しまれています。
ここでは、インターネット検索サイトで上位に表示される競馬場をトップ5とします。
地方競馬場グルメ部門の第1位は川崎競馬場です。
トップ5は以下のようになっています。
順位 | 競馬場名 | 主なグルメ |
1 | 川崎競馬場 | 手作りコロッケ・激辛焼きそば・みよしタンメン |
2 | 園田競馬場 | 明石屋のたこ天・牛すじ焼きそば |
3 | 盛岡競馬場 | ジャンボ焼き鳥・イワナの炭火焼 |
4 | 大井競馬場 | ロティサリーチキン・もつ焼き |
5 | 金沢競馬場 | 金澤玉寿司・不二家大食堂 |
川崎競馬場は正にB級グルメの宝庫です。
手作りコロッケは俵型をしていて、どんどん売れるため、いつも揚げたてで美味しいです。
激辛焼きそばはクセになる味で、辛すぎて次は買わないと思ってもまた買ってしまいます。
また大井競馬場は新旧のお店があって、見ているだけで楽しめます。
それにしても金沢競馬場に寿司があるのはすごいですね。
金沢は日本海の新鮮な魚の本場だけあって、どのネタも美味しそうです。
Youtube登録者数
各競馬場の公式YouTubeチャンネルの登録者数をランキングにします。
これにより、各競馬場の広報の力の入れ具合や人気度が分かりますね。
公式YouTube登録者数第1位は、大井競馬場です。
トップ5は以下のようになっています。
順位 | 競馬場名 | 登録者数 |
1 | 大井競馬場 | 7.55万人 |
2 | 川崎競馬場 | 3.93万人 |
3 | 高知競馬場 | 3.44万人 |
4 | 佐賀競馬場 | 2.05万人 |
5 | 船橋競馬場 | 2.01万人 |
ここでも第3位にランクした高知競馬場の健闘が光ります。
また佐賀競馬場の第4位も頑張っていることが分かります。
両競馬場ともネット配信に力を入れ、ネット投票で馬券の売上を伸ばしているようです。
地方競馬は平日開催が多いですが、土日でも積極的に開催しているのも好感が持てます。
一生懸命に活動している両競馬場は、競馬ファンとして応援したくなりますね。
ファンファーレ
スターターが旗を振り場内にファンファーレが鳴り響くと、競馬場は一気に盛り上がります。
レースを盛り上げるためにも、競馬場のファンファーレはとても重要です。
大井競馬場のファンファーレ隊「東京トゥインクルファンファーレ」は、メインレースなどでファンファーレの生演奏を行っています。
女性だけで構成されたファンファーレ隊は、公式サイトもあるほどの人気です。
また全国の地方競馬場へもキャラバンしていて、人気は全国区になってきています。
レースを盛り上げてくれる彼女たちに感謝を込めて、大井競馬場に1ポイント加点したいと思います。
地方競馬場総合トップ5
各項目の順位が出そろったところで、地方競馬場総合トップ5を発表します。
1位はほぼあの競馬場だと思いますが、それ以外の順位はどうなっているのでしょうか。
第5位から発表します。
第5位 高知競馬場
(引用元:LVR レディスヴィクトリーラウンド 2020特設サイト)
第5位は大健闘の高知競馬場です。
温暖な気候を利用し「通年ナイター・夜さ恋(よさこい)ナイター」を実施中です。
土日も積極的に開催していることもあり、昼にJRAを楽しんだ後にインターネットで高知競馬の馬券を買う人が多い印象です。
売上も確実に伸ばしているので、今後もますます期待したいですね。
第4位 園田競馬場
(引用元:園田競馬場)
第4位は関西のオアシス、園田競馬場です。
売上が第3位ということからも、大都市圏の強みを発揮しています。
所属騎手獲得賞金部門では第3位でしたが、賞金額全国7位の吉村智洋騎手は勝鞍数では349勝と第1位です。
「園田の宝」とも言われている吉村騎手ですが、このように絶大の信頼がおける騎手がいるのも地方競馬の魅力ですね。
第3位 船橋競馬場
(引用元:YOUTUBE)
第3位は森泰斗騎手が所属する船橋競馬場です。
兵庫競馬に吉村智洋騎手がいるように、南関東には森泰斗騎手がいます。
森騎手は逃げて良し追って良し、変幻自在の手綱さばきでいつの間にか勝っているという感じです。
またグルメ部門では惜しくもランク外でしたが、船橋競馬場の名物あんかけ焼きそばは一度は食べて欲しい一品です。
第2位 川崎競馬場
(引用元:KEIBA.GO.JP)
第2位はグルメ部門でトップになった川崎競馬場です。
川崎競馬場の良いところは、パドック周辺にグルメが点在しているところです。
それはまるで村祭りに来たような賑わいで、懐かしさを感じます。
それでいて競走馬の質が高いので、迫力あるレースが楽しめるアンバランスさが魅力です。
また川崎競馬場は、競馬を知らない人でもB級グルメ目当てに来場する人がいるくらいです。
川崎競馬場に行く際は、お腹をすかせて出掛けてくださいね。
第1位 大井競馬場
第1位は文句なしの大井競馬場です。
グルメ以外の全ての部門で1位、それも2位以下を圧倒しての1位なのだからすごいです。
大井競馬場に行くと、楽しんでもらおうという主催者側の思いが伝わってきます。
適度にゆるい感じも、JRAにはない良さではないでしょうか。
右外周りコースの直線距離は、地方競馬場では最長の386mあります。
そのためJRAの東京競馬場のように、差し・追い込みが決まるところも魅力です。
4コーナーを回ってからの迫力ある叩き合いは、ぜひ間近で見て欲しいです。
競馬場でレベル差はどのくらいなのか
地方競馬場のレベル差はどのくらいあるのかを解説します。
前述の地方競馬場ランキングでは、南関東の各競馬場が上位でした。
では南関東と佐賀競馬場ではどれだけ違うのかを見ていきます。
あらかじめお断りしておきますが、佐賀競馬場が良くないと言っているわけではありません。
佐賀競馬場はインターネット投票による馬券の売上は伸びていますし、パドック解説など趣向を凝らした演出もしていて人気があります。
ここでは「競走馬の質」に焦点をあてて紹介します。
南関東が高いレベル
競馬はどんな馬同士が走っても順位が決まりますが、どうせなら迫力あるおもしろいレースが見たいですよね。
南関東競馬(浦和・船橋・大井・川崎)は、質の高い馬に質の高い騎手が騎乗するのでレベルが高いです。
それはダートグレード競走が多いことからも分かります。
またグレード競走に出走するような馬だけでなく、下のクラスにいる馬も全国的に見れば力があると言えます。
そのため南関東で勝てない馬を他の地方競馬場に送り、勝ち癖をつけてから戻すこともあるほどです。
南関東馬が佐賀競馬に行くと?
南関東で勝てない馬が佐賀競馬場に行くとどうなるかを、実際の例を挙げて紹介します。
オーソーラヴリーという7歳の牝馬が、南関東から佐賀競馬場に行きました。
オーソーラヴリーはこれまで32戦4勝、南関東のC3クラスでした。
C3クラスは南関東の格付けで最も低いクラスになります。
そしてオーソーラヴリーは2023年7月5日の佐賀競馬第5R、チャンレンジシリーズC2-7組に出走します。
南関東でしばらく勝っていなかったにもかかわらず、オーソーラヴリーは単勝1.8倍の1番人気に支持されます。
結果は2番手から3角先頭で押し切るという、全く危なげない勝ち方でした。
佐賀競馬場では、このようなことが多く見られます。
佐賀競馬ファンはそれを知っているからこそ、全く知らない馬でも1番人気になるのだと思います。
このように競走馬の質においては、地方競馬場ではかなりの差があると言っていいですね。
まとめ
この記事では地方競馬場のランキングについて解説してきました。
この記事をまとめると次のようになります。
・5項目は売上高・グレード競走・騎手獲得賞金・グルメ・Youtube登録者数
・グルメ部門以外の4項目で大井競馬場が1位
・高知競馬場がインターネット投票の上昇により総合第5位
・川崎競馬場はグルメ部門第1位で総合第2位
・総合第1位は文句なしで大井競馬場
・地方競馬場によって競走馬の質が違う
・南関東で勝てない馬は他場に行って勝ち癖をつける
地方競馬場ランキング総合第1位は大井競馬場でしたが、同競馬場は各種イベントにも力を入れています。
イベントをやるにもお金が掛かりますが、多くの売上があればそれも可能です。
そしてイベントをやれば多くの来場者が見込まれ、また売上が上がっていきます。
このように今の大井競馬場は、より良くなっていくためのサイクルがあるように感じます。
地方競馬場全体では、2022年度の売上が初めて1兆円を超えて好調です。
これを元にして、私たち競馬ファンをより楽しませてくれると嬉しいですね。