競馬における不注意騎乗とは?概要と過去の事例を徹底解説!

競馬における不注意騎乗とは?概要と過去の事例を徹底解説!

競馬はスポーツであると同時に、国に公式に認められたギャンブルである公営競技でもあります。
ギャンブルであるが故に、不正やアンフェアな事に関しては一般的なスポーツとは比べものにならないほど厳しいルールが設けられています。

たとえ故意でなかったとしても、ルールに違反するような行動や言動が認められた場合は騎手は罰則を受けなければなりません。
本記事では違反行為のひとつである不注意騎乗について、詳しく解説していきます。

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不注意騎乗とはどのような騎乗を指す?

不注意騎乗(引用元:JRA-VAN World)

不注意騎乗を直訳すると、注意力散漫な状態で騎乗するという意味合いになりますが、恐らく集中していない状態で競走馬に騎乗している騎手は1人も居ないのではないでしょうか。

集中していない状態で騎乗していては走っている競走馬に的確な指示や命令を出せるわけがありません。
競走馬が制御できていない中で騎乗するというのはとても危険な状況です。

周りの競走馬を巻き込んでしまう恐れがありますし、何より自分自身が落馬してしまいます。
打撲や骨折程度で済むならばまだ良いですが、レース中の落馬は死亡事故も発生するほど危険なアクシデントなのです。

不注意騎乗は、レース中の斜行や進路妨害など、周りの馬が健全な走りをできなくなるような事態が発生した時に適用される反則で、競馬の反則行為の中では比較的発生頻度が高い反則です。

不注意騎乗となった場合騎手はどんな罰則を受ける?

不注意騎乗となった場合騎手はどんな罰則を受ける?

不注意騎乗を言い渡された騎手は、どの程度レースを妨害してしまったかにもよりますが、一定期間騎乗停止が言い渡されます。
競走馬に騎乗できなければ騎手はお金を稼ぐことができないので、かなり厳しい罰則であるといえるでしょう。

とはいえ、競艇の場合、コンマ1秒でもフライングをしてしまうと少なくとも30日間レースに出られなくなってしまいます。
それと比較すれば反則の種類は違えどまだ罰則としては軽いです。

実はほかの公営競技と比較すると騎手の罰則処分が軽いというのはたびたび問題視されています。
2023年、競馬界に起きた大きな不祥事として有名なのが、今村聖奈騎手はじめ6名の若手騎手が競馬場にスマホを持ち込んで使用した件が記憶に新しいですが、この時の処分はたった1か月の騎乗停止だったため、ファンだけではなく現役の競輪選手からも処分が甘すぎると反論が出ていました。

ちなみに競輪、競艇でもスマホの持ち込みが過去に発覚していますが、その際は1年間の出場停止となっています。
確かにこの処分と比べるとたった1か月間というのは軽すぎると言わざるを得ません。

騎乗停止以外の処分について

騎乗停止以外の処分について

定められたルールを破ってしまった場合、騎手に言い渡される罰則は騎乗停止だけではありません。
騎乗停止と判断されるほど重い罰則ではなかった場合は別の処分が下されますし、悪質な罰則だったり、短期間で罰則を繰り返してしまうような騎手に対しては追加の罰則が科せられることもあります。

罰金

騎乗停止とは見なされないくらいのレベルの違反行為を犯した騎手に対してよく下される罰則のひとつが罰金です。

罰金の範囲は1万円から10万円となっていて、例えば2023年度よりムチの使用回数に制限が課せられたのですが、その性毛の破ってしまった場合や、馬具が外れてしまっていた場合などに罰金が科せられていました。

戒告

戒告は罰金よりもさらに軽い処罰で詳細は不明ですが、その騎手が犯してしまった罰則に対しての説明と、今後の注意喚起が行われるのだろうと思われます。

再教育

罰則に関しては運転免許証のように点数が設けられていて、例えば戒告は1点、不注意騎乗は10点プラス騎乗停止日数1日ごとに2点が加算されます。
そして、累積点数が30点を超えると、騎手には再教育の罰則が科せられます。

再教育ではこれまた運転免許証と同様に施行規定に関する学科を受講し、ビデオを見ながら採決委員から講習を受け、反省文を書かなければなりません。

更に年間数回再教育を受けることになったり、2年連続再教育を受けなければならなくなった場合は、上記講習に加えて競馬学校に通い、厩舎作業をすることとなります。

直近で不注意騎乗と見なされる事例を紹介

直近で不注意騎乗と見なされる事例を紹介

直近で不注意騎乗とみなされるような事例にはどのようなものがあるのか、本項目では5つのケースについて詳しく紹介していきます。

2023年7月8日

福島競馬場第11レース、「阿武隈ステークス」で発生した騎乗停止案件です。
最後の直線で、丸山元気騎手が騎乗していたモリノカンナチャンがコースを斜行したことにより、複数の馬の進路を妨害したため、丸山騎手には7月22日から7月30日まで実効4日間の騎乗停止となりました。

4コーナーを回ったところで外に吹っ飛んだ影響で10番アールクインダムが大きく外側に走らざるを得なくなり、さらに近くを走っていた11番、7番の馬も巻き込まれる形で外を回らされることとなったため、騎乗停止の処分が下されています。

外に吹っ飛んだのはほかの馬に飛ばされたとかではなく、モリノカンナチャン単体の動きによるものなので、騎乗停止処分は仕方ないというのが映像を見たときに感じた印象です。

2023年4月23日

京都競馬場11レース、「マイラーズカップ」で発生した騎乗停止案件です。
直線部分で藤井学騎手が騎乗していたシャイニーロックがヨレて11番のピアーズドニッシドを外側に追いやってしまい、その外側を走っていた12番キングエルメスの走路を妨害してしまったため、5月6日、7日の2日間の騎乗停止となりました。

ビデオを見る限りではさきほどの7月8日の事例を比べると被害はそこまで大きくないという印象ですが、シャイニーロック自身が違反行為を繰り返してしまっている事、騎手が適切な行動をしていなかったことが騎乗停止と判断された要因と思われます。

2023年3月26日

中山競馬場第6レースで発生した騎乗停止案件です。
石田拓郎騎手騎乗のサルフトビッチが4コーナーを回ったあたりで外の進路を確認して外に走り、2番カイザービリッツの進路を潰してしまいます。

外に追いやった影響でさらに4頭の馬が進路を妨害されるというかなりの被害となってしまいました。
始めに外へ動くのは問題ありませんが、そこからさらに外に走るのはやはり他の馬がどこを走っているのかを確認できていなかったといわざるを得ないというのがレース動画を見た際の印象です。
この処分は妥当だといえるでしょう。

2023年1月22日

中山競馬場第12レースで発生した騎乗停止案件です。
永野猛蔵騎手騎乗のスリートップキズナが4コーナーでほとんどスペースがないにもかかわらず前の馬を追い抜こうとし、追い抜いた際に前の馬と接触した影響でさらに4頭の馬が接触し合うという状況になってしまいました。

この不注意騎乗により、永野騎手は2月4日、5日の2日間騎乗停止となっています。
ビデオを見た感想としては、スペースが無いうえに先頭争いをしていたという事もあり、ほとんどスペースがなかったとしても前に行くにはそのまま直進するしかなく、この接触は致し方ないという印象です。

この騎乗停止についてはちょっと厳しすぎるのではないだろうかと思いましたが、複数の競走馬が被害を受けていることによる処分なのでしょう。

2023年年1月15日

中京第10レース、「紅梅ステークス」で発生した騎乗停止案件です。
D.イーガン騎手が騎乗していたダルエルサラームが残り200mあたりでどんどん外側を斜行していき、8番パルクリチュードの進路を完全に妨害したことにより、1月28日から2月5日までの実質4日間騎乗停止となりました。

ビデオを見ての感想ですが、この斜行はかなり悪質で、騎手は斜行していてもお構いなしにムチを入れており、斜行を修正しようという意識はまったく見られません。
この不注意騎乗は誰が見ても納得の処分だといえるでしょう。

海外へ遠征したレースでの不注意騎乗

海外へ遠征したレースでの不注意騎乗

不注意騎乗は日本の競馬のみに適用される罰則というわけではありません。
競馬はヨーロッパや香港、ドバイなど世界中で開催されていますが、海外の競馬でも同じように不注意騎乗の罰則は設けられています。

近年は海外で日本の競走馬が優勝したり好走したといったニュースを頻繁に聞く機会が増えましたが、日本人騎手が海外のレースで不注意騎乗を言い渡されてしまった事例も幾つかあります。
ここでは海外へ遠征したレースで不注意騎乗を言い渡された2件の事例を紹介しましょう。

あの武豊騎手も不注意騎乗に

武豊騎手は日本競馬界において最も有名な騎手であり、いけるレジェンド騎手ですが、それと同時に世界的にも非常に騎乗フォームが美しい騎手として知られています。
そんな武豊騎手であっても、不注意騎乗を言い渡されてしまう事例がありました。

2018年12月5日、香港のハッピーバレー競馬場で開催されたレースで武豊騎手が騎乗していた馬が斜行し、直後を走っていた馬の進路を妨害したと判断されたため、香港ジョッキークラブから不注意騎乗に該当すると言い渡され、騎乗停止となりました。

動画が確認できなかったためこの進路妨害については判断ができないのですが、レースの展開によってはあえて不注意騎乗を犯さなければ前に出ることができないといった状況も多々あるので、もしかすると不注意騎乗もやむなしと判断しての行動だったのかもしれません。

松岡正海騎手の不注意騎乗

もうひとつ、2019年に同じく香港で発生した不注意騎乗案件について紹介しましょう。
不注意騎乗を言い渡されたのは松岡正海騎手です。
2019年12月8日、この日はシャンティン競馬場で香港のG1レースである「香港カップ」が開催されました。

松岡騎手は主戦騎手を担当していたウインブライトとともに出走、ウインブライトは大外枠からのスタートでしたが、松岡騎手の巧みな手綱さばきで先頭争いに加わります。そして最後の直線で先頭に立つと、後ろから猛追してきたマジックワンドをハナ差でしのぎ切り、なんと優勝したのです。

ところがレース後、香港の裁定委員会からウインブライトが直線を走る際に斜行し、後ろの馬の進路をふさいだ件で審議となります。

場合によっては降着処分になることもあるので、この時点ではかなり緊張が走りましたが、幸いにも降着の判断はされず、これによりウインブライトの優勝が正式に認められることとなりました。

しかし松岡騎手の不注意騎乗という判断が覆されることはなく、12月18日から29日までを騎乗停止とする判断が下されました。

香港競馬は不注意騎乗にとても厳しい

香港競馬は不注意騎乗にとても厳しい

香港競馬は特に不注意騎乗に対して厳しいらしく、武豊騎手の件も松岡騎手の件も両方とも香港で開催されたレースであることからも分かるのではないでしょうか。

明らかに悪質とみなされる斜行は許されるべきではありませんが、状況によっては斜行せざるを得ない場合もあります。
それらを踏まえると、審査する側も難しい判断が迫られる事例も多々あるのではないでしょうか。

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まとめ

ここまで不注意騎乗について解説しました。
不注意騎乗という単語になっていますが、決して騎手は全く注意せずに騎乗しているわけではありません。

注意力散漫で競走馬に騎乗していると周囲に迷惑をかけることになりますし、何よりも自分自身がとても危険です。
競馬では落馬事故で騎手が亡くなってしまったケースもあり、片手間で出来るような仕事ではありません。

したがって、不注意騎乗というのは何らかの要因で競走馬が斜行し、ほかの競走馬の進路を妨害するなどレースに悪影響を与える騎乗をした際に言い渡される罰則といえるでしょう。

斜行とみなされた場合、その状況によって数日間騎乗停止という処分が下されます。
ちなみに騎手が受ける罰則は騎乗停止だけではなく、戒告、罰金といった処罰になることもあります。

そして各罰則には点数が設けられており、年間の取得点数が30点を超えると再教育を受けなければなりません。

斜行に関しては騎手の対策不足という面もありますが、勝負どころでどうしようもないというケースも多々あるため、斜行をして不注意騎乗を言い渡された騎手全員が悪質な乗り方をしているという判断はしないほうが良いでしょう。

また、特に香港競馬は不注意騎乗に対する審判が厳しく、日本の競馬ならば罰金や戒告レベルの斜行であっても不注意騎乗とみなされることがあります。