競馬の馬場状態が変わると脚質にどのような影響が出る?
競馬は屋外でおこなわれる競技ということもあって、天候による影響がレース結果を大きく左右します。
風に関しては、「競艇」と比べるとそこまで敏感になるほどの事ではありませんが、馬券を購入するレース当日が晴れなのか雨なのかは、必ず確認しておく必要があります。
競馬は芝またはダートのコースを走るので、雨によって地面の水分が多くなると、レース展開が大きく変わります。
本記事では競馬の馬場状態によって、脚質にどのような影響が出るのかを解説します。
馬場状態は全部で4つ
競馬の出馬表や、中継を見ていると馬場状態が発表されますが、馬場状態は大きく4つに分けられます。
馬券の予想をする際は、最低限4つの馬場状態がそれぞれどのような状況を意味しているかくらいは把握しておきましょう。
良馬場
数値的には水分含有率17パーセント以下を良馬場としていますが、この数値はそこまで気にする必要はないでしょう。
とにかく数日間晴れ続きの状態でレース当日になれば、良馬場状態であると思っておいて間違いありません。
良馬場は競走馬たちの力を100パーセント発揮できる状態ですし、日本では地域の差こそあれど雨よりも晴れの日のほうが多いですから、基本的には良馬場であることを前提に予想を立てることになります。
ただし、本来の力を出せるということは、足にかかる負担も大きくなるので、良馬場の状態が一番走行中の故障が起きやすいです。
稍重
数値的には水分含有率17パーセント以上22パーセント以下となっていますが、これもあまり気にしないほうがよいですし、そもそも馬場を見ただけでは水分含有量などがわかるはずもありません。
良馬場とくらべると少し走りづらくはなりますが、そこまでレースの結果を左右する状態でもありません。
ただしスタミナにあまり自信がない馬が走れるかどうかギリギリの距離のレースに出る場合は、稍重であってもかなり辛くなります。
重馬場
ここまで水分量が多くなると、さすがに走行時に明らかに影響が出てきます。
特に芝コースの場合は普段よりもパワーとスタミナが要求されるので、スピードに頼っている馬は本来の力を発揮できないことが多いです。
とはいえ、現在の芝はかなり水はけが良いので、相当雨が降らなければ重馬場にはなりません。
不良馬場
不良馬場になるとさすがに素人目に見ても明らかに馬場状態が悪いと判断できるほどで、特に水はけがあまり良くないダートコースの場合は「水たまり」が出来てしまいます。
現在の日本の競馬場では不良馬場にまで悪化することは滅多にないのですが、不良馬場になった場合はさすがに予想を大きく変える必要が出てくるでしょう。
競走馬によっては泥や芝が跳ねて自分の顔に当たることを極端に嫌う性格の馬もいて、そういった馬の場合はやる気をなくし、急に失速してしまう可能性も出てきます。
馬場状態の影響はダートのほうが出やすい
馬場状態の影響は、芝コースとダートコースではまったく異なります。
そして、もうひとつダートコースで芝コース以上に考慮しなければならないのが「泥が芝よりも跳ね上がりやすい」ということです。
先ほども少し触れましたが、競走馬のなかには泥を被るのを嫌う性格の馬がいるので、そういった馬はやる気をなくして本来の力を発揮できないですし、気性難の馬は落ち着かなくなって騎手の指示通りに走ってくれなくなる場合もあります。
芝コースとダートコースを比べてみると、ダートコースのほうがより馬場状態による影響が出やすいといえるでしょう。
脚質は全部で5種類
馬場状態による脚質の有利不利を解説する前に、競走馬の脚質について簡単に紹介します。
競走馬の脚質は全部で5種類ですが、必ずしもその脚質通りに走るというわけではありません。
どの位置で走るかは騎手が決めることになるので、レースの状況によっては普段と違う走り方をするときもあります。
あくまでも脚質はその馬がどういった走り方をするのが得意かを表したものであると認識しておいてください。
逃げ
逃げはどの馬よりも先頭に立って走る脚質で、レース自体のペースを大きく左右する存在です。
逃げ馬が激しい争いをすればペースは早くなり、逃げ馬が1頭だけならペースは遅くなります。
周りにほかの馬がいることを嫌う性格の馬や、抑えが効かない性格の馬に適した走り方です。
先行
先行は逃げ馬のすぐ後ろについて様子を伺いながら走り、最終コーナーあたりで先頭に立ってそのままゴールするのが基本戦法です。
ただし、逃げ馬が1頭もいない場合は先行馬のいずれかが逃げ馬の役割を担うことになります。
逃げ馬のペース配分を見ながら自分のペースで走ることができますし、周りをたくさんの馬たちに囲まれて進路を塞がれる心配も少ないなど、先行馬ならではのメリットがたくさんあり、現代の競馬においては先行馬がもっとも有利だといわれています。
差し
差しは中段あるいは中段より少し後方に位置取りながら力を溜め、最終コーナーあたりで徐々に前に進出、最後の直線で前方の馬を爆発的な末脚で一気に抜き去るという戦法をとります。
強い差し馬の勝ち方は見ていて迫力があり、前の馬を一気に抜き去る豪快さも相まって、差し馬が好きだという競馬ファンはとても多いです。
ただし進路を馬群に囲まれてしまうと自慢の末脚が活かせないなど、強い差し馬であってもなかなか安定して勝てないのが難点で、軸にするにはかなり不安が残る脚質といえるでしょう。
追い込み
追い込みは、差しよりもさらに後方からレースを進め、ときには最後方で走ることもあります。
追い込み馬は逃げ馬と同様にほかの馬に囲まれるとペースを乱されるような性格で、なおかつスタートが苦手な馬に適した戦法です。
追い込み馬は最終コーナー手前あたりから徐々に前に進出し、最終コーナーあたりでは中段の位置まで順位を押し上げ、最終直線で末脚を爆発させてほかの馬たちを一気に抜き去ります。
追い込み馬の勝ち方は差し馬よりもさらに豪快で、見ていてとても気持ち良いです。
しかしながら馬群最後方からレースを進めるというのはかなり不利ということもあり、重賞レースでも安定して勝てるような強い追い込み馬というのはそう簡単に出てくるものではありません。
自在
自在は、簡単に言えばどのような位置でも走れることを言います。
レースの展開やほかの馬がどのような走り方をするかによって前のほうで走ることもあれば、後ろのほうに控えることもあります。
自在はどのような状況にも対応できるオールマイティーな脚質ですが、騎手の指示に素直に従う賢い馬でなければこのような走り方はできません。
基本的には前のほうで勝負できる脚質が有利
現代の競馬においては、基本的に前のほうを走ることができる馬のほうが有利です。
後方を走る馬の場合、前のほうの馬が固まって自分が走ろうとするコースが塞がってしまうことがあります。
その場合は外や内に馬を移動させるのですがその分走る距離が伸びますし、前に出るのも遅れるなど、大きく不利になります。
しかし逃げ馬であれば自分が走る場所を塞がれることはないうえに自分のペースで走ることができますし、先行馬の場合は逃げ馬のペースを見つつ走ることができますし、馬群に囲まれてしまうこともあまりないので、先頭に立ちやすいです。
馬場状態が悪くなると脚質にどのような影響を与えるか
馬場状態が悪くなると、脚質にはどのような影響を与えるのでしょうか。
芝の場合、良馬場から稍重、重馬場、不良馬場となっていくにしたがって、走るときにスピードが出づらくなります。
差しや追い込み馬は最終直線での末脚によって前の馬を追い抜いて行くのですが、馬場状態が悪いと自慢の末脚を発揮できません。
したがって、芝コースの場合は馬場状態が悪ければ悪いほど、逃げや先行の馬がさらに有利となります。
ダートコースは真逆で、馬場状態が悪ければ悪いほど足の抜けが良くなって走りやすくなります。
では後方から末脚を炸裂させる差し馬や追い込み馬にとって有利になるのか、というと実はそうではありません。
走りやすくなるのは逃げ馬や先行馬も同じことなので、状況的にはそれほど大きな変化はないのです。
よって、ダートコースであっても馬場状態が悪くなればなるほど逃げ先行馬が良馬場よりも有利となります。
人気馬が差しや追い込みの時は馬場状態で予想を変えたほうがよい
これまでの解説で、馬場状態が悪くなればなるほど差し馬や追い込み馬にとっては不利になる事が分かったと思います。
したがって、人気馬が差し馬や追い込み馬であり、レース当日に雨が降っていて馬場状態があまりよくないときは、予想を変えたほうがよいです。
普段ならば後方から十分追い抜けるような実力差があったとしても、馬場状態が悪いと伸び悩んで届かない場合があります。
本当に強い馬は馬場状態に左右されない
競馬では、数年に1頭くらいの割合でほかの馬とは比べ物にならないくらい高い能力を持った馬が登場します。
そういった馬にとっては馬場状態は走りにあまり関係なく、多少走りづらくなったりするものの、能力でほかの馬をねじ伏せてしまうため、本当に強い馬は馬場状態でその地位が揺らぐというようなことは滅多にありません。
まとめ
競馬には「良馬場」「稍重」「重馬場」「不良馬場」と、4つの馬場状態があります。
馬場状態は芝や砂にどれだけ水分が含まれているかによって決められ、馬場状態は競走馬の走りに大きく影響します。
基本的に芝コースでは馬場状態が悪くなればなるほど走りづらくなり、ダートコースでは馬場状態がわるくなればなるほど逆に走りやすくなると覚えておけばよいでしょう。
競走馬には「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」「自在」と5つの脚質がありますが、馬場状態が悪くなればなるほど差しや追い込みの馬にとっては不利になり、逆に逃げや先行の馬にとっては有利となります。
ただし本当に強い差し馬や追い込み馬は、馬場状態による有利不利などは跳ねのけてしまうほどの能力を持っているのであまり関係ありません。
馬場状態による有利不利は各馬の実力が拮抗しているときに考慮しましょう。