雨の日の競馬は荒れる?その理由と実情を解説
競馬の話をしていると、「雨の日の競馬は荒れる」とよく言われますが、それは本当なのでしょうか。
本記事では雨の日になるとレースが荒れるといわれている理由について解説し、実際はどうなのかを検証していきます。
競馬は屋外でレースが行われる
競馬が行われる競馬場は、観覧するスタンド部分には屋根がついているものの、競走馬がレースをする場所には屋根がついていません。
競馬は屋外でおこなわれる競技なので、天気の影響を直接受けます。
そのため、風が強い日はもちろんのこと、雨が降っていても、雪が降っていても、台風が接近しているなどよほどの事がない限りはスケジュール通りにレースがおこなわれます。
雨が強い日などはコースが滑るので、騎乗している騎手はもちろんのこと、骨折がそのまま死に繋がってしまうこともある競走馬のとっては危険極まりない状況でのレースとなります。
「大雨の日などはレースを中止にしたほうが良いのでは?」という意見も一部ファンや騎手にはあるのですが、現時点では大雨の日でも特に中断することなくレースが開催されているといった状況です。
雨が降ると荒れるとされる理由は馬場状態の変化
雨が降ると何故荒れると言われている最大の理由は「馬場状態の変化」です。
現在日本競馬ではコース一面に芝が敷かれている「芝コース」と砂が一面に敷かれている「ダートコース」でレースが開催されています。
芝コースダートコース共に、雨が降ってコースの水分含有量が増えると条件が大きく変わります。
通常レースの予想をする際は「晴れていること」を条件に展開を予想したり上位に入ってきそうな競走馬を絞り込んだりするのではないでしょうか。
多くの人が晴れている事を前提にレースを予想して馬券を購入するということは、オッズは基本的に晴れているときのレースの実力が反映されています。
しかし雨が降ってコースの条件が変わってしまうと、晴れているときの実力をフルに発揮できない馬たちも当然出てくることでしょう。
そういった馬たちが人気上位に固まってしまっており、人気中位以下の競走馬が上位を独占してしまったら高配当になることは明白です。
芝とダートでは雨が降ったときの変化が異なる
雨が降るとコースの条件が変わることは前項で説明しましたが、実は芝コースとダートコースでは条件の変化が正反対になります。
芝コースで水分含有量が多くなると、スピードがあまり出なくなるので、能力をフルに発揮しようと思えば晴れているときよりもパワーが必要になります。
パワーが沢山必要になるということは、晴れている日よりもスタミナを沢山消費するようになるため、雨の日の芝コースでは晴れているときよりもパワーとスタミナが重要視される傾向にあります。
一方、ダートコースの場合、水分を含むと砂に足を取られることが少なくなります。
そのため芝コースとは違って馬にとっては「走りやすい」コースとなり、走破タイムは速くなりやすいです。
したがって、雨が降った時のダートコースというのはパワーやスタミナよりもスピードに特化している馬が有利になるといえるでしょう。
雨が降ると走りやすくなるというのはイメージしにくいかもしれませんが、砂浜に行ったときに通常の場所と波打ち際の水分を含んだ砂の上とではとちらが走りやすいかを想像すれば理解しやすいのではないでしょうか。
雨粒そのものを嫌う競走馬もいる
競走馬はいうまでもなく「動物」です。
動物なので、私たちと同じように1頭1頭「性格」が異なります。
パドックを歩いている姿を見ていても、おとなしく歩いている馬もいれば、跳ねるようにリズムよく闊歩している馬、あちこちキョロキョロして落ち着かない馬など実に様々で、そういった部分を見比べるのも競馬の楽しみのひとつです。
私たちの中でも雨が好きな人もいれば嫌いな人がいるのと同じように、競走馬の中にも雨が降っていてもあまり気にしない馬もいれば、雨粒が身体に当たるのを嫌がる馬も当然存在します。
雨粒が苦手な馬が雨の日に出走すれば当然、普段通りの力を発揮できないでしょう。
重要なのは雨が降っているかどうかよりも馬場状態
雨が降ったら予想を大幅に変えなければいけない、とよく言われますが、結論から言えば雨が降ったからといって慌てて予想を換える必要はありません。
それよりも重要なのは、いつから降り始めたか、またはいつまでどれくらいの量の雨が降っていたかです。
レース本番に雨が降ったとしても、ゲートに収まってからレースが終わるまではせいぜい10分間なので、その間にコースの状態が大きく変化するようなことはありません。
逆にレースになって晴れたとしても、その直前まで土砂降りだった場合は馬場状態が通常と大きく異なっているので、予想を大幅に変える必要があります。
雨が降っているかどうかではなく、「馬場状態がどうか」を必ず確認するようにしましょう。
馬場状態は大きく分けて4つ
馬場状態は「良」「稍重」「重」「不良」の全部で4種類あり、各レース開催前などに必ず公開されます。
良であれば通常の状態なので馬場状態を加味した予想をする必要はありませんし、稍重であってもそこまで劇的な変化はないので、基本的に予想は良のときと同じで構いません。
しかし「重」以上の馬場状態だった場合はコース条件が大きく変化するので、予想を大きく変える必要が出てきます。
馬場状態が悪くなると逃げや先行馬がより有利となる
とはいえ、実は馬場状態が重や不良になったとしても、大きく予想を変える必要はありません。
芝、ダートともに雨が降ると「差し」「追い込み」には不利な条件となります。
芝コースの場合はスピードが出ないので、後方から猛追するような差しや追い込みといった脚質の馬だと前に届かずにレースが終了してしまう可能性が高いですし、走りやすくなるダートでは前が止まらないので、同じく差しや追い込みの馬が勝つことが難しくなります。
したがって馬場状態が悪い日は逃げ・先行馬の評価を更に上げ、差しや追い込みの馬は普段の評価から若干下げるようにすると予想がしやすいでしょう。
雨の日の競馬は本当に荒れるのかを考えてみる
雨の日は本当に荒れるのかを様々な角度から検証してみました。
必ずしも検証結果にすべてのレースが当てはまるとは限りませんが、少なくとも予想をする際の参考にはなりのではないでしょうか。
強い1番人気馬は雨の影響をそれほど受けない
出走表を見ると、各馬のオッズが公開されています。
真っ先に見るのは1番人気の馬のオッズです。
レースにもよりますが、1番人気の馬のオッズが2倍を切っていることがあります。
オッズ通りの結果にはならないとはいえ、2倍を切っているような人気を集めている1番人気の馬は他の馬と比べてかなり突出した能力の持ち主といえるでしょう。
これだけ他の馬との能力差があると、多少馬場状態が悪くなってもその能力差が埋まるほどの結果にはなりません。
馬場状態が悪かったとしても、圧倒的1番人気の馬は信用して馬券候補に含めるようにしましょう。
2番人気の馬には要注意
1番人気をチェックしたら、次に見るべきは2番人気の馬です。
実は2番人気をどう扱うかで雨の日のレースで勝てるかどうかを大きく左右します。
1番人気が2倍を切る人気で2番人気が2倍台、そして3番人気以下と明らかにオッズの開きがある場合は2番人気の馬もかなり実力ある馬ということになるので、1番人気と同等の扱いをしても大丈夫でしょう。
しかし、2番人気と3番人気とのオッズ差がそれほど無い場合、馬場条件の変化でこの差がひっくり返る可能性は十分あります。
通常ならば2番人気は馬券候補になるのですが、馬場状態が悪くて2番人気と3番人気のオッズ差がそれほど無いのであれば、思い切って馬券候補から外すという選択肢もアリです。
3番人気以降で馬場状態が悪くても走る馬に注目
2番人気の取捨選択が終わったら3番人気以下の馬に注目しましょう。
雨が降ると荒れるといわれる最大の原因はこの3番人気以下の馬で激走する馬が出てくる可能性が良馬場のときよりも高いためです。
各馬に性格があることは先に解説しましたが、得意なコースや条件というのももちろん各馬にあって、中には重馬場や不良馬場であっても全く関係なく普段通りの力を発揮する馬が存在します。
過去の成績をチェックし、良馬場の時は4着5着が多く、重馬場や不良馬場になると2着3着に入ることが多い馬を見つけたら高配当が狙えるチャンス到来です。
しかし、こういった探し方をするのは中位人気くらいの馬に留めておきましょう。
下位人気の馬は基本的な能力自体がほかの馬よりも劣っているので、よほど展開がその馬向きにならない限りは馬場状態が悪くなっても上位に入ることは難しいです。
まとめ
競馬は屋外でおこなわれる競技なので、風が強い日も雨や雪が降っている日もレースが開催されます。
「雨の日の競馬は荒れやすい」とよく言われます。
なぜ荒れやすいのかというと、雨が降ってコースが水分を含むと条件が大きくことなるからです。
ただし芝コースとダートコースでは水を含んだ際の条件変化が正反対となります。
芝コースの場合はパワーとスタミナを要すタフな馬場となりますが、ダートの場合は足の抜けが良くなり、スピード勝負の馬場となります。
雨が降ると予想を換える必要が出てきますが、実は逃げ先行により有利な条件となるので大幅に変更する必要はありません。
予想の際は1番人気と2番人気の能力をチェックし、3番人気以降の中位人気の馬で馬場状態が悪いときに好成績を上げている馬がいないかを確認し、買い目を決めるようにしましょう。