【2022年】有馬記念予想のポイント!レースの特徴と役立つ過去データを紹介
競馬についての知識がない人であっても、「有馬記念」という名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
有馬記念は日本のみならず、世界で一番馬券の売り上げ額が大きい競馬のレースとして世界的にも有名なレースです。
本記事は有馬記念について、どのようなレースかや、過去どういった馬が優勝したのかを解説していきます。
有馬記念とは?
有馬記念は、12月の末に行われる中央競馬のG1レースで、日本中央競馬の総決算といっても過言ではありません。
後述する出走条件も相まって、その年度を代表する人気馬が集まるレースとなっています。
一般的には「有馬記念が中央競馬の最後の重賞レース」という認識となっていますが、近年2歳馬の重賞レースのひとつである「ホープフルステークス」がG1レースとして昇格しており、開催日によっては有馬記念よりも後にホープフルステークスが開催されることもあります。
また、地方競馬のG1レースを含めるのであれば、「東京大賞典」がその年最後のG1レースとなります。
とはいえ、3歳以上の馬たちにとっては、有馬記念がその年最後のG1レースということもあり、有馬記念を最後に引退するという競走馬も多いです。
近年有馬記念を引退レースとした有力馬としては、ディープインパクト、オルフェーヴル、キタサンブラック、リスグラシューなど、いずれも後世に名を残す名馬ばかりといえるでしょう。
また、史上初のグランプリ3冠を果たしたクロノジェネシスも、2021年有馬記念を最後に引退することとなりました。
数々の名レースが誕生する舞台
多くの名馬が引退の際に選ぶレース、さらにその年度を代表する馬たちが対決するということもあり、有馬記念ではこれまで数々の名勝負が誕生しました。
すべて挙げるとキリがないので、そのなかから特に競馬史に残る伝説のレースをふたつ紹介します。
第22回有馬記念
第22回有馬記念は1977年12月18日に開催されました。
このレースでは今回の有馬記念を最後に引退することが決まっている「トウショウボーイ」と、その最大のライバルである「テンポイント」、そしてこの2頭に並ぶ実力をもっている「グリーングラス」が最後に直接対決をする場となっており、競馬ファン注目のレースでした。
レースはスタート開始直後にトウショウボーイとテンポイントの2頭が抜け出し、最後までまさに意地と意地のぶつかり合いといえるほどのマッチレースを繰り広げました。
レース結果は最後にテンポイントがわずかに交わして1着でゴールイン、そのあとにトウショウボーイが続き、後方から一気に追い上げたグリーングラスが3着という着順でした。
この3頭以外の馬はまったく蚊帳の外ともいうべき差があり、その年の菊花賞を勝ったプレストウコウが4着となったものの、1着のテンポイントとは実に6馬身も離れていました。
このレースは過去の有馬記念のみならず、日本競馬史上最高のレースのひとつとして、現在でも語り継がれています。
第35回有馬記念
第35回有馬記念は1990年12月23日に開催されました。
このレースは第2次競馬ブームの立役者であるオグリキャップの引退レースとして注目されていましたが、オグリキャップはそれまでのレースで惨敗しており、ほとんどのファンが優勝するとは思っていませんでした。
しかしレースはオグリキャップが得意とするスローペースとなったことや、鞍上の武豊騎手がオグリキャップの良さを最大限に引き出す走りをしたことで、オグリキャップが最終直線で先頭に立ってそのままゴール、「奇跡の復活」とのちに呼ばれるラストランとなりました。
レース後、オグリキャップを称えて観客席から自然と巻き起こった「オグリコール」は、今も競馬史に残る感動の名場面のひとつです。
有馬記念の基本情報
有馬記念の基本情報を表にまとめました。
レース名 | 有馬記念 |
開催される競馬場 | 中山競馬場 |
距離 | 芝2,500m |
優勝賞金 | 3億円 |
優勝賞金は3億円で、ジャパンカップと並んで中央競馬のレースのなかでは最高金額となっています。
コースの距離は2,500mです。
競馬には「短距離」「マイル」「中距離」「長距離」と全部で4つの距離に分けられますが、有馬記念はそのうち「長距離」の部類に入ります。
有馬記念誕生の経緯
現在有馬記念が開催されている中山競馬場は、昭和30年まで年末の最大の重賞レース「中山大障害」が最大の目玉となっていました。
しかし障害レースはそれほど集客を見込めるものではありませんし、東京競馬場で実施されている「東京優駿(日本ダービー)」とくらべると、華やかさに欠けていたことから、「中山競馬場でも日本ダービーに匹敵するようなレースを開催したい」と、当時の中央競馬界の理事長であった有馬頼寧が提案したのが有馬記念の始まりです。
後述する独特な選出方法もこの時に決まり、1951年に「中山グランプリ」の名称でレースが実現しました。
このレースは大成功を収めたのですが、翌年有馬氏は急逝してしまいます。
そこで、彼のこれまでの功績を称える意味も込めて、名称を現在の「有馬記念」に変更し、現在に至ります。
出走馬の条件はサラブレッド系の馬で3歳以上、地方競馬所属の馬も1995年から出走可能となっていて、外国馬も2007年より出走枠が6頭となっています。
ちなみに、1996年には売上が約875億円となり、競馬の1レースにおける最高売上額としてギネスに登録されました。
有馬記念が開催されるコースの特徴
引用:googleマップ
有馬記念が開催される中山競馬場には「内回りコース」と「外回りコース」がありますが、有馬記念では内回りコースを使用します。
ただし、スタート地点は外回りコース上に設けられているのが大きなポイントです。
スタートすると、そのまま200mほど直進してすぐに第3コーナーに差し掛かります。
最初のコーナーまでの距離があまりないので、ここでのポジション取りがとても重要ではあるものの、2,500mという長丁場なので無理はできません。
したがって、外枠の馬はどうしても内に入り込めず、距離的に不利な外側を回されることになります。
その後第3コーナー、第4コーナーあたりまでは平坦な道が続きますが、ゴール前の直線あたりで中山競馬場名物の「急な坂」を登らなければなりません。
急な坂を登ると、ゴール地点から第1コーナーあたりまではさらにずっと上り坂が続きます。
その後第2コーナーあたりで緩やかに下り、第3コーナーの平坦な道に続く、というのが中山競馬場の全体的なコースの特徴です。
コース全体のアップダウンが激しく、さらにゴール前の急な上り坂を2回も登らなければならないということもあって、距離以上にスタミナを必要とするコースです。
2,500mというのは、長距離としては短めのコースではあるものの、長距離を十分こなせるほどのスタミナが無ければ上位入賞は望めないでしょう。
その証拠にこれまで有馬記念に限定すれば、16番以降の馬が馬券圏内に入ったことは一度もありません。
大番狂わせがあるかもしれませんが、基本的に有馬記念の馬券は16番より内側の枠の馬で勝負しておいたほうがよいでしょう。
出走する馬は投票で決まる
有馬記念を象徴する特徴として、出走する馬の選び方があります。
通常、重賞レースは出走条件が獲得賞金を満たしているかや、トライアルレース上位入賞馬となっているのですが、有馬記念の場合は「サラブレッド系の馬で人気投票上位の馬」というのが出走条件になっています。
そのため、極論をいえば、まったく成績が振るわなかったとしても、ファン人気がとても高い馬であれば出走するチャンスは十分にあるということです。
とはいえ、競馬では強い馬が人気を集める傾向にあるので、人気のみで有馬記念に出走した馬は1頭もいません。
ファン投票で出走馬が決められるのは、春のG1レースを締めくくる「宝塚記念」とこの有馬記念のみなので、そういう意味でも有馬記念は1年の総決算というべきレースといえるでしょう。
枠順の抽選は生中継される
そして、有馬記念のみ唯一枠順を決める抽選を生中継しています。
平成14年にはJRA初の試みとして、「出走馬の関係者が希望する枠順を決める」という枠順の決め方をしましたが、現在は従来通りの抽選方式に戻っています。
抽選が生中継される際には、その年のJRAのコマーシャルにイメージキャラクターとして出演した俳優や女優が出演することが多いです。
過去10年の優勝馬
過去10年で有馬記念を優勝した馬を表にまとめました。
年 | 優勝馬 |
2011 | オルフェーヴル |
2012 | ゴールドシップ |
2013 | オルフェーヴル |
2015 | ゴールドアクター |
2016 | サトノダイアモンド |
2017 | キタサンブラック |
2018 | ブラストワンピース |
2019 | リスグラシュー |
2020 | クロノジェネシス |
ちなみに過去10年間でファン投票1位の馬が1着になったのは、2013年のオルフェーヴル、2017年のキタサンブラック。2020年のクロノジェネシスの3回のみです。
優勝馬は前走どのようなレースを走っている?
では、次に優勝馬が前走どんなレースに出走しているのかを見ていきましょう。
年 | 優勝馬 | 前走 |
2011 | オルフェーヴル | 菊花賞1着 |
2012 | ゴールドシップ | 菊花賞1着 |
2013 | オルフェーヴル | 凱旋門賞2着 |
2014 | ジェンティルドンナ | ジャパンカップ4着 |
2015 | ゴールドアクター | アルゼンチン共和国杯1着 |
2016 | サトノダイアモンド | 菊花賞1着 |
2017 | キタサンブラック | ジャパンカップ3着 |
2018 | ブラストワンピース | 菊花賞4着 |
2019 | リスグラシュー | Cox Plate1着 |
2020 | クロノジェネシス | 天皇賞秋3着 |
優勝馬の前走レースを見ると、2015年のゴールドアクター以外は、すべて前走がG1レースです。
リスグラシューの前走レースである「Cox Plate」も、オーストラリアのG1レースであるため、この条件に当てはまっています。
さらにそのうち4頭が菊花賞、2頭がジャパンカップに出走しています。
そして、優勝馬に限定すると、すべての馬が前走5着以内となっています。
どの枠の馬が1着になりやすい?
年 | 3着までの馬番 |
2011 | 9番・5番・7番 |
2012 | 13番・6番・9番 |
2013 | 6番・4番・14番 |
2014 | 4番・6番・14番 |
2015 | 7番・9番・11番 |
2016 | 11番・1番・2番 |
2017 | 2番・3番・10番 |
2018 | 3番・1番・9番 |
2019 | 2番・3番・4番 |
2020 | 9番・14番・13番 |
2着までの馬版を見ると、過去10年間で10番以降で3着以内に入ったのは全30頭のうち、わずか6頭です。
このうち、2012年から2014年までの10番以降3着の馬はすべてゴールドシップとなっています。
ゴールドシップは競馬ファンであれば皆知っている、たぐいまれなる能力を持った追い込み馬だからこそ、不利といわれている外枠で複数回3着以内に入賞しています。
データから見ても、外枠はかなり不利なレースといえるでしょう。
枠番で言えば、3着以内はすべて7枠までとなっています。
8枠の馬は3着以内には過去10年間はおろか、これまでの有馬記念のなかで1回も3着以内に入っていません。
穴馬の傾向
穴馬の規定についてですが、ここでは8番人気以下の馬を穴馬と想定します。
8番人気以下で、過去10年間のうち、3着以内に入ったのは16頭と半数以上となっています。
人気馬が集まる有馬記念はそれだけ実力が拮抗しているということがいえるでしょう。
馬番が10番以内であれば、8番人気以降であっても十分馬券に含める価値はあります。
穴馬の傾向を見ていくと、やはり穴馬も前走は菊花賞やジャパンカップなど、秋のG1レースのそれかに出走している馬が多いです。
しかしながら、前走のG1レースでは4着以下と馬券圏内に絡んでいない馬がほとんどなので、これだけでは穴馬を見つけることが難しいです。
ところが、実は穴馬16頭中9頭が、その年の中山競馬場で開催された重賞レースで3着以内に入った経験を持っている馬たちという、気になるデータがあります。
例えば、2008年、2009年と2年連続で3着となっているエアシャイディという馬は、2008年には中山金杯や中山記念で3着以内となっており、2009年でもAJCCで2着となっています。
近年の有馬記念
これまで有馬記念は多くの馬が出走することに憧れる栄誉あるレースでした。
ファン投票で上位に入らなければ出走そのものが不可能ですし、年末に開催されるということもあって、有馬記念に出走することは一流の馬の仲間入りをするも同然だったのです。
ところが、最近は必ずしもすべての馬が有馬記念の出走を望んでいるという状況ではなくなってきています。
有馬記念は走行距離2,500m距離で言えば長距離に相当するレースなのですが、近年はどちらかといえば中距離で強い馬が重宝される傾向にあり、長距離を走れる馬が必ずしも良い馬とは限らなくなってきていることが、有馬記念に対する認識が変化してきた最大の要因です。
12月の第2週に香港では「香港国際競走」という競馬の一大イベントがあり、こちらはコース距離が最大で2,400mと中距離クラスになっていることから、有馬記念には出走せずに香港国際競走を選択する馬も増えてきていますし、同レースを引退レースにする馬も出てきています。
とはいえ、有馬記念はほかのG1レースとは一線を画する格式の高いレースであることは確かなので、軽視されてしまうといったことにはならないでしょう。
香港国際競走は、あくまでも年末レースの選択肢のひとつに過ぎません。
まとめ
有馬記念は、毎年12月末に中山競馬場で開催されるG1競走です。
1950年に、当時中央競馬の理事長を勤めていた有馬頼寧によって作られました。
当時は「中山グランプリ」という名称で初年度から大成功となりましたが、惜しくも有馬氏が急逝したため、翌年より同氏の功績を称えるという意味も込めて、現在の「有馬記念」という名称に変更され、現在に至ります。
毎年出走馬はファン投票で選ばれ、年末に開催されるということもあって、その年の日本競馬の総決算というべきレースであり、キリも良いことから数々の名馬が引退レースに有馬記念を選んでいます。
また、出走枠は抽選で選ぶことになるのですが、なんと有馬記念のみ出走枠の抽選を生放送で中継します。
コースは中山競馬場の芝2,500mで、距離的には長距離に該当し、ゴール前の急な上り坂を2回通過しなければならないほか、通過してからも第1コーナー終わりまでずっと上り坂が続くので、かなりのスタミナがなければ勝ち切ることは難しいでしょう。
また、スタート位置がコーナー付近ということもあって、外枠の馬には絶対的に不利なコースとなっており、有馬記念が開催されてから大外の枠で3着以内に入った馬は1頭もいません。
優勝した馬、穴馬ともに前走G1レースに出走している馬が大部分を占めています。
また、穴馬はその年の中山競馬場で開催された重賞レースで3着以内に入った馬が多いという傾向があります。
・前走秋のG1レース出走
・その年の中山重賞レースで好走
上記3つをポイントにして、買う馬を決めると的中率アップにつながるかもしれません。