競馬のレース中に落馬事故が発生したら馬券は払い戻される？落馬について徹底解説

競馬のレース中継を見ていると、落馬事故が発生する場面を目撃することがあります。
落馬した際は失格扱いとなり、その競走馬が絡んだ馬券はすべて不的中になりますが、この馬券代は払い戻してもらえるのでしょうか。
本記事では落馬した競走馬の馬券がどうなるかも含めて、落馬事故について徹底解説していきます。

落馬はレース中のアクシデントとしては最も多い

(引用元：四国新聞社 SHIKOKU NEWS)

競馬のレースでは逸走や落鉄など、さまざまなアクシデントがありますが、そのなかでも落馬は最も多いアクシデントであり、競馬を見始めた人が一番最初に目撃するアクシデントになるのではないでしょうか。

しかし、頻繁に発生するアクシデントだからといって軽いアクシデントというわけではありません。
落馬してしまった騎手は無傷で済むことはほとんどなく、たいてい何らかの怪我を負ってしまいますし、打ち所が悪いと骨折してしまって長期的に休養しなければならない事態に陥ることもあります。

騎手はとても危険な職業！落馬によって大怪我や亡くなってしまうことも

落馬が発生するのはスタート直後が最も多い

落馬事故はレース中あらゆる場所で発生する可能性がありますが、なかでもスタート直後が最も発生頻度が高いです。

スタ－ト直後はゲートに引っかかって落馬してしまうこともありますし、ポジション争いのために狭い場所に競走馬たちが密集するため、進路を塞がれたり、接触したりして落馬することが多々あります。

落馬しても馬券が払い戻される事はない

ファンが気になるのは、落馬した際の馬券の取り扱いではないでしょうか。
落馬した騎手はたとえ動けたとしても、再度競走馬に騎乗してレースに復帰することができません。
したがって、落馬した競走馬が絡んでいる馬券はすべて不的中となってしまいます。

ファンの心情としては、まともにレースに参加できていない馬券は返還してほしいところですが、結論から述べると、落馬してしまった競走馬の馬券は払い戻されることはありません。
残念ながら、落馬した時点でその馬券はハズレ馬券となります。

たとえ落馬したとしても、スタートの合図が出されてゲートが開いた瞬間、レースはスタートしているので、その時点でその場にいる競走馬はレースに参加したとみなされます。

これは競馬だけの取り決めではなく、例えば競艇の場合、スタートの合図より0.1秒でも早くスタートしてしまうとその時点でフライングとなって失格扱いになりますが、フライングしたとしても舟券が返還されることはありません。

競輪のレース中でも落車事故が発生することがありますが、落車した選手の車券も払い戻されることはありません。

馬券が返還扱いになるケース

落馬によって馬券が払い戻されることはありませんが、だからといっていかなる場合においても馬券が返還されないというわけではなく、馬券が返還扱いとなるケースはいくつかあります。
ここではどのような場合に馬券代が返還されるのかを解説していきます。

レース前に出走停止となった場合

出走前に怪我をしたり、急に体調が悪くなってしまうなど、何らかの理由でレースにすら出られなくなる状況になった場合はレースに参加すらしていないので、馬券は無効扱いとなって事前に購入された馬券に関しては全額返還扱いとなります。

落馬発生後にレースの継続そのものが不可能と判断された場合

基本的に落馬で馬券が返還されることがないというのは先ほど解説した通りですが、例外的に落馬が発生しても馬券が返還されるケースも無いわけではありません。
それは、落馬事故が発生したのちにレースを続けることそのものが不可能と運営側が判断した場合です。

レースそのものが無効になった場合は、レースの勝敗自体が成立しないので、すべての馬券が無効扱いになるため、落馬した競走馬の馬券も含めすべての馬券の馬券代が返還されることになります。

例えば凄まじい豪雨によって地面がぬかるんでしまい、競走馬が走ることそのものが困難であると判断された場合や、多数の競走馬が落馬事故を起こし、走っている馬が2頭ないし1頭になってしまった時は、3連系や2連系の馬券は成立しなくなってしまうため、不成立の馬券に関しては馬券代が返還されます。

とはいえ、このような事態になるケースは滅多に発生するものではないため、期待はしないほうがよいでしょう。

落馬した後も競走馬はそのまま走り続ける

(引用元：YOUTUBE)

落馬して騎手が居なくなってしまった競走馬の事をカラ馬と呼びますが、カラ馬になってもレース中に止めることができないため、そのまま走らせることになります。

カラ馬は騎手が乗っていない分斤量面で大幅に有利なので1着でゴールすることもありますが、落馬の時点で失格になるので、1着でゴールしてもその着順は換算されません。

騎手が乗っていなくても健気にゴールを目指すその姿は微笑ましいですが、騎手の立場から見るとそのような感傷には浸っていられない状況です。

何しろカラ馬は制御する騎手が居ないので、どこをどう走るか分かりません。
後ろを走っているならまだしも、前を走っているカラ馬は警戒すべき存在であり、追い抜くときはかなり距離をとって追い抜かなければなりません。

時には1着になりそうな競走馬にカラ馬が絡んでしまったおかげで他の馬に追い抜かれて負けてしまうなどといったケースも十分起こり得ます。

落馬した際は以降のレースは乗り替わりになる場合がほとんど

落馬は騎手にとって非常に大きなダメージを受けるアクシデントです。
乗馬の経験がある人ならば身をもって体験していると思いますが、馬に乗っていると視点がかなり高いです。

その位置から突如落ちてしまうわけですから、身体にかなりの衝撃を受けることは想像に難くないでしょう。
更にレース中は全力で走っているので、走っている時の速度も落下時のダメージに加わります。

奇跡的に軽傷で済んで次のレースに騎乗できることもありますが、たいてい少なくともその日はレースに出ることができなくなります。
したがって、落馬した騎手が以降のレースで騎乗予定だった競走馬は別の騎手に乗り替わりとなります。

乗り代わりになると、騎手と馬の相性や騎手の得意先方などをもう一度考え直さなければならず、レース予想をもう一度考え直さなければなりません。
もし予想を立て直す時間が無いのであれば、レースに参加すること自体を取りやめたほうが良いでしょう。

新馬戦と障害レースは特に落馬が発生しやすい

競馬ではさまざまなレースが実施されますが、そのなかでも特に落馬事故が多いのは新馬戦と障害レースです。

新馬戦は出走する競走馬が初めて実戦に挑むという事もあって、騎手が思いもよらぬ方向に走ったり、全く制御が効かなかったりすることが多々あり、騎手が振り落とされて落馬しまうケースが発生しやすいです。

そして障害レースでは障害物を飛び越えなければならず、飛び越えた際に競走馬がバランスを崩すなどして落馬する事があります。
単純に落馬に関する危険性が増すので、障害レースは落馬事故が発生しやすいというわけです。

記憶に新しい香港スプリントの落馬事故の詳細

落馬事故の事を語るうえで、やはり2021年に香港スプリントで発生した落馬事故について触れないわけにはいかないでしょう。

このレースは3歳でスプリンターズステークスを制したピクシーナイトが出走するということもあって、多くのファンから注目されたレースでしたが、事故が発生した瞬間、血の気が引く思いだった人が大勢いたのではないでしょうか。
それくらい近年の落馬事故としては衝撃的な事例となってしまいました。

結果から書くと、この落馬事故によって2頭の競走馬が安楽死処分となり、ピクシーナイトに騎乗していた福永祐一元騎手を含め3名の騎手が負傷（福永祐一元騎手は鎖国骨折）、ピクシーナイトも骨折によって長期休養を余儀なくされるといった事故となっています。

事故は各馬がラストスパートをかけ始めた第4コーナーで発生しました。
その時点で3番手を走っていたアメージングスターが突如体制を崩して転倒します。

映像を見る限りではほかの馬とぶつかってというわけではありませんし、突如前から体制を崩してしまっているような状態だったので、恐らく前脚が突然骨折したなど、何らかの故障が発生してしまったことが原因である可能性が高いです。

そして、そのすぐ後ろを走っていたラッキーパッチが横たわるアメージングスターに躓いたことによって折り重なるようにして転倒、そして更に後ろを走っていたナブーアタックはラッキーパッチとぶつかる形で転倒しました。

ピクシーナイトはナブーアタックのすぐ後ろを走っていて、アメージングスターに躓きつつも飛び越えようとしましたが、ラッキーパッチにぶつかった勢いで体制を崩して転倒します。

福永騎手は転倒の際に投げ出されるようにして地面に激突、一時まったく動かなかったためファンの間に戦慄が走りましたが、すぐに意識はしっかりしているとのアナウンスが出されました。

福永元騎手をはじめ、G1レースに出走する騎手はいずれも百戦錬磨の経験者ばかりです。
しかし流石に自分の目前で突如前の馬が故障して転倒したら、避けることは極めて困難でしょう。

今回の多重落馬事故は完全に予期せぬ事故であったため、再発防止の対策を取ることは大変難しい事例です。
今回は命を落とされた騎手がいなかったのは不幸中の幸いというべきでしょうが、落馬事故によって騎手が命を失ってしまう事例は過去に何度もあります。

競馬ファンにとっては自分の馬券が当たるかどうかが一番大事ではありますが、それと同じくらい、人馬すべて無事に完走した際には喜べるようにしたいものです。

まとめ

ここまで落馬事故について解説しました。
落馬事故は競馬のレース中に発生するアクシデントとしては最もオーソドックスなものとなりますが、落馬した際に騎手が受けるダメージはかなり大きく、打ち所が悪いと骨折によって何か月も休まなければなりませんし、過去には落馬事故によって命を失ってしまった騎手も存在します。

落馬した騎手が以降に騎乗予定だった競走馬に関しては、ほとんどが別の騎手に乗り代わりとなるため、予想などを考え直す必要があります。

騎手が落馬した馬のことをカラ馬と呼んでいますが、カラ馬は途中で止めることができないので、レースが終了するまでそのまま走らせることとなります。

どこを走るか分からないカラ馬は騎手にとってはやっかいな存在であり、過去にはカラ馬に絡まれた結果1着を逃してしまった競走馬も少数ですが存在します。

落馬事故が発生してしまった際の馬券ですが、たとえ落馬事故が発生してもスタートの合図が鳴った時点でレースは成立しているので、落馬事故でハズレ馬券になってしまった馬券代が返還されることはありません。